[サマリー]
・経営ビジョンを策定・明示している学校は限定的である
・経営ビジョンの策定は、逆算型の経営計画策定には不可欠である



学校において、経営ビジョンというものは非常に重要です。
しかしながら実際には、経営理念と経営ビジョンが混同されていたり、非常に抽象的な経営ビジョンが掲げられていたりと、有用な経営ビジョンが掲げられているケースは意外にも少ないです。

今回はこの経営ビジョンについて、重要性を説明していきたいと思います。

経営ビジョンの重要性について考える


以前説明したように、経営ビジョン設定は経営理念を実現するための手段、道筋となります。ここでもう一度、経営理念を最上流とする企業活動全体についての概念図を確認したいと思います。

経営ビジョンの位置付けとは(おさらい)


経営活動の流れ




このように、正しい企業活動を行う上では経営理念を明示・浸透させることが重要であるということを以前お伝えしました(詳しくは、ページ右側の経営理念・ビジョンのカテゴリーからご覧ください)。そして経営理念を設定した次に、それに沿った経営ビジョンを設定することが重要です。


そもそも経営ビジョンとは様々な定義がなされますが、シンプルに考えるならば経営理念を達成するためにどうあるべきか、どうなるべきかという到達点です。
一般企業でよく掲げられる経営ビジョンとしては、「地域でNO.1になる」といったものが挙げられます。どの程度まで詳しく書くべきかということになりますが、「売上目標〇〇円」のようなレベル(定量的といいます)まで記述する企業もあります。
しかしながら、あまりに詳しく設定すると、上の図でいうところの経営計画と重なってきてしまうので、この位のレベル感で問題ありません。

学校における経営ビジョンとは

では、学校法人における経営ビジョンの実態はどのようなものでしょうか。
実際に、多くのの学校は経営ビジョンの策定を行っていないと思われます。経営ビジョンだけでなく、経営戦略を策定・明示している学校も少ないのではないでしょうか(逆に、経営理念と経営計画については設定・策定している学校は多いと思います)。



経営ビジョンと経営戦略を設定せずにいきなり経営計画を策定しようとした場合、積み上げ型の経営計画となります。積み上げ型とは、各部門(分掌)の取り組みなどを前年実績などを基に予想して足しあわせ、全体計画とするような方法です。トップ層(校長)を最上位、一般社員(教員)を下位とした場合、下から上に作っていくイメージです。このような積み上げ型の経営計画策定も重要であり、特に実現性が高い計画は策定されますが、経営理念達成の観点からするとデメリットが大きいです。あくまでも経営理念とは別の観点から作られる計画になるので、理念達成の時期や可能性の見通しが立ちません。

経営活動の流れ


ではなぜ、経営ビジョンと経営戦略を設定せずに経営計画を策定するとこのようなことが起こるかというと、経営理念はレベル感が大きく(当然数値目標もない)、それをもとにいきなり計画を策定するということが困難だからです。


ここに、経営ビジョンや経営戦略を策定する意味があります。
経営ビジョンにより経営理念達成のためのあるべき姿を設定し、経営戦略によって経営ビジョン達成のためにやるべき事を設定するのです。
すると、経営戦略(やるべき事)に向けた経営計画を策定することができ、経営理念から経営計画まで一筋でつながったものが出来上がります。ちなみに、このような上流から下流に向けて策定する計画を逆算型と言ったりします。



このように、経営ビジョンの設定は経営理念を具体化(あるべき姿の設定)することに意味があるといえます。学校において、経営理念を掲げるのみでビジョンを設定していないということであれば、ぜひ考えれもらえればと思います。



[まとめ]
・経営ビジョンを策定・明示している学校は限定的である
・経営ビジョンの策定は、逆算型の経営計画策定には不可欠である



学校や塾の経営にお悩みの経営者・管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
「木村税理士・行政書士事務所」