[サマリー]
・合格率とは受験者数に対する合格者数の割合を、歩留率とは合格者数に対する入学者数の割合のことである
・いわゆる入学率について、合格率と歩留率に分解することで効果的な分析を行うことができる

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学校の経営分析指標に「合格率」と「歩留率」というものがあります。今回は、この2つの指標を使うことで学校の入学者数を分析する手法について解説したいと思います。

合格率と歩留率

合格率とは?

言葉から意味を連想しやすい指標ですが、念のため確認しておきます。
合格率とは、受験者数に対する合格者数の割合のことです。


合格率が高いという事は、たくさんの人が受験してもなかなか受からないということですから、定義もすんなりイメージできますね。
計算式で表すと、以下のようになります。


学校法人の合格率


合格率=合格者数÷受験者数


このような計算によって、合格率を求めることができるのです。

では続いて、歩留率について説明したいと思います。

歩留率とは?

歩留率とは、合格者数に対する入学者数の割合のことです。


つまり、受かった人がどれだけ実際に入学したかを示す指標なのです。これは、「歩留り」という言葉を聞きなれない方には分かりづらい指標といえます。歩留とは主に工場現場や製造業で使われる言葉であり、投入した材料をどれだけあますことなく使えるかという意味で使われます。

例えば、1㎡の金属板から型抜きの要領で金属を抜き取っていく場合を考えます。もし、様々な形を抜き終わった後、のこった端っこの部分の合計面積が0.1㎡であれば、0.9㎡は使うことができたということになりますよね。この場合の歩留率を90%というのです。


このように、歩留の意味が分かれば学校法人における歩留率も理解しやすいですね。
実際に、計算式では以下のようにあらわされます。

学校法人における歩留率の計算


歩留率=入学者数÷合格者数



このような計算で歩留率を求めることができます。


それでは本題である、入学者数について合格率と歩留率を使った分析を説明していきます。


合格率と歩留率を使った学校分析

まず、合格率と歩留率の関係をみてみましょう。
試しに、合格率と歩留率を掛け算してみます。

合格率と歩留率による学校分析


このように、歩留率と合格率を掛け算すると、分母分子の合格者数が相殺されるため、入学者数÷受験者数を表すことができます。この「入学者数÷受験者数」という指標は一般的な名称がないため、この記事では「入学率」と名付けて説明していきます。


この計算式を逆から言うと、入学率は歩留率と合格率に分解して考えることができるということです。つまり、入学率が低下している、増加しているといった場合に、その原因は合格率にあるのか、歩留率にあるのか、もしくは双方にあるのかというブレイクダウンした分析ができるということです。


例えば、こんな例を考えてみます。とあるA高校は昨年度の受験者数が400名、合格者数が200名、入学者数が150名だったとします。今年度は他校と合併などによる規模拡大があったため、受験者数が1,000名、合格者数が500名、入学者数が300名とそれぞれ数値が大きくなりました。

ここで、入学率を計算してみましょう。入学率は「入学者数÷受験者数」ですので、

〇昨年度:150÷400=37.5%
〇今年度:300÷1,000=30%



と、数字が落ち込んでいることが分かります。この指標からわかることは、「受験したのに入学していない人が増えている」ということです。受験者数が増えているという事から考えれば金銭面ではプラス効果がありますが、入学者率が低下しているという事は学校ブランド価値が低下している恐れがあります。

ここで、その仮説を検証するために入学率を「歩留率」と「合格率」に分解してみるのです。計算してみると、

〇昨年度
歩留率:150÷200=75%
合格率:200÷400=50%
〇今年度
歩留率:300÷500=60%
合格率:500÷1,000=50%



このような結果になります。この結果より、歩留率は低下しているものの、合格率は変化していないことが分かりますね。
つまり、この分析によって、

「入学率の減少の原因は歩留率の低下」であることが分かると共に、
「学校ブランド価値の低下、志望度が高い競合校の人気化」などの原因が示唆されたことになります



歩留率が低下しているという事は、受かったのに入学しない生徒が増えているという事です。これは、自校の滑り止め校としての役割が強化され、他の第一志望校が人気化しているなどの原因を想定することができます。
一方、合格率が変化していないという事は、受験対象としての自校の人気は低下していないという事が窺えます。


このように、入学率を歩留率と合格率に分解することによって、より詳細な分析および原因追及を行うことができるのです。


以上、合格率と歩留率を使った学校入学者数の分析方法について説明しました。自校の現状分析にぜひご活用いただければと思います。

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「木村成コンサルティング事務所」

なお、当事務所は学校教職員の業務改善・業務負荷軽減にも精力的に取り組んでおります。詳しくは、こちらのホームページをご覧ください。
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事務所代表プロフィール

名前:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・ファイナンシャルプランニング技能士2級
・中学、高等学校一種教員免許(元高校教員)

業務内容:
首都圏を中心に、学校や教育関連企業等の中小企業支援を業務として行っている。経営コンサルタントとしては、教育現場の業務改善や販路開拓のコンサルティングなどを中心に活動。行政書士としては、会社設立の代理や営業許認可取得の代理を中心に活動している。中小企業診断士・行政書士の2つの資格を活用して、経営面と法務面の2つの視点から、組織・事業の業務改善と拡大支援に励む。






[まとめ]
・合格率とは受験者数に対する合格者数の割合を、歩留率とは合格者数に対する入学者数の割合のことである
・いわゆる入学率について、合格率と歩留率に分解することで効果的な分析を行うことができる