[サマリー]
・自社の現状や改善策把握、外部の折衝への活用など、専門家に依頼するメリットは大きいといえる
・経営コンサルタントは無資格者でも名乗れるため、中小企業診断士などの資格保有者に依頼した方が一定以上の業務品質を見込むことができる

自社が経営問題を抱えて至り、経営に関して悩みがあるという時、経営コンサルタントに相談の依頼を検討されるという方も多いのではないでしょうか。実際に、経営コンサルタントは経営に関する専門家ではありますが、人によって評判の良し悪しもあり検討を迷われるケースもあると思います。


今回は、経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士資格保持者、そして認定経営コンサルタントである私から見た、経営コンサルタントに相談を依頼する意味を考えていきたいと思います。

経営コンサルの仕事

そもそも経営コンサルタントとは?

経営コンサルタントとは、会社経営全般に対して課題解決・支援を行う専門家のことを指します。一方で、この経営コンサルタントという肩書は誰でも名乗れてしまうということに特徴があります。どんな人でも、「今日から経営コンサルタントだ」と思えば、経営コンサルタントと名乗ることができてしまうのです。


そこで、経営コンサルタントのレベルや提供する業務品質の目安となるのが、「中小企業診断士」や「認定経営コンサルタント」の資格です。


中小企業診断士とは、経営コンサルタント唯一の国家資格であり、試験合格率も4%程度という狭き門です。中小企業診断士は経営コンサルティングを専門として活動しているため、当然ながらコンサルティングのレベルや業務品質も高いといえます。

認定経営コンサルタントとは、日本生産性本部という公益財団法人が認定する経営コンサルタントの資格です。銀行や証券など金融業界のビジネスマンに人気のある資格であり、そのような業界では取得している方も多いです。


ここで重要なのは、上記のような資格を保有していない経営コンサルタントに仕事を依頼する場合、そのレベルや業務品質が全く分からないということです。
当然、その方の実績などをしっかりと説明してもらえばある程度の判断はつくケースもありますが、経営コンサルティングという業務は依頼する側からすると分かりにくい部分も多く、何を信じてよいのか難しいという印象かと思います。

また、コンサルティングファームに依頼する場合であれば会社名などである程度の判断はできますが、一般的にコンサルティングファームは報酬も高い水準が求められるケースが多く、中小規模の事業を行っている方は個人の経営コンサルタントに依頼することがメインだと思います。そのような際に、我々のような中小企業診断士の資格保有者や認定経営コンサルタントの資格保有者に御相談頂ければ幸いです。

経営コンサルタントの資格については以下の記事でも詳しく説明しているので、ご興味のある方はご確認頂ければと思います。

経営コンサルタントとは?資格は?



コンサルティング業務の流れ

経営コンサルティングには、ある程度の決まった流れがあります。当然、コンサルタントによって異なると思いますが、私は以下のような流れで経営コンサルティングを行っています。

コンサルティング業務の概要


調査→分析→改善策立案→実行支援



このような流れです。


【調査】
インタビュー調査やおおまかな経営問題・課題の調査を行います。この段階で、こちらが認識した問題と課題、これからどのような分析を行っていくのかという内容を依頼人に説明します。この段階で、依頼人の了承が取れれば契約を結び、コンサルティング業務がスタートします。

【分析】
先程依頼人に提案した内容に沿った分析を行います。ここでどのような分析をするかは、依頼人から頂いた経営問題やこちらが認識した経営問題に沿って異なります。以下は、分析手法の一例です。
・財務分析(全ての業種に対して実施します)
・外部環境分析(競合分析や商圏分析など)
・社員意識調査(社員の方のモチベーションなど内面を分析します)
・PQ分析(業務の効率性向上に向けたムダ発見手法です)
・組織分析(賃金制度や評価制度などの分析です)


【改善策立案】

先程の分析によって判明した問題を洗い出し、それをどのように改善していくべきかという改善策を立案します。当方の場合、抽象的な意見ではなく、詳細な分析によって導き出された具体策をお伝えしております。

【実行支援】

具体的改善策を実行に移します。社長や管理職の方との実行だけでなく、現場の方と共に改善を進めるケースがほとんどです。改善を進めながら、その改善効果の検証も同時進行で行い、修正をしていきます。


これが経営コンサルティングの一連の流れです。このような流れが分かると、経営コンサルティングを依頼する方も、より安心して頂けるのではないかと思います。


ではこれらを踏まえて、経営コンサルタントに改善業務を依頼する意味について考えていきます。この記事を書いている身で恐縮ですが、私自身が中小企業診断士・認定経営コンサルタントですので主観が混じってしまう部分もあるかもしれません。しかし、自分以外も含め様々な経営コンサルタントを見てきた中で、また自分の業務経験の中で感じたことですので、参考にして頂ければ幸いです。

経営コンサルタントに業務を依頼する意味

メリット①:自社の現状と改善策を知ることができる

毎日会社の業務をしっかりとこなしていきながら、同時に自社の状態や今後の課題といった部分も適切に認識するというのは非常に困難です。よほど社員数に余裕があるような会社は別ですが、そうでない殆どの会社は日々の業務が忙しく、客観的視点で自社を見つめるという機会を持つことがなかなか難しいのではないでしょうか。

