[サマリー]
・目標管理制度を導入している会社は非常に多いが、目標管理制度が形骸化している会社も非常に多い
・目標設定ルールの明確化など工夫行うことで、目標管理制度運用の有効化を図っていくことができる
以前、目標管理制度の概要や目的、問題点について説明しました(詳しくはこちらの記事を確認ください)。
その中で、目標管理制度の代表的な問題点として、
・個人の能力に見合った目標が設定されない
・目標達成の評価がしづらい
ことなどを説明しました。これらは、特に目標設定の場面において既に問題が発生していることになります。
そこで今回は、失敗しない目標管理制度と題しまして、このような目標設定の問題を解決する工夫を説明していきます。
失敗しない!目標管理制度の工夫
そもそも目標管理制度とは?
まず、目標管理制度について簡単におさらいします。
目標管理制度(MBO)とは、管理職との話し合いにより、従業員が自ら期末までに到達する仕事の目標を設定し、仕事を進める仕組みのことを指します。あくまで、管理職と従業員の相談によって目標が決定するというのが特徴です。
一般的には、まず従業員が目標を記入する→管理職との面談において、管理職から適宜修正の相談が入る という流れです。従業員にも大きな裁量があるというのがポイントです。しかしながらこの裁量というポイントにより、
「適切な目標が設定されない」「修正の手間による管理職負担が増大する」
といった問題点が発生してしまうのです。
では、どうやってこういった問題点を解決していくべきか、具体的な工夫策を紹介していきます。
目標管理制度の目標設定の工夫
その①:具体的な記入例を提示する
単純ながら、これは絶対に必要だと考えています。例えば、「目標には必ず期限を併記する」「定量的(数値的)な目標を立てる」「(〇〇までに、〇〇を、〇〇する)というように記入する」などです。
このように記入例を提示したり、記入パターンをある程度拘束することには大きなメリットがあり、
・抽象的一般的な目標設定にならず、具体的な目標が設定させる
・定量目標なので達成度の評価がしやすくなる
・記入パターンの一部固定化により、管理職の評価時間短縮が期待できる
ことなどです。自社で目標管理制度を導入しているものの、従業員がてんでバラバラの目標設定をしているという場合、ぜひ採用して頂ければと思います。
ちなみにこのような記入例の併記は、公務員の目標管理制度でも活用されている仕組みです。
その②:等級や職層ごとに目標の例を示す
先程の①が全従業員に対して共通のルールだったのに対し、これはレベル毎のルール設定になります。例えば、等級制度を導入している会社であれば、等級が上がるにつれ設定すべき目標が高くなり、目標の性質も管理的側面が出てくるような形でルール化します。
これによって、等級が低い従業員が高すぎる目標を立ててしまったり、等級が高い従業員がすぐに到達できる目標を立ててしまったりといった問題を改善することができます。
その③:管理職との面談をテコ入れする
これは必要不可欠でもありますが、もろ刃の剣でもあります。
上記の①②で従業員が過不足のない目標を立てることができたとして、その目標を従業員と共に管理するのは管理職の役割です。中間面談などにおいて管理職が部下の目標進捗状況をしっかりと聞き出し、場合によっては目標を下方修正(期中変更)するという決断も必要です。
したがって、目標管理は部下だけでなく、上司のスキルも重要なのです
目標管理における面談を更に有効化するには、
・部下の目標をサポートするという意識を醸成する
・日ごろから定期的なチームメーティングを実施し、部下の理解を深める
こういったことが重要ですが、やり方を間違えれば単に管理職の仕事を増やすだけにもなりかねません。目標管理制度は基本的に年数回の面談の場を設けるため、面談の時間が長くなったり、面談の回数が増えたりすれば、その分管理職の負担は増加します。
こういった根本改善は、費用対効果をしっかりと考えた上で実行しなければなりません。
以上、失敗しない目標管理制度のルール作りということで、3つの具体的工夫策を説明しました。実際にはもっとたくさんの工夫がありますが、重要なのは自社の目標管理制度や風土にあった工夫を行っていくということです。
特に、現在自社の目標管理制度が有効に機能していない・形骸化しているという会社の方は、ぜひ改善に取り組んで頂ければと思います。
[まとめ]
・目標管理制度を導入している会社は非常に多いが、目標管理制度が形骸化している会社も非常に多い
・目標設定ルールの明確化など工夫行うことで、目標管理制度運用の有効化を図っていくことができる
人事制度にお悩みの経営者や管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
「木村税理士・行政書士事務所」