[サマリー]
・目標管理制度(MBO)とは、管理職との話し合いにより、従業員が自ら期末までに到達する仕事の目標を設定し、仕事を進める仕組みのことを指す
・問題点として、「個人の能力に見合った目標が設定されない」「目標達成の評価がしづらい」「管理職の負担が重い」ことなどが挙げられる



「目標管理制度」という言葉を聞いたことがない方は少ないのではないでしょうか。現在、ほとんどの会社がこの目標管理制度を導入しています。もし名前を知らないという方でも、自社に目標管理制度が導入されているというケースが多いと思われます。

今回はその目標管理制度について、概要と目的、問題点について説明します。


目標管理制度の目的と問題点

目標管理制度(MBO)とは?

目標管理制度(MBO)とは、管理職との話し合いにより、従業員が自ら期末までに到達する仕事の目標を設定し、仕事を進める仕組みのことを指します。目標はあくまで従業員のみで決めるわけでも、管理職が勝手に決めるわけでもなく、話し合いによって決定します。


自分の会社を想像してみてください。年度初め、中間に管理職と今期の目標を設定し、期末に達成度等を確認する仕組みはありませんか?もしありましたら、それが目標管理制度です。


目標管理制度はMBOと略されることもありますが、これは「Manegement By Objectives」の頭文字をとりMBOです。初めに提唱したのはかの有名なドラッガーだといわれています。


では、目標管理制度の目的を説明していきます。目的は大きく2つに分かれているため、分けて説明していきます。


目標管理制度の目的

その①:経営参画型

経営参画型の目標管理制度の目的は文字通り、従業員に会社経営への参加意識を強めてもらうことです。

例えば、会社の今期の業績利益などを従業員1人1人の目標に落とし込み、それに近い数値を目標として従業員に設定させるパターンです。したがって、


会社としての経営目標=個人目標の合計


というイメージです。したがって、従業員それぞれの会社経営への参加意識が自然と高まることとなります。


一方で、先ほど説明した通り、目標管理制度はあくまでも管理職と従業員が相談して目標を設定する制度です。経営参画型の目標管理制度の場合、会社の経営目標を従業員に強制ような形となり、従業員の目標設定の裁量が損なわれるおそれがあります。


その②:主体性向上型

主体性向上型の目標管理制度は、あくまでも従業員の仕事に対する主体性を向上させるために制度を運用するというものです。したがって、目標設定についても経営参画型と比べて管理職の干渉が少なく、従業員からすれば高い自由度で目標を設定することができます。


しかしながら、主体性向上型の目標管理制度は会社経営とはある種関係の薄い目標が立てられてしまうため、目標管理の結果を個人評価や賃金に反映させることが難しいのです。もし反映させないとなれば、目標管理制度は従業員にとってみれば「意味のない制度」となってしまい、目標設定や振り返りのモチベーションが大きくそこなわれてしまいます。

両制度とも、メリット・デメリットがあるといえます。


目標管理制度の問題点

ここまで、目標管理制度の概要、種類ごとのメリットやデメリットについて説明しました。最後に、目標管理制度の「運用面の」問題点について説明したいと思います。

もし自社で目標管理制度を導入されているという方は、その苦労をイメージすればそのまま当てはまるかと思います。
代表的な目標管理制度の運用面での問題点は、以下の3つです。


①個人の能力に見合った目標が設定されない
②目標達成の評価がしづらい
③管理職の負担が重い



イメージ通り、という方も多いのではないでしょうか。特に、目標管理制度を導入されている会社の管理職の方は納得されるかと思います。しかし、これらの問題を解決するのはそう簡単ではなく、問題が解決しないまま目標管理制度を導入されているという会社はたくさんあります。そういった場合、目標管理制度が特に従業員にとって形骸化しているケースがほとんどです。


これらの問題の解決策については、以下の記事で詳しく説明しているので、そちらをご覧いただければと思います。

失敗しない!目標管理制度の目標設定ルールの工夫


以上、目標管理制度について、概要や問題点を説明しました。目標管理制度は採用率が高いわりに有効な運用が難しい制度でもあるので、しっかりとした設計・運用をして頂ければと思います。


[まとめ]
・目標管理制度(MBO)とは、管理職との話し合いにより、従業員が自ら期末までに到達する仕事の目標を設定し、仕事を進める仕組みのことを指す
・問題点として、「個人の能力に見合った目標が設定されない」「目標達成の評価がしづらい」「管理職の負担が重い」ことなどが挙げられる


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