[サマリー]
・等級号棒制とは、等級の中に号棒という別の区切りを設け、等級が不変でも号棒によって賃金が上昇していく制度のことである
・特に公務員においては等級号棒制が非常に一般的に使用されている



今回は、基本給決定の仕組みとして、等級号棒制というものを紹介していきたいと思います。



等級号棒制による基本給決定

そもそも基本給とは?

基本給とは、月例賃金の中でも、一定の基準によって決定された、賃金の基本となる部分のことです。例えば職能資格制度で言えば職能給、役割等級制度で言えば役割給などが当てはまります。社歴に応じて支給される勤続給もこの基本給のうちの1つです。

賃金の中に占める基本給の位置付けはこのような形です。

賃金の体系

賃金の体系については賃金制度の設計:賃金体系を考えるの記事で詳しく説明しているので、そちらを確認して頂ければと思います。


それでは、基本給のタイプの1つである等級号棒制について説明していきます。


等級号棒制とは?

等級号棒制とは、等級の中に号棒という別の区切りを設け、等級が不変でも号棒によって賃金が上昇していく制度のことです。等級が不変でも賃金が上昇するということで、シングルレートとは異なる仕組みになっていますね。

基本給額と等級をイメージ図にすると、このような形になります。

等級号棒制のイメージ図

左から順番に、1等級~3等級となっています。特徴的なのは、同じ等級の中でも賃金が変化している所ですね。この小さい長方形1つ1つが号棒といわれるものです。

例えば、新入社員は1等級1号棒からスタートするとします。これは上の図で言うと、水色の長方形の中で一番下にあるものです。
1年後、人事評価の成績により「1号棒アップ」「2号棒アップ」のような形で、昇級とは別に号棒の上昇が決定されます。もし2号棒アップとなれば、2つ上の水色の長方形の賃金水準まで上昇するといった形です。


したがって、等級号棒制ではこのような賃金表を使うことになります。

等級号棒制の賃金表例

号棒が上がるにつれて、一定の割合で賃金が上がっていっていると思います。この号棒ごとの賃金の差を「ピッチ」と呼びます。上に書いてあるように、ピッチ3,000円ということは1号棒上がると基本給が3,000円上昇するということです。

ここで、ピッチの3,000円の右に「1,000」という数字が入っていると思います。先ほどの等級号棒制のイメージ図(グラフ)をしっかりとみてくださった方は気付いたかもしれませんが、等級号棒制は号棒が高くなるとピッチを小さくするというような設計が一般的です。もう一度イメージ図(グラフ)を見てみると、号棒が高くなると長方形の縦の長さが低くなっていますよね。


それを調整するのが(1,000)の部分です。ある一定の号棒まで上昇したとき、ピッチを3,000円が1,000円に移行しますという風な設計です。これによって、昇級(等級のアップ)へのモチベーションが高まるような仕組みです。
もちろん、ピッチを1つしか設定しない企業もあります。



それでは最後に、等級号棒制の採用例について確認してみましょう。


公務員における等級号棒制度の採用事例

実は公務員の賃金表はほとんどこの等級号棒制度が採用されています。例えば、こちらのリンクをご確認いただければと思います。
俸給表 – 人事院

公務員の等級号棒制度

等級号棒制になっていることが確認できるかと思います。国家公務員や警察官(公安職給料表)、教職員の給与についてもこの等級号棒制が使われています。企業でいうと、古いタイプの会社で採用されていることが多いように感じます。

先程の等級号棒制の説明に合わせて、使用されている事例を確認することで理解を深めて頂ければと思います。



以上、基本給の1つのタイプである等級号棒制について、特徴を具体例と共に説明しました。会社を設立したり、会社を方向転換したりする際に等級制度の設計は本当に重要な要素となりますので、しっかりと考えて頂ければと思います。

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[まとめ]
・等級号棒制とは、等級の中に号棒という別の区切りを設け、等級が不変でも号棒によって賃金が上昇していく制度のことである
・特に公務員においては等級号棒制が非常に一般的に使用されている


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