これから居酒屋やバーなどを開業したいという方にとって、初めに必要となる手続が営業許可申請・届出です。一般的に飲食店の営業許可申請というとシンプルなイメージがあるかと思いますが、居酒屋やバーなどの申請は普通の飲食店より手続が多く、複雑であるため、行政書士に依頼して代理申請(代行)をしてもらうというのが一般的です。

そこで当記事では、居酒屋やバーの開業にあたってどのような申請・届出が必要になるか、資格者(行政書士)に依頼した場合どのような流れになるかなどについて解説していきます。

なお、関連事項として、青色申告と白色申告の違いについては下記リンク記事をご参照下さい。



居酒屋・バーの開業に必要な申請・届出

2つの申請・届出

結論からいうと、居酒屋やバーの開業にあたっては、原則として2つの申請・届出が必要となります。それは、「営業許可申請」と「深夜酒類提供飲食店営業届出」です。


まず、1つ目の「営業許可申請」から説明します。
営業許可申請は、ラーメン屋やレストランなど、原則として全ての飲食店が開業にあたって必要となる手続です。この申請は保健所に対して行うものですが、比較的シンプルであるため、開業する事業者本人が自分で申請を行うというケースも珍しくありません。


次に、2つ目の「深夜酒類提供飲食店営業届出」について説明します。

深夜酒類提供飲食店営業とは、風営法に規定されている営業形態の1つです。

読んで字のごとく、深夜にお酒を提供する飲食店が分類されますが、実際には少し複雑です。深夜にお酒を提供する飲食店すべてがこの営業形態に分類されるわけではありません。

詳しく説明すると、深夜酒類提供飲食店営業とは、バー、スナック、居酒屋等深夜(午前0時から午前6時)において、設備を設けて客に酒類を提供して営む飲食店営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。)と定義されます。

ここで、「通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く」というのは、例えばラーメン屋や牛丼屋、ファミリーレストランなどのことを指します。これらのお店はお酒を飲みに行くためではなく、ご飯を食べに行くためのお店というのが一般的ですよね。これらのお店は深夜酒類提供飲食店営業の届出をする必要がないのです。(前述の飲食店営業許可のみの申請となります)

この深夜酒類提供飲食店営業届出ですが、営業許可申請と違い、届出先は警察署となります。
保健所への提出となる営業許可申請は比較的書類作成もシンプルですが、この届出は警察署への届出ということもあり、かつ風営法に規定されているため規制が厳しい関係から、書類作成もかなり複雑となります。例えば店内の図面作成について、営業許可申請では縮尺などあまり気にせず作成しても申請が通るケースがほとんどですが、深夜酒類提供飲食店営業届出の場合は実際の店内の寸法をcm単位で計測し、縮尺を合わせた上で図面作成を行わなければいけません。



このような理由から、居酒屋やバーの開業にあたって必要となる「深夜酒類提供飲食店営業届出」については、事業者本人ではなく、資格者に書類作成や届出の代理を依頼するのが一般的です。

それでは、この部分について深堀していきたいと思います。

どの資格者へ依頼すべきか

居酒屋やバーなどの開業にあたって必要となる「深夜酒類提供飲食店営業届出」は、警察署が提出先だと先ほど説明しました。

この届出に関する専門家が行政書士です。行政書士とは、行政庁への許認可申請に関する専門家として、国家資格を有する者のことをいいます。


では、事業者本人の申請・届出ではなく、行政書士へ依頼したほうがよいと思われる理由について考えます。

申請・届出を行政書士へ依頼すべき理由

①立地や設備の要件が厳しいから

例えば飲食店の営業許可申請の場合、以下のような設備・施設の要件が規定されています。(東京都の場合)

【共通基準】
・場所:清潔な場所を選ぶ
・建物:鉄骨、鉄筋コンクリート、木造造りなど十分な耐久性を有する構造
・区画:使用目的に応じて、壁、板などにより区画する
・面積:取扱量に応じた広さ
・床:タイル、コンクリートなどの耐水性材料で排水がよく、清掃しやすい構造
・内壁:床から1メートルまで耐水性で清掃しやすい構
・天井:清掃しやすい構造
・明るさ:50ルクス以上
・換気:ばい煙、蒸気等の排除設備(換気扇等)
・周囲の構造:周囲の地面は、耐水性材料で舗装し、排水がよく、清掃しやすい
・ねずみ族、昆虫等の防除:ねずみや昆虫などの防除設備
・洗浄設備:原材料、食品や器具等を洗うための流水式洗浄設備、従業者専用の流水受槽式手洗い設備と手指の消毒装
・更衣室:清潔な更衣室又は更衣箱を作業場外に設ける
(上記は営業施設の構造に関するものです。他に、【食品取扱設備】【給水及び汚物処理】などの共通基準が設けられています)