中小企業診断士など経営コンサルタントに相談を依頼した場合、専門的視点からのアドバイスを受けることができます。
会社の経営者は当然、モノを売ったりモノを作ったり、サービスを提供したりというのが本業です。つまり、自社の財務面での分析や競合多店舗の分析などは外部の専門家に依頼し、自らは本業の成長に集中すればよいのです。そのために、我々経営コンサルタントが存在しているともいうことができます。

メリット②:外部との折衝に活用することができる

特に顧問として経営コンサルティングを行っていると、このような相談を社長から受けるケースがあります。

・ホームページ作成業者との打ち合わせに同席してくれないか
・行政職員が今度会社に来るから、経営状態について代わりに説明してくれないか
・設備投資について、関連団体に提出する意見書を書いてくれないか
・取締役会でどんなことを話せばよいか、メモを作ってくれないか

などです。本当に様々ですが、上記は全て私が引き受けたものになります。
むしろ、遠慮せずこのような御相談を頂ければと思っています。ホームページ作成や設備投資など、大きな出費が見込まれるような場合には特に我々も相談に乗れればと思いますし、こちらとしても非常にやりがいを感じます。


もちろん、どこまでこういった業務を引き受けるかは当初にかわす契約内容にもよりますが、このような相談ができるというのも中小企業診断士などの経営コンサルタントに依頼するメリットの1つです。

メリット③:新たな取り組みに踏み出すことができる

経営コンサルタントが依頼をうけ会社に入ると、分析や改善以外にも新たな取り組みが動き出すというケースが非常に多いです。

例えば、
・以前1度やってみて諦めていたプロジェクトを再始動させた
・数字が得意な社員がいなかったが、中期経営計画を立てることができた
・笑顔の接客を改めて意識し直すことができた



このようなものです。1度やめてしまったものや1度忘れてしまっていたものが、組織の活性化によって再び動き出すという場を何度も見てきました。これは我々の改善やアドバイスというものも一因ですが、それ以上に社長や社員の方の意識が変わったことがきっかけであることが多いです。

特に、経営コンサルティングの効果が見え始め業績が上がり始めると、このような傾向は顕著になります。
当然、我々も業績向上を目指してコンサルティング業務に当たっておりますので、このような部分も中小企業診断士などの経営コンサルタントに依頼するメリットの1つだと思います。


(デ)メリット:依頼にかかる費用について

最後に、専門家にコンサルティングを依頼する際のデメリットについて考えたいと思います。想定される一番のデメリットは、どの程度費用が掛かるのかという部分になってくると思います。

しかしながら、中小企業診断士などの専門家に業務を依頼した際に発生する費用は、デメリットにはならないと思っています


当然、相当に高い報酬を要求された場合は別です。ある程度の規模のコンサルティングファームなどでは数千万円の見積もりを受けるケースも非常に一般的です。一方、我々個人の専門家に経営コンサルティングを依頼した場合、高くても1年あたり数百万円でしょう。しかし、これだけではデメリットじゃないかと言うこともできますよね。


そこで比較したいのが、同様の能力を持つ社員を雇うという場合です。

・業績改善を行いたいなら「財務」「マーケティング」「販売管理」
・業務改善を行いたいなら「作業分析」「生産性向上」
・組織改善を行いたいなら「等級制度」「賃金制度」「評価制度」

それぞれ、このような専門的能力を持った社員を新たに雇用する必要があります。人手不足の今日においてこのような専門的能力を持った人材は少なく、仮に1人だけ雇ったとしても年間で数百万円の人件費支出が発生します。


一方、中小企業診断士などの専門家と契約を結んだ場合、これらの全ての専門的能力を、同程度の支出で全て享受することができます。さらに、1か月更新などの契約であれば、好きなタイミングで契約を解除することもできます。

もし社員を新たに雇用したという場合、このような自由な解雇を行うことはできません。人件費は固定化してしまうため、その新規採用社員がこちらの要求する能力水準に満たなかったという場合でも、契約を解除することができないのです。


つまり、専門家に業務を依頼するというのは、新規雇用で社員に業務を任せて補う場合と比べた際、支出面では大きな違いはなくともリスク低減を図ることができるのです。
これが、デメリットではないと考えれる最大の理由となります。


終わりに

以上、経営コンサルタントに業務を依頼する意味、メリットやデメリットについて説明しました。中小企業診断士など経営コンサルタントは経営改善の専門家でありながらも、その業務内容が見えにくく信用しづらいという意見もあるのではないでしょうか。

そのような疑問を解消すべく、丁寧かつ分かりやすいをモットーにして日々コンサルティング業務を行っております。会社経営や店舗経営などでお悩みの方、ぜひ御相談頂ければと思います。

御相談はこちらのホームページからお待ちとしております。
「木村税理士・行政書士事務所」


[まとめ]
・自社の現状や改善策把握、外部の折衝への活用など、専門家に依頼するメリットは大きいといえる
・経営コンサルタントは無資格者でも名乗れるため、中小企業診断士などの資格保有者に依頼した方が一定以上の業務品質を見込むことができる