個人事業主の方は、住所地や事務所所在地の自治体へ住民税を毎年納付していると思います。この住民税には事業所等課税分というものもありますが、必要経費に算入できる部分はあるのでしょうか。


当記事では、住民税・事業所等課税分を必要経費に算入することができるか否かについて、税理士が解説します。

なお、法人を設立した際に必要な届出や申請、青色申告の要件について気になる方は、下記リンク記事で解説していますので、参考にして頂ければと思います。


住民税・事業所等課税分の必要経費算入について

住民税とは?

住民税(地方税)とは、市区町村や都道府県が教育、福祉、ゴミ処理等といった行政サービスを提供するにあたり、これをまかなうための税金です。その地域の住民等が負担することとなります。


住民税は比較的身近な税金ですから、皆さんも知っていらっしゃると思います。個人事業主の方(確定申告している方)ですと、毎年5~6月頃に自治体から納付書が届き、一括または数期にわけて税金を納付する流れです。


事業所等課税分

住民税の事業所等課税分とは、自分の住所地の市などとは異なる市などに事務所・事業所を持っている人に、住民税の一部を負担させるというものです。


どういうことか説明します。例えば、Aさんの住所は東京都中央区で、Aさんが営む事業の事務所の所在地は東京都千代田区だとします。すると、Aさんは東京都中央区に住民税を納付するのは当然ですが、これとは別に、事務所の所在地たる東京都千代田区にも事業所等課税分を納付する必要があるのです。

「ということは、Aさんは住民税を2倍支払わないといけなくなるのでは?」と驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください。事業所等課税分は、いわゆる住民税の均等割部分だけの金額ですので、基本的には数千円となります。


ちなみに、事業所等課税分については、地方税法第294条第1項第2号に規定されています。(次の通りです。)

(市町村民税の納税義務者等)
第二百九十四条 市町村民税は、第一号の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額により、第三号の者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額により、第二号及び第四号の者に対しては均等割額により、第五号の者に対しては法人税割額により課する。
一 市町村内に住所を有する個人
二 市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有しない者




住民税・事業所等課税分は必要経費になるか

それでは、本題に入ります。ここまで説明した住民税・事業所等課税分は所得税の計算において必要経費に算入されるのでしょうか。

結論からいうと、いずれも必要経費には算入されません。


所得税法(第45条)において、どのような支出が必要経費に算入されないか規定されていますが、住民税はここに明文化されています。

所得税法第45条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
四 地方税法…の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)


したがって、この所得税法第45条により、住民税は必要経費にならないことが分かります。また、事業所等課税分もこの条文に含まれますので、同じく必要経費ならないこととなります。「事業所等課税分は事業所を営んでいるから生じているのだから、事業に関連するものとして必要経費になるだろう」という意見はあるかと思いますが、最初に説明したとおり住民税(地方税)は、ゴミ出しや福祉といった行政サービスの提供に伴って徴収される(納付する)税金であり、このような行政サービスの享受と事業所の運営は直接的には関係がないため、必要経費にはならないのです。




以上、住民税・事業所等課税分が必要経費になるか否かについて解説しました。
個人事業を営んでいる方の中には、会計処理・確定申告に手を焼いていたり、事業拡大に伴って法人化を検討したりしているケースも多いかと思います。これら手続や作業は作業負担が大きかったり、難解なものも多く存在します。

もし、顧問税理士をお探しの方は、お気軽にご相談いただければ幸甚です。顧問税理士として、帳簿付け、税務申告や各種申請、法人化のアドバイザリー等を行います。
以下、当事務所に顧問業務をご依頼を頂いた場合の流れなどを説明します。