【特定基準】(レストランの場合)
・冷蔵設備:食品を保存するために、十分な大きさを有する冷蔵設備を 設けること。
・洗浄設備:洗浄槽は、2槽以上とすること。ただし、自動洗浄設備の ある場合は、この限りでない。
・給湯設備:洗浄及び消毒のための給湯設備を設けること。
・客席:客室及び客席には、換気設備を設けること。客室及び客席の明るさは、10ルクス以上とすること。また、食品の調理のみを行い、客に飲食させない営業については、客室及び客席を必要としない。なお、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律又は旅館業法の適用を受ける営業を除く。
・客用便所 :客の使用する便所があること。ただし、客に飲食させない営業については、客用便所を必要としない。なお、客の使用する便所は、調理場に影響のない位置及び構造とし、使用に便利なもので、ねずみ族、昆虫等の侵入を防止する設備を設けること。また、専用の流水受槽式手洗い設備があること


そして、深夜酒類提供飲食店営業の場合は、次の通りこれより厳しい施設・設備の要件と、立地の要件が加わるのです。


【施設・設備の要件】
・客室の床面積は9.5平方メートル以上(1室の場合は制限なし)であること
・客室に見通しを妨げる設備がないこと
・風俗を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備がないこと
・客室の出入口(営業所外に直接通ずる出入り口は除く)に施錠の設備を設けないこと
・営業所の照度が20ルクス超であること
・騒音、振動の数値が条例で定める数値以下であること

【立地の要件】
「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」 以外であること(東京都の場合)


このような要件です。特に立地要件は飲食店営業では問われない部分であり、深夜酒類提供飲食店営業特有の要件となっています。


以上のような様々な要件が、深夜酒類提供飲食店営業(居酒屋やバー)には規定されています。要件が複雑であるという事は、シンプルに申請が難しいという事でもありますが、何より怖いのは要件に適合しない施設や立地で開業準備をしてしまった場合です。

設備の要件で引っかかってしまったのであれば、まだダメージは浅くて済みます。設備の交換や工事の追加などで対応できるため、数万円~数百万円の出費で済むことでしょう。しかし、立地の要件で引かかってしまった場合、その損失は計り知れません。店舗賃貸借契約の解除、原状回復義務の履行、新店舗工事などを開業予定日までに大急ぎでやっていくこととなります。当然、大きな出費が見込まれることになります。

②2か所への申請・届出が必要となるから

飲食店営業許可申請の場合、申請先は保健所の一か所のみです。そのため、比較的作成する書類の難易度は低く、手間がかからずに済むといえます。

一方で、深夜酒類提供飲食店営業は保健所と警察、2か所への申請が必要となります。

これは前述の通り、深夜酒類提供飲食店営業が風営法に規定されているからです。風営法というと接待店などのイメージが強いですが、このような深夜にお酒を提供するお店も規定されているのです。また、風営法に規定されているといっても、それ以前に飲食店であることに変わりはないため、飲食店営業許可申請を保健所に行う必要もあるのです。

③申請・届出先のうち1か所が警察だから

深夜酒類提供飲食店営業を行政書士に頼むべきだと考える大きな理由が、こちらです。深夜酒類提供飲食店営業は風営法に規定されているため警察への届出が必要になるというのは先ほど説明しました。これは、単純に保健所への申請の分の手間が2倍になるという話ではありません。保健所への営業許可申請と、警察への届出申請は、全く難易度が異なるのです。


まず、保健所への申請と警察への申請に必要となる書類は異なるため、基本的に1から新しい書類を作成しなければなりません。保健所用に作成した書類を警察にもそのまま出す、というようなことは当然できません。

次に、警察への届出書類の作成についてです。「届出」という単語の印象として揃える書類も少なく、作成も簡単そうなイメージを持たれるかもしれませんが、実際はその真逆です。深夜酒類提供飲食店営業の警察への届出書類は、飲食店営業許可申請(保健所への申請)と比べて複雑かつ種類が多く、作成に係る時間は全く異なります。実際に、行政書士として深夜酒類提供飲食店営業の届出代理の依頼を受け警察に行くと、自力で届出をしようとして警察の方に書類を突き返されているケースもよく見かけます。私が言うのは僭越ですが、自力で書類を提出しようとしている方が「行政書士などにお願いした方がいいと思います」と警察の方に言われている場にも遭遇したことがあります。それくらい、この届出は難しいのです。

④申請・届出に時間を使うべきではないから

大前提として、これから開業を考えていらっしゃる方は申請・届出に時間と労力を割くべきではありません。


おそらく、深夜酒類提供飲食店営業の申請をしたいと考えていらっしゃる方の大半は、従業員15名以下の規模のお店なのではないでしょうか。基本的にご自分で切り盛りをし、パート・アルバイトの方を4,5名雇われるというようなケースが一般的かと思います。このようなお店の場合、何より大事なのは事業の収益化についてとことん考え抜くことです。比較的小規模のお店の場合、売上が思うように上がらなかった場合の経営へのインパクトは計り知れません。数か月売上が伸び悩んだだけで、開業即廃業ということも考えられます。そしてこの開業直後の売上は、開業までの期間でどれだけ収益化(顧客ニーズ、顧客層、商圏、メニューの種類、価格、出店コンセプト、想定客席回転率、プロモーション戦略、……)について考え、手を打ったかで決まるといえます。

