個人事業を始めるにあたっては、開業届の提出から銀行口座の開設など、様々な苦労があったかと思います。しかし、本番は事業開始後で、事業を円滑に遂行し利益を生み出してく必要があると共に、税務署をはじめとして各種行政機関に様々な届出・申請が必要となります。

その中でも重要となるのが「青色申告の承認」です。この青色申告の承認を受けることによって青色申告をすることができるようになります。そしてこの承認を受けるためには、青色申告承認申請書の提出が必要となりますが、ここで重要となるのが提出期限です。


当記事では、個人が青色申告承認申請を提出・届出する場合の期限について解説します。なお、法人の青色申告承認申請の提出期限や、新しく法人を設立した際に必要となる各種届出や申請の種類については、下記リンク記事にまとめていますので、そちらをご確認ください。



青色申告のメリットは?

青色申告のメリット一覧

提出期限を確認する前に、そもそも青色申告を行うメリットをチェックしたいと思います。青色申告を行うことのメリットは複数ありますが、代表的なものは次の4つです。

・青色申告特別控除
・赤字の繰越
・推計課税の​禁止
・​少額減価償却資産の​損金算入


それでは、順番に説明していきます。


青色申告のメリットの詳細

(1)青色申告特別控除

個人の場合の青色申告最大のメリットは、青色申告特別控除です。これは、10万円~65万円の特別控除を受けることができるというものです。つまり、この分だけ利益が減少するので、税金の支払も少なくて済むということになります。

法人の場合にはこのような制度はないので、個人の青色申告だけのメリットだといえます。


(2)赤字の繰越

青色申告をしている年度に赤字が生じた場合、その赤字を最大3年間繰り越すことができます


つまり、当年度に赤字が生じてしまった場合、その赤字分をストックし、来年度以降にその赤字を黒字が生じた際に相殺して利益(所得)を減少させることができるという制度です。

利益が減少するということは、その分税負担が軽減されることとなり、これも上記(1)の特別控除と同様にとても嬉しい制度だといえます。


(3)推計課税の禁止

白色申告の場合、青色申告のような複式簿記による記帳の要件などがないため、税務調査が入った場合にも適切な帳簿などが存在せず、売上や経費の総額の根拠が良く分からないといったケースがあります。このような場合には、税務署長は、1つ1つのレシートや帳簿を根拠として挙げずに、推計によって課税することができるという法律があります。これを「推計課税」といいます。

しかし、青色申告を行っている事業者については、複式簿記による会計帳簿も当然に備え付けているため、このような推計課税を税務署長が行うことはできないということになっています。

細かい制度ではありますが、青色申告を行っている法人にとってメリットですので、知っておいて損はないでしょう。

(4)少額減価償却資産の​損金算入

取得価額が30万円未満である減価償却資産を取得した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。すなわち、取得価額全額を経費にすることができるのです。

ここで、「30万円未満」という金額を税込・税抜どちらで判断するかですが、税込経理を行っている場合は税込で、税抜経理を行っている場合は税抜で判断することになりますので、注意が必要です。




青色申告承認申請書の提出期限

(1)通常のパターン

通常の場合、青色申告承認申請書の提出期限は、「青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで」です。


3月15日といえば所得税の確定申告の期限ですので、確定申告期限までに提出すればOK、というイメーじになります。法人の場合は提出期限が少し複雑なのですが、個人はシンプルだといえます。


(2)例外パターン

上記(1)で通常パターンを説明しましたが、いくつか例外のパターンが存在します。この例外パターンの中でも最も重要かつ頻出なのが、事業開始初年度のケースです。



事業開始初年度の場合、青色申告承認申請書の提出期限・届出期限は次のように規定されています。


「その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内」


これは、もし上記(1)の通常パターンしか規定がない場合、3月10日に事業を開始した事業者は、3月15日まで(つまり5日間)に青色申告承認申請書を提出しなければならなくなってしまいます。これはあまりに事業者に酷なので、3月15日の2か月前にあたる「1月15日」以降に事業を開始した場合は、その日から2か月後が提出期限になりますよ、という意味なのです。つまり、事業者側に有利な規定であり、開業直後の忙しい時期を考えるととても助かる制度だといえます。



以上、青色申告承認申請書の提出期限・届出期限について説明しました。事業開始後、法人設立後の手続は税務関係のものだけでも多岐にわたり、難しいかと存じますが、青色申告の承認申請を行い、承認を受けることによって、各種メリットを享受することができます。

一方で、事業開始や法人設立した場合に提出する書類は青色申告承認申請書だけでなく、多岐にわたります。その中でも消費税課税事業者選択届出や適格請求書発行事業者の登録申請(インボイス登録申請)については制度を理解するだけでも非常に難解であり、申請・届出にリスクが伴うものでもあります。我々税理士でも、これらの届出・申請を検討する際は、細心の注意を払って行っています。


