[サマリー]
・業務改善における平準化とは、繁閑の波に計画的対応を取ること
・平準化をするためには、残業時間のグラフ化→順位付け→前倒し検討→業務改善検討 の順に行うと良い




今回は、学校や塾における業務改善のアイデアということで、平準化という考え方を事例を交えて説明していきます。

平準化による学校業務改善

平準化とは

平準化とは文字通り、平らにすることです。「標準化」ではないことに注意してください(標準化とは、標準に合わせる、整えることです)。


我々中小企業診断士・経営コンサルタントが使う平準化というと、

繁閑の波に計画的対応を取ること


という意味が多いです。これについて詳しく説明していきます。

学校や塾における繁忙期と閑散期の波

学校や塾は年度初めが繁忙期になります。学校においては4月に入学、塾においては年度が替わるタイミングに合わせて入塾を検討するパターンが多いからです。
他に、学校と塾の繁忙期、閑散期の違いとしては、

・学校:繁忙期は春や秋の行事シーズン(特に生活指導部や体育科)、閑散期は長期休暇中

・塾:繁忙期は学校が長期休暇である8,12,3月(講習のため)や受験シーズン、閑散期は夏前



などです。学校は分掌ごとに繁忙期が異なるのも特徴です。

そして、経営者や管理職の方はぜひ出退勤表を確認して頂ければと思いますが、当然繁忙期には残業時間が増加します。1年間の残業時間を折れ線グラフにしたとすれば、繁忙期の時期だけ山ができているはずです。


この山を平らにすることが平準化です。


山をなくすことではありません。業務が存在する以上、山をなくすというのは不可能です。山を全体にならし、1年間を通して業務量を平準化するというのが狙いなのです。ある時期だけとても忙しいという状態を1年間でならすことができれば、心理的にも肉体的にも非常にラクになります(学校業界によらず、3月に非常に集中する役所業務なども全く同じです)。


では、平準化を行うためのステップを事例を交えながら説明します。

平準化実現のためのステップ

(1)教員・職員の残業時間をグラフ化する

まずは業務の繁忙期と閑散期を、グラフ化によって把握します。このステップは絶対に省略してほしくないステップです。なぜなら、


教員・職員自身が繁忙期や閑散期に気付いていない可能性がある



からです。さすがに高校3学年担任が秋シーズンを繁忙期と理解していないというのはありえませんが、小さな繁忙期などは意識していない可能性があります。

(2)ならすべき業務の「山」を順位付けする

これも非常に重要です。改善活動に取り組もうと意気込めば意気込むほど、目標を見失いがちです。現実的に全ての業務を改善するというのは不可能であり、改善効果が大きいものから順番に取り組むべきです。
改善活動にも当然、経営資源が必要です。時間など経営資源は限られていますので、ポイントを絞ることが重要です。


(3)「山」の業務を前倒して行えないか検討する

繁忙期の業務にも、

・その時期にならなければ行えない業務
・その時期以前に準備ができる業務



があります。例えば体育祭で言えば、

・体育祭本番、前日準備、片付けなどは前者
・プログラム内容作成、委員決定、打合せなどは後者


ですね。もちろんプログラム作成などを前倒して行わない学校はありませんが、現状の前倒しが適切かどうか考え直すのも価値があります。残業時間のグラフを見て、繁忙期に鋭い山が立っているのであれば、前倒せる業務を更に早めから実行するべきです。

(4)ECRSの原則など業務改善のアイデアの検討

前倒しの検討が終われば、あとは業務そのものをいかに改善できるかです。
そういった時は、以前紹介した「ECRSの原則」など、業務改善のアイデア・フレームワークを活用し、徹底的に業務を分析しましょう。

特に分掌をまたぐ、部署をまたぐ業務については重点的に業務改善の余地を疑っていただければと思います。


終わりに

以上、平準化による業務改善のアイデアを、例を考えながら説明しました。
ぜひ、先生方の残業時間削減・業務改善に活用して頂ければと思います。また、実務として業務改善を進めていくためには専門家の協力も重要となります。お悩みの際は、ぜひご相談ください。

学校の業務改善にお悩みの校長や管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
「学校業務改善は経営コンサルタントにおまかせ下さい」


[まとめ]
・業務改善における平準化とは、繁閑の波に計画的対応を取ること
・平準化をするためには、残業時間のグラフ化→順位付け→前倒し検討→業務改善検討 の順に行うと良い