[サマリー]
・パレート図とは、要素を大きい順番に並べた棒グラフと、その累積比率を示す折れ線グラフとを同時に示すグラフ(複合グラフ)のことである
・学校における業務改善では、必ずしも「多くの時間がかかっている=改善すべき」とはいえないので、注意が必要である


今回は、学校における業務改善のアイデアということで、パレート図というものについて活用方法を事例と共に説明していきます。

パレート図の活用による学校業務改善

パレート図とは

パレート図とは、要素を大きい順番に並べた棒グラフと、その累積比率を示す折れ線グラフとを同時に示すグラフ(複合グラフ)のことです。

非常にわかりづらいと思うので、実物で考えましょう。
例えば、とある店舗の商品の売上数量をパレート図で示すとします。
A商品は40個、B商品は30個、C商品は10個、D商品は5個、E商品は3個売れたとします。これをパレート図にすると、このようになります。

パレート図とは

水色の棒グラフは、それぞれの商品の売上数量です。左側の「個」の軸で表されます。それに対してオレンジ色の折れ線グラフは、累計売上数量の割合です。例えばB商品の数値を読むと約80%となっていますが、これは「A商品とB商品の合計売上数量が、全体の約80%である」ということです。



では、このパレート図を学校における業務改善で活用してみたいと思います。
以前、当ブログで「業務調査表」というものを紹介しました。これは、それぞれの業務についてどれだけの時間がかかっているか調査するというツールでしたね。

その結果をパレート図にまとめてしまえばよいのです。
業務調査表につてはこちらの記事で詳しく説明しているので、参照ください。

学校におけるパレート図の活用


まず、前回の記事のように業務調査表で業務の種類や時間を調査します。

業務調査表

このようなイメージですね。これを2週間~1か月程度行い、結果をパレート図で集計します。
ちなみにパレート図はExcelの「すべてのグラフ→ヒストグラム」の中にデフォルトで入っていますので、ワンボタンで表示させることができます。詳しくは他の情報系サイトで詳細に説明されているので、ご確認ください。

では、パレート図の結果がこのようになったとします。

学校におけるパレート図の例

※本来はもっと項目が多いですが、ここでは例として説明するため6項目に絞りました。また、左側の軸は本来「時間」が入っています。


この結果を見て、「学年だより作成業務の改善を図るべきだ」と思う方はいらっしゃらないですよね。効果的な業務改善を行うためには、上位3つ程度の業務を検討するべきでしょう。
ここで、

・「授業案作成」は非常に多くの時間がさかれているが、時間をかけるべき業務でもある。また、授業内容の迷い等によりこれだけの時間がかかっているとすれば、教科の他の教員など専門知識のある人材に相談させるべきである。したがって、積極的に業務改善すべきであるかは要検討である。

・「出欠管理入力」「授業プリント印刷」業務については、すぐに業務改善を検討すべきである。出欠管理入力業務であれば、紙媒体使用による2度手間や入力フォーマットの不整備、印刷業務であれば印刷機の使用ルール周知不足や使用時間帯の密集などが想定される。どちらも積極的に業務改善を進めていくべき業務である可能性が高い。


このような分析をすることができます。学校における業務改善で難しいのは、授業関係業務についてです。授業そのものの時間は削減できないのは当然として、授業準備にかける時間は短縮すればよいというわけではありません。
したがって、これらの業務をどのように扱っていくべきかは、校長や管理職の方針にも寄ってくるところです。

それ以外の業務については、パレート図を使って効果的に業務改善を進めていくべきといえます。


終わりに

以上、パレート図を用いた業務改善のアイデアを、事例を考えながら説明しました。業務調査表→パレート図活用の流れは強力ですが、学校の内部人材だけでは手が回らないこともあるかと思いますので、そういった時こそ我々の出番であるともいえます。また、実務において業務改善を進めていく上でも、専門家の協力も重要となります。お悩みの際は、お気軽にご相談ください。

学校の業務改善にお悩みの校長や管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
「学校業務改善は経営コンサルタントにおまかせ下さい」


[まとめ]
・パレート図とは、要素を大きい順番に並べた棒グラフと、その累積比率を示す折れ線グラフとを同時に示すグラフ(複合グラフ)のことである
・学校における業務改善では、必ずしも「多くの時間がかかっている=改善すべき」とはいえないので、注意が必要である