[サマリー]
・AIDMAとは、消費者(顧客)がモノやサービスの購買を決定するまでの意思決定のプロセスモデルのことである
・AIDMAをモデルとして消費者の心理を考えることで、消費者に対する働きかけを段階ごとに明確することができる




学校や塾において、どのようにして顧客を獲得するか、つまり保護者に良いと思ってもらい、生徒に入学してもらうかというのは非常に重要な悩みの1つです。

そして、顧客にはたらきかけていく上で、実際に保護者や生徒がどのようにして入学を決めるかという意思決定のプロセスを考えるのは必要不可欠であるといえます。

今回は、この顧客の意思決定のプロセスとして、「AIDMA」という考え方を説明します。

AIDMAによる顧客獲得の手法

AIDMAとは

AIDMAとは、消費者(顧客)がモノやサービスの購買を決定するまでの意思決定のプロセスモデルのことをいいます。

例えば、とある書店に新発売の本が並んでいるとします。あなたがたまたまその書店に立ち寄ってその本を見かけたとき、まずその本を発見して、次にその本のタイトルや内容に興味を持って……というプロセスをたどり、最終的に購買するか否か決定しますよね。この購買の意思決定のプロセスを説明したモデルが、このAIDMAです。


では、AIDMAを詳しく見ていきましょう。
下の図をご覧ください。


これがAIDMAです。順番に説明します。

①Attention:注目
②Interest:興味
③Desire:欲求
④Motive:動機
⑤Action:行動


これがAIDMAの要素です。マーケティング理論にはおなじみの頭文字をとって名前にするパターンですね。このAIDMAの要素を、AIDMAモデルとかAIDMAの法則とか呼ぶこともあります。

では、AIDMAの流れを先程の本屋の例で確認してみます。新しくダイエットの本が店頭に並んでいたとしましょう。通りかかった人が購買するまでの反応は、

①注目:「新しい本がある」
②興味:「気になるタイトルだ」
③欲求:「そういえばちょうど最近体重が気になってきてるな…」
④動機:「ダイエットできれば昔の服がまた着れるかもしれない…」
⑤行動:「よし、買おう」

という流れです。お分かりいただけたでしょうか。



では、学習塾の高校生向き指導のサービスを事例として、このAIDMAモデルを考えてみます。具体的に、AIDMAのそれぞれの要素でどのような対策を打つべきか見ていきましょう。

学習塾におけるAIDMAの活用

①注目:「まず、本校のことを知ってもらう」

Attentionの段階では、まず本校のことを知ってもらうのが第一です。指導サービスの内容というより、まずは塾の存在を知ってもらうべきです。聞いたこともないような塾の指導を受けようと思う高校生は少ないからです。

したがって、このAttentionの段階でやるべきは「認知度の向上」になります。


高校の校門前でのビラやティッシュ配り活動や広告の掲載等により、商圏内の高校生にいかに自校の存在を知ってもらえるかが勝負です。


②興味:「本校のサービスに興味を持ってもらう」

Interestの段階では、本校の存在を知っていることは前提となり、その上でどこまで興味を持ってもらえるかです。この「知っている」から「興味がある」に心情を変化させるのは大変ですが、ここを越えなければ購買には至りません。

先程の宣伝活動や広告活動の中で、高校生の心に刺せるようなフレーズやサービスをどこまでアピールできるかが勝負です。こういった相手の心境を考えていく上では、「4C」などの分析手法が役に立ちます。

③欲求:「サービスを受けたいと感じてもらう」

Desireの段階では、消費者のニーズを喚起することが目標です。
例えば②で興味を持ってもらった高校生が体験授業に来てくれた時などに、「授業が分かりやすいな」「先生が優しそうだな」「志望校に合格できそうだな」というポジティブなイメージを生徒に抱かせることも1つの欲求の手段です。

④動機:「保護者を巻き込む」

Motiveでは、利用する動機をこちらから提供することがポイントです。ここまで、高校生をターゲットとして説明してきましたが、実際通塾の費用を出すのは保護者です。したがって、保護者に向けたアプローチをすることで生徒にとっての通塾の動機を提供します。

例えば、体験授業に来た高校生に保護者向けの塾紹介のパンフレットを渡し、そこで保護者にとって我が子を通塾させるメリットをしっかりと記載できていれば、生徒は「お母さんも応援してくれている」という万全の動機を得ることができます。
このように、保護者まで巻き込めれば購買はすぐそこです。

⑤行動:「通塾を決定してもらう」

ここまで、通塾の理由はそろいました。あとは契約してもらうのみです。
しかし、ここで安心していては他の塾も同様の攻勢をかけているような場合、顧客を取られる恐れもあります。

「サービスを受けたい」と思ったときにすぐ契約してもらえるよう、期間限定サービスやポイント還元など「今」契約してもらう仕組みづくりをしておきましょう。



このようにAIDMAをモデルとして消費者の心理を考えることで、どの段階の消費者にはどのような働きかけをするべきかということを明確に考えることができ、対策が立てやすくなります

自校や自社にとって、さらにモノやサービスの消費者を増やすためには「A」「I」「D」「M」「A」のどこが課題となっているのか、分解して考えて頂ければと思います。

終わりに

以上、学校や塾における顧客獲得として、AIDMAモデルを紹介しました。
次回は、このAIDMAモデルの後に提唱されたAISASというモデルを説明したいと思います。


[まとめ]
・AIDMAとは、消費者(顧客)がモノやサービスの購買を決定するまでの意思決定のプロセスモデルのことである
・AIDMAをモデルとして消費者の心理を考えることで、消費者に対する働きかけを段階ごとに明確することができる


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