[サマリー]
・会議の開始時間の遅れは、時間的・金銭的コストや教職員のモラール低下など、様々な弊害を招くおそれが高い
・ペーパーレス化や時間厳守の取り組みにより、会議に無駄を省き効率化を図ることができる




学校の会議、例えば職員会議といえばよくある光景が

「定時になってもなかなか始まらない」


だと思います。プリントを取る長蛇の列が会議室の外まで延び、そしてそもそも人も揃っていないというケースはよくありますね。

今日はそういった、職員会議の中でもスタートまでの効率化ということで、どのようにして無駄を省いていくかということを説明していきます。



学校会議の無駄をなくすには

なぜ「無駄」なのか

時間的・金銭的コスト面の「無駄」

まず、先ほど説明したように会議が始まらないことがなぜ無駄なのか説明します。

例えば、プリントを取るのに時間がかかっているケース、重役が集まっていないケースについて考えましょう。このようなケースでは、会議開始予定時刻から10分程度遅れてスタートということがザラです。この「10分の遅れ」ですが、どれほどの損失になるでしょうか。


例えば50人出席の会議だったとします。
10分の開始遅延により、教職員はなにをするでもなくボーっと資料をながめることしかできない10分間が生じます。単純計算で言えば、10分×50人で500分。


つまり、学校全体として8時間以上の損失が生じているのです。



1人の教員が1日働く時間に相当しますね。会議開始が10分遅れるだけで、学校全体にとってこれほどの損失が生じているのです。

さらに、金銭的コストで考えてみてください。以前紹介したような、労働時間を時給に換算してみる発想です。
例えば教諭1人の給与を400万円とした場合、時給換算するとおよそ2,100円です。つまり、教諭50人が出席する会議が10分遅延すれば、生じるコストは17,500円になります。実際は主任、主幹、管理職等さらに給与が高い教職員の方が人数が多いため、さらに高額のコストが生じています。


つまり、会議の開始遅延は学校全体として時間的・金銭的コストを生んでしまっているのです。

モラール面での「無駄」

モラールとは心理学や経営学分野で使われる言葉ですが、ここではモチベーションと同義だと考えてください。モラル(倫理観)ではありませんのでご注意ください。

会議のスタートが遅れるというのは、教員のモラールを大きく損ねます。
まず、時間に対する意識が強い教員は、会議に内職道具を持参するようになる可能性が高いです。初めの10分は何も始まらないということを分かっているのなら、その時間は自分の仕事をして無駄にしないよう作業しようという発想です。これだけならまだよいですが、このクセがつくと会議中にも内職するようになる恐れがあり、非常に問題です。

また、時間への意識が低い教員は、そもそも定刻から10分遅れを目途に会議室に向かうようになります。こちらも非常に問題ですが、日常的に10分遅れているのであれば仕方ないとも言えます。


このように、会議の開始時刻遅延はさまざまな問題を生んでいるのです。

学校会議を効率化する方法

その①:事前に資料を電子データで共有する

まず、会議開始時刻に近づくと会議資料を取る教員の長蛇の列が生じるという問題は、ペーパーレス化で解決できます。ペーパーレス化という言葉自体は私もあまり好んでいませんし、現場の方も紙資料への愛着が強いかと思いますが、これは間違いなくやるべきです。

データで送っておけば、「紙がなくなったからもう一度欲しい」などの要望も一切なくなります



では、どのようにして共有するかです。学校によってはメールで全体送信しているところもあるようですが、これは以下の2点の問題があります。


・誤送信でデータを添付し忘れたり、最悪の場合他の学校にも送ってしまったりする可能性がある(センターのグループ宛てなど)
・データの差し替えがしづらく、再送信した場合分かりにくい



こういった問題を避けるため、ぜひ学校の職員のみがアクセスできるネットワーク(LANDISKなどの名前で登録している学校が多いです)のフォルダに「職員会議資料」というものを作り、そこに入れて管理するのが有効です。

例えばフォルダに入れるデータの最終確定を会議の前日18時などと決めておけば、それまでに訂正が生じても差し替えることができます。また、フォルダ内にデータが並んでいるため印刷するべきファイルも一目でわかります。


その②:不在者に関わらず定時で始める

その①に並んで重要です。どんなに重要な人物が欠けていても、定時になったら会議を始めるべきです。そもそも教員は生徒対応や業者対応などで、突発的な用事が入りやすく、全員の集合を待っていてはなかなか始めることができません。


たとえ校長が席を外していても、会議を始めるべきです



これによって、管理職が時間に対する意識を教員に示すことができます。もし遅れて入ってきた教員がいれば、静まり返った会議室の中開いている席を探さなければならず、「次回は時間通りに行こう」と思う可能性が高いです。

このように、学校として時間に対する意識を守る姿勢を見せることで、職員会議だけでなく朝の会議や分掌会議などにも波及効果が期待できます。


終わりに


以上、学校における業務改善の具体策として、会議の無駄とり・効率化について説明しました。ペーパーレス化は学校によっては非常に敷居が高いかと思いますが、メール送信の方法よりは受け入れやすいと思います。ぜひ、自校で活用して頂ければと思います。実際に、実務において業務改善を進めていく上では、専門家の協力も重要となります。お悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

学校の業務改善にお悩みの校長や管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
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[まとめ]
・会議の開始時間の遅れは、時間的・金銭的コストや教職員のモラール低下など、様々な弊害を招くおそれが高い
・ペーパーレス化や時間厳守の取り組みにより、会議に無駄を省き効率化を図ることができる