[まとめ]
・総合満足度と各評価項目を相関分析することで、志望生徒や保護者が重要視している項目を判断することができる
・アンケート調査において最も重要なのは、アンケート項目の作りこみである



学校や塾では、生徒や保護者など見学会参加者にアンケートを実施する機会はよくありますね。今回は、エクセルの相関分析を活用し、学校アンケートの結果を学生募集対策につなげていく方法を紹介します。

学校アンケートの分析方法

相関分析とは

まず、このサイトでは何度も相関分析について取り上げていますが、ここでカンタンに説明します。相関分析とは、


2つの変数間の相関を分析すること



のことです。Aが大きくなればBも大きくなる、Aが大きくなるとBは小さくなる、といった相関関係を分析する手法です(前者のパターンを正の相関、後者のパターンを負の相関といいます)。

相関分析のやり方や結果の見方については、

・エクセルのcorrel分析による相関分析の方法
・エクセルの分析ツールによる相関分析の方法

をご確認ください。これらの知識があるという前提で、学校アンケートにどのように活用していくかこれから説明していきます。


学校アンケートの項目作成

まず、分析の前にデータ収集からです。
アンケートによるデータ収集で最も重要なのは、

どのような項目を作成するか



これにつきます。項目をしっかり作りこまなければ、何百のアンケート用紙が集まっても、紙同然です。アンケート結果を収集したのち、どのような分析をしたいのか、どのような傾向をつかみたいのかということをイメージしながらアンケート項目を作りこみましょう。

必須だと思われる項目は、

・どうやって本校を知ったのか
・なぜ本校に興味を持ったのか


といった質問です。これにより生徒や保護者が流入するチャネル(経路)をつかみ、そこに重点的なプロモーションをかけることができます。


また、本校の雰囲気・サービス・設備などに対し、5段階などで評価させる項目もぜひ作っていただきたいと思います。自校の教員・職員が思っていないような点が評価されていたり、逆に目玉だと思っている強みが全く評価されていなかったりという、新たな発見があります。

そして、このような5段階評価をさせるようなアンケート項目を作る場合ぜひ、

自校に対する総合満足度の項目を入れてください


この項目を設けることによって、今回の記事の本題である相関分析をすることができるようになるのです。

学校アンケートにおける相関分析の活用方法

アンケート結果をエクセルにまとめる

相関分析をするには、やはりエクセルが便利です。ですので、手書きのアンケート結果をエクセルに打ち直す必要があります。本来ならば、説明会参加者にはQRコードなどを読み込んでもらい電子ベースでアンケートに答えてもらいたいところですが、回答率が下がる可能性があります。

出口の提出箱があるからこそ、入れていないとバレてしまうため紙ベースのアンケートは回答率が高いのです。

アンケート相関分析

少し大変ですが、アンケート結果を打ち込んでください。
上のイメージ図は、例えば「学習面」のところには、「当校の進学指導・学習支援の取り組みに満足している」のような質問が入り、それを5段階評価した結果だと思ってください。他の「行事面」なども、具体的な質問項目を作成してください。

総合満足度と各項目の相関分析

では、実際に相関分析をしてみましょう。
相関分析の対象は、先ほど設定した5段階評価の項目です。そして、

「総合満足度」と「それ以外の評価項目」の相関係数を出してください。


このような分析により、学校の雰囲気や行事、学習面、設備面など、どの要素を高評価している人は総合満足度が高いのか、という相関関係を発見することができます。

では、実際に算出してみましょう。
今回の相関分析は総合満足度と他の質問との相関係数を求めるケースなので、correl関数を用いて算出してみます。

アンケートの相関係数算出

できました。相関係数の1つの目安は、0.4より大きいと正の相関、-0.4より小さいと負の相関でしたね。学習面と交通面は0.4を超えているので、正の相関があることが示唆されますね。つまり学習面で言うならば、学習面に満足している人は総合満足度が高い傾向にある、ということです。
(ここでは簡略化して参加者11人分しか示していないため、誤差が大きくなります。実際は学校説明会に来た全員のデータから算出してください)


つまり、この結果から判断するならば、

・本校の学習面のサービス価値は十分にある。志望生徒や保護者は学習面を重視していることが示唆され、そのため行事面が弱い負の相関になっていることも納得できる。
・交通の利便性は正の相関であるが、これはどこの学校でも見られる傾向である可能性が高い。本校の立地条件を変更するのは困難を極めるため、検討順位は低い。


というような形になります。


あくまでも今回の学校説明会に来た方のデータであることに注意が必要ですが、戦略の方向性の判断材料にはなります。また、説明会に限らず、自校生徒へのアンケートなども同様の手法で相関分析をしてみるのも面白いですね。データ数は在校生徒分だけ集まるので、ある程度信頼できる値になります。もちろん、紙からエクセルに入力し直す作業が大変ですので、classi等を導入している学校はそれを使ってください。

終わりに

以上、学校アンケートをどのように相関分析し、今後の学生募集対策に活用していくかについて説明しました。ぜひ、自校でも活用してみてください。また、実務において業務改善を進めていく上では、専門家の協力も重要となります。お悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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[まとめ]
・総合満足度と各評価項目を相関分析することで、志望生徒や保護者が重要視している項目を判断することができる
・アンケート調査において最も重要なのは、アンケート項目の作りこみである