実際にお店を開いてからでは、上記のような収益化について考える時間はほとんどありません。大規模なお店でしたら経営者は経営に集中できるため問題ありませんが、ほとんどのお店は経営者の方も厨房に立たれると思いますので、開業後は相当の忙しさとなります。

しかし、ここで重要なのは、大変なことならなんでも外部の専門家や業者に依頼すべきではないという事です。

例えば、仕入れる食材の選定を外部の業者に依頼する料理店はほとんどないと思います。今まで調理をメインとして経験を積んできて、仕入れなどに関する知識はほとんどないとしても、ご自分でこの作業を行われることでしょう。これには2つの理由があります。

・事業の中核をなす工程だから
・反復継続して発生する工程だから

この2点です。
1点目の事業の中核についてですが、これは言い換えれば他店との競争優位の源泉です。仕入れに限らず、独自の調味料や秘伝のレシピといったものも、このような事業の中核を構成します。このような中核を外部の業者に任せてしまった場合、その業者が倒産したり契約価格を釣り上げてきたりした場合に、事業が立ち行かなくなってしまいます。

2点目の反復継続については、文字通りです。開業後も何度も繰り返す作業は、自分でできた方が(=内製化できたほうが)よいのです。小回りも効きますし、コストも大きく削減することができます。


では、保健所や警察への届出申請はどうでしょうか。申請は「通るか通らないか」という性質のため、事業の中核とはいえません。通ればそれだけでよいからです。そして、反復継続して発生することもありません。開業前の1度のみです。

これらが、深夜酒類提供飲食店営業の届出を行政書士に代行した方がよいと思われる理由となります。



申請・届出の流れ

行政書士へ申請・届出を依頼した場合の、居酒屋やバーの開業に関する流れは次の通りです。


深夜酒類提供飲食店営業届出の流れ


保健所への申請に関する書類作成、警察署への届出に関する書類作成などを並行して進めていきますので、スムーズに2つの申請・届出をクリアすることが可能です。


料金

料金は、1店舗当たり18万円(税抜)となっております。


他に保健所・警察へ支払う申請手数料など実費は頂くこととなりますが、当事務所の報酬としては変動無く上記の金額となりますので、安心してご依頼頂ければと思います。


ご依頼の流れ

(1)お問い合わせ

まず、下記お問い合わせフォームからご連絡をお願いします。ご連絡の際は、居酒屋やバーの開業にあたって必要な申請・届出のご依頼を検討している旨をご記載下さい。また、店の概要や営業開始(予定)日など記載頂けるとその後のやりとりがスムーズです。


上記のお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。

(2)初回面談

上記(1)のお問い合わせ後、メールなどで日時を調整した上で面談を行います。面談は当事務所に来所いただく形式が最も多いですが、依頼者の方が遠方の場合など、web会議方式での面談や電話面談なども行っています。

この初回面談にて、契約形式や金額についての詳細を決定します。

(3)正式なご依頼・契約締結

上記(2)の面談の内容を踏まえてご検討いただき、正式なご依頼・契約締結という流れとなります。


当事務所に申請・届出の代理を依頼するメリット

当事務所に居酒屋やバーの申請・届出代理に関するご依頼・ご相談される場合、当事務所の特徴・メリットとして以下が挙げられます。

専門家たる行政書士として検討・申告を行うこと

当方は、許認可に関する法律の専門家たる行政書士として活動しています。したがって、ここまで説明した居酒屋やバーの申請・届出などについて知識や経験が厚く、丁寧かつ適格に書面作成や行政機関との折衝・協議を行うことが可能です。

銀座の行政書士として夜の店関係の依頼を日々受けていること

当事務所は銀座に所在しているため、日ごろからバー、居酒屋、クラブ、キャバクラなど夜のお店に関係する依頼を受けています。したがって、職業理解や職業ごとの法律関係などを理解していますので、ご相談などもスムーズに対応することが可能です。

許認可以外に関する相談にも乗ることもできること

当方は行政書士資格に加え、税金の専門家たる税理士や、経営コンサルタントの国家資格たる中小企業診断士などとしても活動しております。したがって、現在のお仕事に関連して税金の悩みがある場合、確定申告を行いたい場合、今後別の事業を開業されたい場合、新しく法人を設立したい場合など、行政書士業務以外も含めた税務相談や経営相談など幅広い相談に専門的知見から乗ることができます。

依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。



大きくこの3点が、当事務所にバーや居酒屋の申請・届出の依頼をする場合の特徴・メリットだと自負しております。


バーや居酒屋の申請・届出は当事務所にご相談ください


以上、バーや居酒屋の申請・届出の内容やポイント、当事務所にご依頼いただいた場合の料金などについて説明いたしました。

上記の通り、当方は東京銀座にて夜の店関係など様々な経営者からのご依頼を日頃から受け、業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、行政書士への依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。


バーや居酒屋の申請・届出に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。


業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。


お問合せをお待ちしています。

事務所代表プロフィール

(プロフィール詳細はこちらのホームページをご覧ください。)

氏名:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・税理士
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士


業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。

誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。