[サマリー]
・人事には、「確保」「活用」「処遇」「代謝」の4つの機能がある
・売上や利益ばかりに目をむけるのではなく、人事機能を有効に回すことにより成長する会社を目指すべきである


以前、人事の持つ機能について「確保」「活用」「処遇」「代謝」の4つについて説明しました(詳しくはこちらの記事を確認ください)。

今回は、その4つの機能について、昔と比べ人事がどのように変化してきたのかということについて説明します。

人事機能の変化について

人事の持つ4つの機能とは(おさらい)

人事の持つ機能は、4つに大別されます。

人事の持つ機能


「確保」「活用」「処遇」「代謝」の4つです。確保は人材や労働力を確保するという組織にとっての入り口であり、代謝は退職や解雇といった出口の機能です。


では、これら人事の持つ4つの機能について、日本の中でどのように変化してきているのかについて考えましょう。

人事機能の変化その①:確保機能

新卒一括採用から中途採用へ

以前の日本は新卒一括採用が当たり前でありましたが、現在は中途採用が常識になっています。転職サイトや転職エージェントも星の数ほどありますよね。
最近の若者には、自分のキャリアアップは転職することだと考えている方もいらっしゃいます。

つまり、それだけ賃金や福利厚生など条件の良い企業に人材が流出してしまうという事態が起こっています。


長期的育成から短期的育成へ

以前は長期的な目線で自分の会社で人材を育てていくというのが当たり前だったのに対し、現在は短期的育成が主流となっています。先ほど説明したような転職等の常識化から、長期的育成を行うメリットが減少したことも一因です。これと表裏一体をなすように、即戦力が求められるようになっていることも挙げられます。


人事機能の変化その②:活用機能

柔軟な職種・勤務地対応へ

労働者のニーズ多様化により、職種や勤務地を柔軟に決められる人事制度が当たり前となりました。例えば、入社から数年経つと職種を変更できるようなコース制度や、エリア総合職など転勤条件が限定されている制度などです。

これらの機能は大企業であれば人材の融通がききますが、中規模の企業ですと対応が難しいケースも多いといえます。


勤務時間の自由化

フレックスタイム制を代表として、個人のニーズにあった勤務時間を設定する人事制度が一般的になりました。これに伴い、テレワークなど時間だけでなく場所についても個人化、自由化されてきています。


人事機能の変化その③:処遇機能

年功序列賃金制度の崩壊

完全な崩壊とまではいきませんが、日本が戦後続けてきた年功序列型賃金制度は、昨今ほとんど見られなくなりつつあります。成果主義の導入などにより、若手でも高い給与が望める賃金制度や、役職定年制度により60歳手前で給与ががくっと落ちるような仕組みが増えつつあります。

年功的役職制度の崩壊

こちらも完全な崩壊とまではいきませんが、「長く勤めていれば役職が上がっていく」という制度は消えつつあります。少子高齢化により管理職にあたる年齢の人材層が増え、ポストが埋まった状態が生じています。

その結果、まるで必要とは思えない役職が増殖してしまっているような企業も多く見られます(課長、課長補佐、課長代理、上席課長代理の併存など)


人事機能の変化その④:代謝機能

終身雇用から短期雇用へ

以前は終身雇用が一般的だった日本も、現在は短期雇用が常識になっています。企業からすれば、終身雇用(正社員)として人材を採用すると固定費として給与がのしかかりますが、短期雇用であれば繁閑や業績の変化に合わせて給与を管理でき、変動費的な運用が可能になります。つまり、企業としてはリスク低減の効果が生じるメリットがあるのです。不況などの背景から、このような短期雇用が一般化してきています。

定年制度の柔軟化

これも、近年非常に大きく変化してきている要素の1つです。
少子高齢化や元気な高齢者の存在を受け、定年延長制度や再雇用制度が一般的になりました。逆に、人件コストをおさえるため早期退職優遇の制度を採用している企業もあります。


人事変化への対応

ここまで、人事の持つ4つの機能について、どのように変化してきているのかということを説明してきました。これはあくまでも事実でしかありませんが、重要なのは

これら人事の変化へ柔軟に対応していくこと

です。特に中小企業の場合、人事機能は死活問題です。例えば人事機能の「確保」が止まれば、すぐに人材不足となり経営が傾いてしまいます。「処遇」が止まれば離職が増え、また経営危機となります。

これらの人事機能の変化に柔軟に対応していくことが、会社や組織の存続において非常に重要なのです。会社の成長となると売上や利益に目が行きますが、それを生み出すのは人材、人事機能です。
人事機能の変化に柔軟に対応し、成長できる会社や組織を作っていくことが大切です。。


[まとめ]
・人事には、「確保」「活用」「処遇」「代謝」の4つの機能がある
・売上や利益ばかりに目をむけるのではなく、人事機能を有効に回すことにより成長する会社を目指すべきである


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