[サマリー]
・ECRSの原則とは、「削除」「結合」」「代替、再配置」「簡素化」の4つの観点から業務改善を検討する考え方です
・最も改善効果が大きい「排除」からしっかりと検討することが重要である




近年、学校を含め教育業界では残業時間削減など、労働時間短縮が叫ばれています。そういった中で、業務改善の視点は必要不可欠であるといえます。

今回は、学校における業務改善のアイデア、考え方として「ECRSの原則」について、事例を交えて説明していきます。

ECRSの原則による学校業務改善

そもそもECRSの原則とは?



ECRSの原則とは、業務改善の4つの原則をまとめた概念です。ここで、4つの原則とは

・Eliminate:削除「なくせないか」
・Combine:結合「組み合わせられないか」
・Rearrange:代替、再配置「他の方法はないか、入れ替えられないか」
・Simplify:簡素化「簡単にできないか」

のことです。このような4つの問いかけを対象の業務にすることによって、業務改善の糸口を探ります。ある意味では、業務改善のフレームワークとして考えることもできますね。

そしてこのECRSの原則ですが、最も重要なのは「E→C→R→Sの順番で検討していくこと」なのです。当たり前のことを言っているようですが、これには重要な意味があります。なぜなら、この4つの検討項目の中で、


実現したとき最も効果が大きいものが「Eliminate:削除」だから



です。なくせれば一番良いのです。なくせるものをわざわざ結合したり、簡素化しても効果が弱いのです。むしろ簡素化というのは、ECRができないときに最後に検討すべき事であるという認識を持ってください。


ちなみに、「学校 業務改善」で検索すると、行政等が作成している学校業務改善のチェックリストがでてきます。例えば、ページ上位には大分県が発行しているチェックシートがあります。項目を絞りまとまっている内容だと思いますが、


・圧倒的に「Simplify:簡素化」の項目が多いこと
・「Eliminate:削除」の明文化が薄いこと
・「Combine:結合」「Rearrange:代替、再配置」の項目がないこと


など、改善点も見受けられます(あくまでECRSの原則を前提とした場合です。1つのチェックリストの例としては、十分なものであると思います)。


ECRSの原則の使い方のポイントをお分かりいただけたでしょうか。

では、実際に学校の業務を想定して、事例としてこのECRSの原則を考えていきましょう。ここでは、模試の生徒選択科目の入力作業を例に考えてみます。


ECRSの原則による学校業務改善の具体例

この学校の模試における生徒選択科目の入力作業は、


①進路部が選択科目表を作成し担任に渡す
②担任が生徒に配り、回収する
③担任が選択科目をExcelファイル(進路部作成のフォーマット)に入力する
④進路部が集計し、一覧表を作成する
⑤一覧表を担任に渡し、担任が教室掲示する
⑥生徒がチェックし、間違いがあれば担任に報告する
⑦担任が進路部に訂正を依頼する



というような流れであるとします。
3年生のマーク模試にもなると科目数が多く、なかなか大変な作業になりますね。

では、ECRSの原則にしたがって改善案を考えていきましょう。

(1)Eliminate:なくせないか

ここで完全になくせるとしあら、④の進路部集計・一覧表作成業務ですね。
進路部の合計数確認(部数が足りているかチェックするため)等のためにこういった手順を踏むパターンがありますが、担任が一覧表を作成してしまえばいいです。

というより、入力したExcelファイルをそのまま教室掲示できる形式に作成しておくべきです。そうすれば、担任はデータ入力をした後そのままおれを教室掲示すればよいだけです。進路部には同じファイルをメール送信しておけば、合計数の確認もできます。

(2)Combine:結合できないか

Combineについては⑥⑦が当てはまります。生徒が担任に報告するのではなく、進路部に直接連絡するようにする(結合する)ことで、担任から進路部に連絡するという2度手間をなくすことができます。

ただ、(1)のEliminateで④進路部集計を排除できていれば、そもそも⑦の進路部が訂正するというステップも不要なものになりますね。担任が自ら訂正すればよいのです。


(3)Rearrange:他の方法はないか、入れ替えられないか

Rearrangeについては、他の方法はないか、を中心に検討してみます。
他の方法を検討できるのは、「②担任が生徒に配り、回収する」ですね。
まず前提として、模試選択科目調査で最も手間がかかる作業は、


生徒が紙に記入した選択科目を、担任がデータ入力し直す



ことです。これをなくしたいのです。
それには、②の作業について、生徒に紙媒体ではなく電子媒体で選択科目を選ばせるという方法を検討するべきです。

例えば都立高校であればClassiなど生徒がアクセスできるアンケート機能を持ったツールが普及しつつあります。こういった電子媒体で生徒に入力させることで、担任はExcelフォーマットにコピー&ペーストするだけでよい、という風な流れになればベストだといえます。


(4)簡単にできないか

もし、(3)で検討した選択調査入力方法ができないということでしたら、入力方法を簡素化するしかありません。入力方法の簡素化には、ExcelのVlookup関数や置換機能が便利です。



このように、E→C→R→S の順番で、改善案を検討していきます。
最後にもう一度、最も効果が大きいのは「E:排除」ですので、まずはなくせないかについてしっかりと考えていきましょう。

終わりに

以上、ECRSの原則を使った学校の業務改善を、事例を考えながら説明しました。ぜひご活用いただければ幸いです。また、実務において業務改善を進めていく上では、専門家の協力も重要となります。お悩みの際は、お気軽にご相談ください。

学校の業務改善にお悩みの校長や管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
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[まとめ]
・ECRSの原則とは、「削除」「結合」」「代替、再配置」「簡素化」の4つの観点から業務改善を検討する考え方です
・最も改善効果が大きい「排除」からしっかりと検討することが重要である