[サマリー]
・人事考課とは、従業員の実績や過程、能力について定期的に評価する活動のことを指す
・人事考課の大原則として、「公正の原則」「期間の原則」「説明の原則」が挙げられる



会社や組織を考えていく上で、人事考課は欠かすことのできない存在です。今回は、この人事考課とはそもそもなんなのか説明した上で、人事考課制度の3つの原則というものを紹介していきます。



人事考課制度の3つの原則

そもそも人事考課とは?

人事考課とは、従業員の実績や過程、能力について定期的に評価する活動のことを指します。重要なのは、


・定期的な評価を行うこと
・「実績」「過程」「能力」のいずれか又は複数を評価対象とすること



です。ちなみに、評価対象である「実績」「過程」「能力」は、以前紹介した評価基準の「業績基準」「職務基準」「人材基準」と対応しており、どれを評価するかにより「業績等級制度」「職務等級制度」「職能資格制度」などと対応していくことになります。
この等級制度との対応はこちらの記事で詳しく説明しているので、ご覧いただければと思います。
等級制度とは?等級制度の定義を考える


この人事考課制度ですが、人が人を評価するという性質から、しばしば間違った評価が下されることがあります。当然ながらある程度の評価の裁量は管理職に与えられていますが、評価の原則を完全に逸脱した判断がされることも少なくありません。


そこでここからは、人事考課のルールについて、3つの大原則を紹介したいと思います。


人事考課の3つの原則

原則その①:公正の原則

これは3つの原則の中でも最も根底にある大原則です。
公正の原則とは、公正な態度で人事考課を行うことそのものを指します。

例えば、こんなケースに遭遇したことはないでしょうか。


・プライベートで仲がいい部下には良い考課を行う
・個人的に性格が合わない部下には悪い考課を行う
・残業しない従業員は貢献度が低いという偏見によって考課を行う



いかがでしょうか。こういった考課者のゆがみは、中小企業に限らず大企業でも多々生じる性質があります。人間である以上好き嫌いを考課に反映したくなってしまうということだとは思いますが、「評価者」である以上は必ず公正の原則を守らなければいけません。


原則その②:期間の原則

期間の原則とは、評価対象の期間(当期)についての結果や行動のみを評価するという原則です。

例えば、こんなケースに遭遇したことはないでしょうか。


・前期大きな失敗をしてしまった従業員を、今期も低く考課する
・次期は結果がでそうだからという理由で高い考課を行う



このようなケースです。前期の考課に引っ張られたり、次期の予想(しっかりとした数値や予測に基づくものは例外です)を考課に反映させたりというのは、期間の原則に反する考課行為です。

あくまでも、人事考課を行うのは対象となる期間のみということです。



原則その③:説明の原則

説明の原則とは、評価結果に責任を持ち、しっかりと説明できるような評価結果にすることを指します。「説明責任の原則」とも言い換えることができます。

例えば、こんなケースに身に覚えはないでしょうか。


・なぜその考課結果になったのか、よくわからない
・従業員の間で、評価結果について疑問の声が蔓延している



このようなケースです。人事考課を行う以上は評価結果に説明責任を持たなければなりません。会社によっては人事考課の結果を公表しないケースもありますが、こういった運用では人材育成の効果は期待できず、従業員の人事考課に対する不信感も非常に強くなってしまいます。

当然の原則ではありますが、評価者は評価を行う以上、結果に説明責任を持たなければならないということです。

以上、人事考課について、3つの大原則を説明しました。しっかりと人事考課を行っている会社では考課者訓練など外部講師を招聘して研修を受けるケースもあります。そういったものが敷居が高いということであれば、まずは大原則を守るような姿勢を社長・管理職自らが主体となって会社に広めていって頂ければと思います。


[まとめ]
・人事考課とは、従業員の実績や過程、能力について定期的に評価する活動のことを指す
・人事考課の大原則として、「公正の原則」「期間の原則」「説明の原則」が挙げられる


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