[サマリー]
・平均点だけでは、生徒の学力のバラツキが見えず、間違った経営戦略を立案してしまうリスクがある
・標準偏差を活用することで生徒の学力のバラツキを見える化することができる




学校で模試やテストを実施した後、ほとんどの先生方は平均点を算出していますよね。私自身、テストや模試の度、平均点を算出していました。

しかし、この当たり前のように行っている平均点の算出ですが、どういう目的をもって算出しているのか、デメリットはなんなのか、考えたことはあるでしょうか。

今回は、模試やテスト点数の平均点の算出について、考えていきたいと思います。


平均点算出のデメリットと標準偏差とは

平均点算出の目的

平均点算出の目的は、生徒の標準的な点数の傾向をつかむことです。これは当たり前のことだと思います。ですが、ほとんどの現場の先生は実感しているはずです。


非常に点数が低い生徒が1人いるだけで、平均点は下がる



ということです。実際に、クラス平均などであれば1人の影響でも簡単に数点変化しますよね。つまり、平均点の最大のデメリットは、

外れ値に弱い


ことなのです。外れ値とは、その他多数が位置している場所から離れた値のことです。おおよその生徒が70点前後に位置しているのに、30点をとった生徒がいれば、その30点が外れ値となります。


この平均点のデメリットを理解しておくことは非常に重要です。
学校内のテストであれば戦略上大きな問題はありませんが、模試の結果となると「今年はどのような傾向なのか」「去年と比べてどうなのか」といった今後の学校経営方針に関わってきます。



では、どのようにして平均点の弱点を補強すべきなのか。
多くの場合、高校の模試では平均点に加え、どの得点帯に何人ぐらいの生徒が分布しているかという表やグラフを使って、外れ値の人数の「印象を」つかみます。ベネッセ等の外部業者が教員に説明する際も、このケースが多いですね。

しかし、これではあくまで「印象」しかつかめません。数値として、今回の模試はどの程度外れ値があり、バラツキが生じているかというのが分からないのです。


そこで活躍するのが、「標準偏差」です。



標準偏差とは

標準偏差とは、テストでいえば生徒1人1人の点数のバラツキを数値で示したものです。「偏差値」とは別物なのでご注意ください。


ここまで読んでくださった方ならお分かりかと思いますが、平均点に加えてこの標準偏差を算出することで、

・全体としての点数の傾向(平均点)
・点数のバラツキ(標準偏差)



の2点から、模試やテストの結果を分析することができます。つまり、


・「去年と比べて平均点は高いが、生徒によって出来不出来に差が大きく生じている」
「去年と比べて平均点は低いが、全体として生徒の学力の足並みがそろっている」


というようなことがわかるのです。では、具体例を通してみていきましょう。

平均点と標準偏差の活用例

例えば、ある模試の結果を昨年の生徒と今年の生徒で比較したものを考えましょう。

テストの点数と平均・標準偏差

人数など簡略化していますが、このような結果になったとします。

平均点だけでみれば、「今年の生徒は去年と比較して学力が高い」という結果のみです。しかし、標準偏差を見てみるとどうでしょうか。標準偏差は数値が大きいほど「バラツキが大きい」ことを意味します。つまり、


今年の生徒は全体の傾向としては学力が高いが、去年と比較して学力のバラツキ
という分析結果を得ることができるのです。



いかがでしょうか。なにげなく平均点だけを見て全体の傾向をとらえるのではなく、標準偏差を活用することでより詳細な分析をすることができるのです。


ちなみに、Excelを使うと平均・標準偏差どちらも関数で簡単に算出することができます。平均は「=average」、標準偏差は「=stdev.s」と入力した後、生徒の点数が含まれるセルの範囲を指定するだけです。

終わりに

以上、学校におけるテストや模試の分析ということで、平均点のデメリットと標準偏差について説明しました。ぜひ、活用いただければと思います。また、実務において業務改善を進めていく上では、専門家の協力も重要となります。お悩みの際は、お気軽にご相談ください。

学校の業務改善にお悩みの校長や管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
「学校業務改善は経営コンサルタントにおまかせ下さい」


[まとめ]
・平均点だけでは、生徒の学力のバラツキが見えず、間違った経営戦略を立案してしまうリスクがある
・標準偏差を活用することで生徒の学力のバラツキを見える化することができる