[サマリー]
・定期昇給とベースアップは、どちらも基本給が上昇するという性質がある
・定期昇給とベースアップの最大の違いは、既存基本給テーブル内の昇給か否かである
賃金制度について話している際によく耳にする言葉として、「定期昇給」と「ベースアップ」があります。どちらも賃金が上がるというイメージはあるかと思いますが、詳しい違いを考えたことはありますでしょうか。
今回は、定期昇給とベースアップについて、グラフを見ながら違いを考えていきます。
定期昇給とベースアップの違い
定期昇給とは?
定期昇給とは、年次の評価成績などにより基本給が上昇することをいいます。簡単に言えば、「毎年給料が上がること」ですね。
では、具体的に考えていきましょう。ここでは等級号棒制を例にして説明します。
等級号棒制における定期昇給の例
等級号棒制における定期昇給は、例えば下図のようなイメージです。
これは、等級と基本給の関係を号棒で考えたグラフです。色がついた長方形が号棒だと思ってください。
例えば、1等級1号棒の従業員がいるとします。現在の基本給は、水色の一番下の長方形の水準ですね。この従業員が年度末の評価成績で「2号棒アップ」となった場合、次年度の基本給は3号棒の水色の長方形の水準まで上昇します。これが定期昇給です。
さらにシンプルなグラフにすると、このような形です。
横軸が等級ではなく社歴になっていることに注意してください。
働いていれば毎年基本給が上がっていく、これが定期昇給です。
それでは、ベースアップについて説明します。
ベースアップとは?
ベースアップとは、基本給テーブル自体の書き換え(上方修正)のことです。非常にシンプルに、評価成績などとは一切関係なく基本給が上昇します。
グラフにするとこのような形です。
基本給テーブル(賃金表)自体が書き換わったことで、同じように評価成績がついたとしてもベースアップ前と比べて高い水準の基本給がもらえるということです。
それでは、定期昇給とベースアップの違いについてまとめます。
定期昇給とベースアップの違いとは?
定期昇給とベースアップの違いを一言でいうのであれば、
「定期昇給は賃金表内での基本給上昇だが、ベースアップは賃金表自体の書き換えである」
ということです。定期昇給はあくまでも会社の規定されたルールに従った昇給なのに対して、ベースアップは会社の新しい規定に則った昇給なのです。違いがお分かりいただけたでしょうか。
以上、定期昇給とベースアップの違いについて、グラフを考えながら説明しました。人事制度の中でも賃金制度については従業員の方も特に重視する項目ですので、会社設立や人事制度再構築の際はしっかりとした制度を設計することが重要です。
[まとめ]
・定期昇給とベースアップは、どちらも基本給が上昇するという性質がある
・定期昇給とベースアップの最大の違いは、既存基本給テーブル内の昇給か否かである
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