[サ
マリー]
・SWOT分析とは、「強み」「弱み」「機会」「脅威」に分け、企業や学校の内部環境と外部環境を分析・整理するツールのことである
・強みなど1つ1つの項目について分析する際も、切り口を決めて考えていくと効果的な分析を行うことができる

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経営分析の手法の一つに「SWOT分析」というものがあります。いわゆるフレームワークと呼ばれているもので、我々経営コンサルタントは企業のコンサルティングにおいて非常に頻繁に活用しています。

そしてこのSWOT分析ですが、当然ながら企業だけではなく学校に対しても活用することができます。SWOT分析を活用することで、現在の学校の姿や将来の学校の進むべき道を考えることができるのです。


今回は、学校におけるSWOT分析の使い方と、その例を紹介したいと思います。

学校におけるSWOT分析

SWOT分析とは?

SWOT分析とは、「Strengths:強み」「Weaknesses:弱み」「Opportunities:機会」「Threats:脅威」に分け、企業や学校の内部環境と外部環境を分析・整理するツールのことです。それぞれの頭文字をとってSWOT分析と呼ばれています。(ちなみに経営分析では、このように頭文字をとって命名するというパターンが非常に多いです)


では、それぞれの項目について詳しく説明していきます。

強み:Strengths

強みとは、自社の「内部環境」について「プラス」に影響する要因のことです。
例えば人材力、進学実績、広告宣伝(広報)、資金力などが当てはまります。

弱み: Weaknesses

弱みとは、自社の「内部環境」について「マイナス」に影響する要因のことです。

内部環境という点では強みと同じなので、強いと同じ切り口から考えていった時のマイナス要因が弱みになります。

機会: Opportunities

機会とは、自社にとっての「外部環境」について「プラス」に影響する要因のことです。
外部環境という言葉がイメージしづらいかもしれませんが、内部環境とは自校でコントロールできるもの、外部環境とは自校でコントロールできないものと思うと分かりやすいかもしれません。例えば、政治、経済、社会などのマクロ環境(大きな環境)や、市場、流通などのミクロ環境(小さな環境)が外部環境に当てはまります。


脅威: Threats

脅威とは、自社にとっての「外部環境」について「マイナス」に影響する要因のことです。

外部環境という点では機会と同じなので、機会と同様の切り口から考えていき自校にとってマイナスのものを脅威として考えるとよいです。


SWOT分析のまとめシート

SWOT分析においては、強み、弱み、機会、脅威をそれぞれ別々に書き出していってももちろん問題ありません。しかし、内部環境か外部環境か、プラスかマイナスかという点で4つの要素はそれぞれ関係していますので、マトリックス図を用いてまとめると分かりやすいと思います。

例えば、以下のようなまとめシートです。

学校におけるSWOT分析


このように、シートとしてまとめると一目で関係も理解でき、管理職会議(企画調整等)で共有する際など初めて見る方にも説明しやすいですね。


では、実際にこのシートで学校についてSWOT分析を行った例を考えてみます。

学校におけるSWOT分析の例

学校におけるSWOT分析の例ということで、例えばこのような形になるかと思います。

学校におけるSWOT分析の例

強み(Strengths)
・都内屈指の進学実績がある
・インターハイ出場など部活動が盛んである
・広報の分掌が機能しており、積極的なHP更新を行っている
・研究会への積極的な参加など、教員の授業力向上意識が高い


〇弱み(Weaknesses)

・直近3年間、募集倍率が継続的な低下傾向にある
・競合校に比べ、部活動加入率が低い(生徒の二分化)
・教員の残業時間過多の状態が続いている
・分掌間の協力体制が弱く、まとまりが無い


〇機会(Opportunities)

・近くに団地が建設予定であり、学齢期人口の増加が見込まれる
・競合校での事件等により、来期は志願生徒の自校への流入が想定される
・新しく東京グローバル10の指定が受けられる見込みがある


〇脅威(Threats)

・少子化により、市内の学齢期人口の長期的な減少が想定される
・都予算の増加や減少が読めず、長期的な資金計画が立てづらい
・近隣に直近急成長している他校があり、進学校としての競争が熾烈化する可能性がある



ざっと書き出してみました。書き出していく際、内部環境か外部環境かをごっちゃにしないよう注意が必要です。

ちなみに書いていく際には、それぞれの項目の中でも切り口を持つとヌケモレのない分析を行うことができます。一例として、公立学校ならば作成している学校経営計画の観点「学習指導」「生活指導」「進路指導」「特別指導」「募集・広報」「学校経営・組織体制」などです。

例えば、SWOT分析の「強み」の項目を考える際、「当校の強みはなんだろう…いろいろありそうだな…」という風に考えていくと、どうしてもヌケモレが発生してしまいます。そこで、「学習指導の強みはなんだろう」「広報の強みはなんだろう」というように考える切り口を持っておくと、万遍なく検討することができるのです。

このような切り口のことを、経営コンサルタントの中では「フレームワーク」と呼びます。先ほどの「学習指導、生活指導…」も立派なフレームワークだと思います。他にも、「ヒト・モノ・カネ・情報」「顧客(生徒)・競合校・自校」などのフレームワークがあります。もしフレームワークについて興味があるという方は、こちらの記事もご確認ください。
学校経営分析の6つのフレームワーク


終わりに

以上、学校におけるSWOT分析をテーマに、例を挙げながら説明していきました。実際にSWOT分析を効果的に行うにはコツもいりますが、まずは実行してみて自校の経営に活用して頂ければと思います。もしお悩みがありましたら、我々経営コンサルタントにご相談頂ければと思います。

校の業務改善にお悩みの校長や管理職の方、こちらのお問い合わせフォームからお願い致します。


事務所代表プロフィール

名前:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・税理士 ・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・中学、高等学校一種教員免許(元高校教員)

業務内容:
首都圏を中心に、学校や教育関連企業等の中小企業支援を業務として行っている。経営コンサルタントとしては、教育現場の業務改善や販路開拓のコンサルティングなどを中心に活動。行政書士としては、会社設立の代理や営業許認可取得の代理を中心に活動している。中小企業診断士・行政書士の2つの資格を活用して、経営面と法務面の2つの視点から、組織・事業の業務改善と拡大支援に励む。

[まとめ]
・SWOT分析とは、「強み」「弱み」「機会」「脅威」に分け、企業や学校の内部環境と外部環境を分析・整理するツールのことである
・強みなど1つ1つの項目について分析する際も、切り口を決めて考えていくと効果的な分析を行うことができる