当事務所(税理士)へのご依頼について

資料のやりとりと記帳代行


当事務所は原則として、レシートや帳簿類を毎月ご送付いただき、それを基に毎月試算表を会社へ送付するという流れで業務を行っています。


したがって、いわゆる決算のみのご依頼というのは原則としてお受けしていません。決算のみのご依頼となると、決算前の会社の状態が分からないため税務相談に乗ることができないだけでなく、毎月処理すべき会計記帳などを1年分まとめて短期間のうちに処理しなければならないからです。ご理解下さい。(ごく小規模の事業者の方については例外もありますので、ご相談下さい。)

また、当事務所は、法人の申告とセットで記帳代行を基本としています。
記帳代行とは、複式簿記による会計帳簿を、会社ではなく当事務所で行うというものです。この記帳代行については、一切引き受けない税理士事務所も存在するなど、税理士が敬遠するケースも多いですが、むしろ当事務所はこの記帳代行を原則としてます。記帳を通して会社の現状を理解することができ、申告や税務相談に良い影響があると考えるからです。

したがって、「自分で会計処理を行っているので、決算だけお願いしたい」というようなご依頼は基本的にお受けしていません。会社の会計処理を当事務所で確認・修正するのに同等以上の手間や時間がかかるためですので、ご理解下さい。なお、従業員が相当数いる会社であったり、経理部がきちんとしている会社など、会社ご自身で会計記帳を行っていただいて何ら問題ないケース(すなわち自計化の方がよいケース)もありますので、ご相談下さい。


ご依頼いただいた場合の毎月の流れ

①月初の資料のご送付

前月1か月分のレシートや、売上台帳などの帳簿、通帳などの資料を当事務所にご送付いただきます。ご送付は、紙媒体の他、電子データのメール送付などでもお受けしています。

②当事務所での記帳処理

①でご送付いただいたデータを基に、当事務所にて会計記帳を行います。

③試算表の送付

②の当事務所での記帳処理が完了し次第、試算表(収益、費用、利益、資産、負債の現況や推移をまとめた表)を会社へ送付します。

④決算と申告

①から③を1年分繰り返したのち、当事務所にて決算処理及び申告を行います。


このように、依頼者の方(会社)とのやりとりを密に1年の作業を進めていきます。

当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリット

当事務所に法人に関する申告や記帳代行をご依頼・ご相談される場合、自力でこれらを行う場合と比較して、以下のようなメリット・特徴があります。

専門家たる税理士として検討・申告を行うこと

当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、法人に関する申告や届出等の税務について、丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。

中小企業診断士として経営の観点を有すること

当方は、経営コンサルタントの国家資格者たる中小企業診断士の資格も活用して業務を行っているので、事業に関する経営面から知見から、相談等に対応することが可能です。

行政書士として各種許認可に関する相談にも乗ることもできること

当方は上記資格に加え、各種許認可申請の専門家たる行政書士としても活動しております。したがって、開業や新規事業に当たって必要となる許認可などの相談にも専門的知見からご相談に乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。


大きくこの3点が、当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリットだと自負しております。

当事務所へご依頼いただいた場合の料金

当事務所は、法人に関する申告や記帳代行として、次の通り料金を頂いています。

1.基本料金
以下、毎月の記帳代行や決算申告の料金となります。なお、会社規模や取引規模に応じて増額しますので、詳細につてはご相談下さい。
・毎月:2万円~
・決算及び申告:毎月の料金の5か月分

2.その他料金
・法定調書、償却資産税申告:1件あたり1.5万円
・年末調整:1人あたり3000円


なお、給与計算、税務調査立会など、その他業務については実態に応じて金額を検討しますので、ご相談下さい。


法人・個人に関する申告や記帳代行は当事務所にご相談ください


以上、消費税の簡易課税制度や、当事務所にご依頼いただいた場合の流れや料金等について説明いたしました。

当方は、税務の専門家たる税理士の資格を中心として、中小企業診断士や行政書士など各種分野の専門家たる資格を活用して業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への法人に関する依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。


申告や記帳代行など、法人の税務に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。


業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。

お問合せをお待ちしています。

事務所代表プロフィール

氏名:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士


業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。

誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。