[サマリー]
・入学定員充足率とは、入学定員に対してどれだけ実際に入学者がいたのかを示す指標である
・受験者数とは無関係に算出される指標であるので、実質倍率など他の指標と区別する必要がある
学校における財政状態分析、財務分析の指標の1つに「入学定員充足率」というものがあります。受験者側が意識する指標であると同時に、学校側にとっても非常に重要な指標の1つです。
今回はこの入学定員充足率について、意味や計算方法を解説しながら、実際の大学入試のデータと照らし合わせながら確認していきたいと思います。
入学定員充足率を理解する
入学定員充足率とは?
入学定員充足率とは、入学定員に対してどれだけ実際に入学者がいたのかを示す指標です。
しばしば「実質倍率」など倍率系の指標と混同されますが、入学定員充足率において、受験者数は一切関係ありません。いわゆる「〇〇倍率」という指標は分母が受験者数(もしくは志願者数)であることがほとんどです。それに対して入学定員充足率は、受験した人数ではなく入学人数と入学定員を比較しているという点で他の指標と大きな違いがあります。
入学定員充足率の計算方法
入学定員充足率は以下のような計算方法で求めることができます。
入学定員充足率=入学者数÷入学定員
このような計算式で求めることができます。例えば、入学定員が100人、受験者数が80人であれば、入学定員充足率は80%となります。
それでは、入学定員充足率を実際の大学の入学データに基づいて計算してみたいと思います。
大学における入学定員充足率の確認
以下のデータは、東京都市大学のホームページで公開されている、2019年受験の入学定員と入学者数データです。このような受験に関するデータは、学校によって開示していない所もたくさんありますので、注意が必要です。
赤枠で囲った機械工学科について、入学定員充足率を計算してみましょう。
データより、入学定員は120人、入学者数は122人であることが分かりますので、
入学定員充足率=122÷120≒102% となります。
この入学定員充足率は、100%を切っているからと言って学校が危険な状態であるというわけではありません。あくまでも、入学者数が入学定員に対して少ない状態であるというだけです。受験者数が少ない(定員割れの状態)という意味ではありませんので、注意が必要です。
実際に、受験者数などと比較する、つまり学校の人気度を測っていく際には、倍率系の指標の計算が必要となります。こういった指標については以下の記事で解説していますので、参考にして頂ければと思います。
また、しっかりと記事を読んでくださっている方は、先ほどの入学定員のデータに「収容定員」というデータも記載されていることに気付かれたかと思います。この収容定員も、入学定員と同じく学校分析では重要な要素であり、「収容定員充足率」という指標の計算に活用することになります。
収容定員充足率について気になるという方は、以下の記事をご確認ください。
以上、収容定員充足率について、意味や計算式を実際の大学の入試データを確認しながら解説しました。定員充足率の指標は受験者側だけでなく学校側にとっても非常に重要といえますので、財政状態等の分析にご活用頂ければと思います。
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[まとめ]
・入学定員充足率とは、入学定員に対してどれだけ実際に入学者がいたのかを示す指標である
・受験者数とは無関係に算出される指標であるので、実質倍率など他の指標と区別する必要がある
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