[サマリー]
・等級制度とは、地位の序列などの階層区分を、等級ごとに区分して人材マネジメントを行うという制度のことである
・等級制度には大きく分けて、「人基準」「仕事基準」「業績基準」の3つの基準に分けることができる



今回は、人事制度の中でも重要である等級制度について、定義や事例を考えていきます。

等級制度の定義と代表例

等級制度とは

等級制度とは、地位の序列などの階層区分を、等級ごとに区分して人材マネジメントを行うという制度のことを指します。ここで重要なのは、等級とは階層区分であるということです。階層ということで、等級によって地位序列の上下が生じます。

したがって、等級が上がるほど賃金等の処遇は高くなるものの、会社からの期待貢献度や求められる責任が重くなるという仕組みです。ちなみに、等級が上がることを昇格や昇級と呼びます。「級」が上がるので昇級の方が言葉にあっているような気がしますが、実務で昇給というと「昇給」と混同されるので、昇格と呼んだ方が間違いない印象です。


では、代表的な等級制度を例として見ていきましょう。

等級制度の例その①:「人基準」

人基準の等級制度とは、人材の能力や特徴に注目して等級を区切る制度です。しかしながら能力は客観的に測りづらいため、結局は年功的(社歴が長くなれば等級も上がる)な運用になりやすいという問題点があります。

人基準の等級制度には、代表的な2つの制度があります。

(1)職能資格制度

「職能」とは、職務遂行能力のことです。つまり、ある与えられた仕事に対して遂行できる能力によって等級を分けるという制度です。

(2)能力的等級制度

能力的等級制度とは、職務とは関係なくその人が持つ能力によって等級を区切る制度です。先ほどの職能資格制度が「人基準」でありながらも仕事の要素が関わっているのに対し、この能力的等級制度は仕事に関係なく等級が決まるため、純粋な意味での人基準の等級制度であるといえます。

等級制度の例その②:仕事基準

仕事基準の等級制度とは、その人が担当する職務の内容や重責などに注目して等級を区切る制度です。つまり、先ほどの人基準とは違い、職務の価値で等級が決まるという特徴があります。

つまり、どんなに能力がある人でも、任された仕事が簡単ならば等級は低くなるということです。


仕事基準の等級制度には、代表的な2つの制度があります。

(1)職務等級制度

職務等級制度とは、職務の内容を決める要素を複数に特定し、定義して等級を決める制度です。仕事基準の等級制度のため、仕事を等級化している制度になります。

(2)役割等級制度

役割等級制度とは、職務の内容を決める要素を総合的に定義して等級を決める制度です。先ほどの職務等級制度と非常に似ていますが、こちらの役割等級制度の方が分類・定義が多くくりである印象になります。したがって、実務現場でも職務等級制度と役割等級制度という言葉の使い分けを気にしない方も多くいらっしゃいますが、大きな問題はありません。


等級制度の例その③:業績基準

業績基準の等級制度とは名前の通り、その人が行った職務の実績によって等級を決定するという制度です。完全に結果だけを考慮することもあれば、プロセスを考慮するようなパターンもあります。

必然的に、年功的(社歴が長くなれば必然的に等級も高くなること)にはなりづらい制度ですが、過去の業績を積み重ねるようなタイプの業績等級制度の場合、年功的な運用に近くなります。

以上、等級制度とはどのようなものなのか、3つの基準による定義を確認しながら説明しました。人事考課を考えていく上で等級制度は非常に重要となるので、自社がどのような基準で等級制度を設計しているのか確認してみてください。


[まとめ]
・等級制度とは、地位の序列などの階層区分を、等級ごとに区分して人材マネジメントを行うという制度のことである
・等級制度には大きく分けて、「人基準」「仕事基準」「業績基準」の3つの基準に分けることができる


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