[サマリー]
・会議のスリム化・効率化には、総会議時間短縮の観点が重要である
・「参加教員数」「1回あたり会議時間」「開催頻度」を減らせないか検討していくことで、会議のスリム化、効率化に向かうことができるといえる




昨今、教員の長時間労働問題を背景に、学校業務改善の機運が高まってきています。そこでしばしば問題となるのが、学校における会議の存在です。多くの人数を長期間拘束するということで会議が問題視されることもありますが、省くことができない重要な会議があるのも事実です。

今回は、学校における会議について、どのようにしてスリム化・効率化していくべきかということについて説明します。

会議のスリム化・効率化

会議は無駄なのか?

まず始めに、学校において会議をゼロにすることは難しいと考えています。というより、ゼロにすべきではないと思っています。


確かに、会議では膨大な時間的なコストが発生してしまいます。長時間労働を解消するという観点だけで考えれば、会議をなくすというもの1つの手段でしょう。
しかし、会議の中には成績調整会議や行事直前の打合せ会議など、省略すべきではない重要なものも存在します。そのような会議まで効率化・省略してしまえば、適切な学校経営に支障をきたす可能性も出てきてしまいます。


今回の記事では、学校の会議をゼロにすべきではないという考えのもと、どのようにしてスリム化・効率化していくべきか説明していきたいと思います。
ちなみに、先ほど簡単に説明した「会議は無駄なのか否か」については以前記事にまとめていますので、そちらをご覧いただければ幸いです。



会議スリム化の方程式

学校における会議のスリム化・効率化に向けて重要な指標の1つは、総会議時間です。総会議時間を短くすれば、会議がスリム化・効率化されたと考えることができます。

会議のスリム化・効率化に向けて、総会議時間は以下の計算式で算出することができます。

学校における総会議時間


総会議時間=参加教員数×1回あたり会議時間×開催頻度


このような計算式です。当たり前だな、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、このように1つ1つ要素に分解して考えていくことが重要です。

では、ここから要素ごとに検討していきます。


会議のスリム化・効率化の方法

参加人数の絞り込み

参加人数の絞り込みは、盲点ではありますが意外と大切な視点です。分掌会議などでは全員参加が基本ですが、委員会やプロジェクトの会議では必ずしも全員が出席必須というわけではない場合があります。また、全体会議でも事務職員の方が出席しなくても問題ないというケースもあります。


参加人数の絞り込みは業務改善の効果が非常に見えやすく、周りの先生方に伝わりやすいという特徴があります。
したがって、これから学校全体で業務改善を行っていきたいというような場合、その手始めとしても有用であるといえます。


1回あたり会議時間の短縮

最も汎用的に使える手法が、この「1回あたり会議時間の短縮」です。
例えば、このようなケースはないでしょうか。

・「レジュメの事項の伝達完了」を会議終了の目安として設定する
・「鐘がなるまで」を学年会議終了の目安とする


なにがおかしいのかと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、どちらも会議終了の設定がズレています。
1つ目については、時間設定の意識が全くありません。「〇〇時までに終える」というような設定がないため、だらだらと会議を進めてしまう可能性が高いです。

2つ目については、間違った時間の設定を行っています。特に学年会議では特定の時限の隙間に会議を設けることが多いため、その時限をフルに使うような時間設定が自然となされているケースがおおいです。
その結果、授業時間が50分であるならば、会議も50分間目一杯行われることになります。


会議の時間設定のあるべき姿としては、会議開始前に主任が内容を確認し、「これくらいのボリュームなら30分で終わろう」というように予め時間設定をすべきなのです。

このように意識を1つ持つだけでも、会議時間は十分短縮されます。


開催頻度の縮小

先程の3つの要素の中でいえば、開催頻度の縮小は最も難しい改善手法になります。

分掌会議や朝打ち合わせについては頻度を下げると会議の意義そのものが薄くなってしまいます。このような会議は、日常の比較的小さな問題や業務に細かく対応するために設定されるという意味合いが大きいからです。

したがって、頻度縮小を検討するとしたら、参加人数の多い全体会議となります。例えば全体会議を毎週行っているという学校ならば、個人的には十分頻度縮小の検討余地があると思っています。


実際に頻度縮小を検討する際は、先ほど説明したような1回あたり開催時間や参加人数も考慮に入れた上で、全体的な目線で考えていくことが重要です。

終わりに

以上、学校における会議のスリム化・効率化について、総会議時間の計算式を踏まえた上で説明しました。実際に学校会議を効率化していくという際には、学校をあげた業務改善の実行が必要です。ぜひ、管理職の方が主体となって積極的に業務改善を進めて頂ければ幸いです。また、実務として業務改善を進めていくためには専門家の協力も重要となります。お悩みの際は、ぜひご相談ください。

学校経営・財務にお悩みの校長や管理職の方、こちらのページからのご相談お待ちしております。




事務所代表プロフィール

名前:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・税理士 ・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・中学、高等学校一種教員免許(元高校教員)

業務内容:
首都圏を中心に、学校や教育関連企業等の中小企業支援を業務として行っている。経営コンサルタントとしては、教育現場の業務改善や販路開拓のコンサルティングなどを中心に活動。行政書士としては、会社設立の代理や営業許認可取得の代理を中心に活動している。中小企業診断士・行政書士の2つの資格を活用して、経営面と法務面の2つの視点から、組織・事業の業務改善と拡大支援に励む。



[まとめ]
・会議のスリム化・効率化には、総会議時間短縮の観点が重要である
・「参加教員数」「1回あたり会議時間」「開催頻度」を減らせないか検討していくことで、会議のスリム化、効率化に向かうことができるといえる