この記事を読んだ方の中には、これら手続を行うのが難しかったり、手続をする時間がなかったりといった方も多いのではないかと思います。

もし、顧問税理士をお探しであったり、届出や申請についてご自分でのご判断や手続が難しい、時間がないという方は、我々税理士にお気軽にご相談いただければ幸甚です。顧問税理士として、上記届出・申請を行います。また、毎月の会計記帳や年度末の申告についても税理士が行います。
以下、当事務所に顧問業務をご依頼を頂いた場合の流れなどを説明します。


当事務所(税理士)へのご依頼について

資料のやりとりと記帳代行


当事務所は原則として、レシートや帳簿類を毎月ご送付いただき、それを基に毎月試算表を会社へ送付するという流れで業務を行っています。


したがって、いわゆる決算のみのご依頼というのは原則としてお受けしていません。決算のみのご依頼となると、決算前の会社の状態が分からないため税務相談に乗ることができないだけでなく、毎月処理すべき会計記帳などを1年分まとめて短期間のうちに処理しなければならないからです。ご理解下さい。(ごく小規模の事業者の方については例外もありますので、ご相談下さい。)

また、当事務所は、法人の申告とセットで記帳代行を基本としています。
記帳代行とは、複式簿記による会計帳簿を、会社ではなく当事務所で行うというものです。この記帳代行については、一切引き受けない税理士事務所も存在するなど、税理士が敬遠するケースも多いですが、むしろ当事務所はこの記帳代行を原則としてます。記帳を通して会社の現状を理解することができ、申告や税務相談に良い影響があると考えるからです。

したがって、「自分で会計処理を行っているので、決算だけお願いしたい」というようなご依頼は基本的にお受けしていません。会社の会計処理を当事務所で確認・修正するのに同等以上の手間や時間がかかるためですので、ご理解下さい。なお、従業員が相当数いる会社であったり、経理部がきちんとしている会社など、会社ご自身で会計記帳を行っていただいて何ら問題ないケース(すなわち自計化の方がよいケース)もありますので、ご相談下さい。


ご依頼いただいた場合の毎月の流れ

①月初の資料のご送付

前月1か月分のレシートや、売上台帳などの帳簿、通帳などの資料を当事務所にご送付いただきます。ご送付は、紙媒体の他、電子データのメール送付などでもお受けしています。

②当事務所での記帳処理

①でご送付いただいたデータを基に、当事務所にて会計記帳を行います。

③試算表の送付

②の当事務所での記帳処理が完了し次第、試算表(収益、費用、利益、資産、負債の現況や推移をまとめた表)を会社へ送付します。

④決算と申告

①から③を1年分繰り返したのち、当事務所にて決算処理及び申告を行います。


このように、依頼者の方(会社)とのやりとりを密に1年の作業を進めていきます。

当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリット

当事務所に法人に関する申告や記帳代行をご依頼・ご相談される場合、自力でこれらを行う場合と比較して、以下のようなメリット・特徴があります。

専門家たる税理士として検討・申告を行うこと

当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、法人に関する申告や届出等の税務について、丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。

中小企業診断士として経営の観点を有すること

当方は、経営コンサルタントの国家資格者たる中小企業診断士の資格も活用して業務を行っているので、事業に関する経営面から知見から、相談等に対応することが可能です。

行政書士として各種許認可に関する相談にも乗ることもできること

当方は上記資格に加え、各種許認可申請の専門家たる行政書士としても活動しております。したがって、開業や新規事業に当たって必要となる許認可などの相談にも専門的知見からご相談に乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。


大きくこの3点が、当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリットだと自負しております。

当事務所へご依頼いただいた場合の料金

当事務所は、法人に関する申告や記帳代行として、次の通り料金を頂いています。

1.基本料金
以下、毎月の記帳代行や決算申告の料金となります。なお、会社規模や取引規模に応じて増額しますので、詳細につてはご相談下さい。
・毎月:2万円~
・決算及び申告:毎月の料金の5か月分

2.その他料金
・法定調書、償却資産税申告:1件あたり1.5万円
・年末調整:1人あたり3000円


なお、給与計算、税務調査立会など、その他業務については実態に応じて金額を検討しますので、ご相談下さい。


法人・個人に関する申告や記帳代行は当事務所にご相談ください


以上、消費税の簡易課税制度や、当事務所にご依頼いただいた場合の流れや料金等について説明いたしました。

当方は、税務の専門家たる税理士の資格を中心として、中小企業診断士や行政書士など各種分野の専門家たる資格を活用して業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への法人に関する依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。


申告や記帳代行など、法人の税務に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。


業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。

お問合せをお待ちしています。

事務所代表プロフィール

氏名:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士


業務内容:
首都圏を中心に、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。

誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。