この記事を読まれていらっしゃる方は、

・唐揚げ屋、焼き鳥屋、定食屋などの飲食店を経営したい
・すでに経営しているものの、思うような利益が出ていない


といった方が多いのではないかと思います。唐揚げ屋の特徴は店舗の増加率であり、店舗数が近年急速に増加しており、出店したとしても競合店舗と顧客を取り合うような構図となってしまい、思うように利益がでないケースも多いです。


そこで当記事では、唐揚げ屋の経営で儲けるには?をテーマとして、この業界の利益率などの指標の目安、利益率のポイント、収益に関するシミュレーションなどについて解説していきたいと思います。

なお、唐揚げ屋の営業許可手続については以下の記事で解説しておりますので、参考にして下さい。






唐揚げ屋の経営で儲けるには

唐揚げ屋経営の特徴

まず、唐揚げ屋の経営について、財務(お金)の面から確認していきましょう。飲食店を経営していく上では、このようなポイントを抑えておくことが重要となります。

特徴①:競合の存在が大きい

唐揚げ屋には、近年大変人気の飲食店となっております。

そこで問題となるのが、競合他店舗です。競合とは、一言で言うとライバル店のことです。ここで、唐揚げ屋の場合の競合とはなにを指すかが重要となります。
例えば唐揚げ屋を開業する場合、競合となるのはもちろん他の唐揚げ屋ですが、それだけではありません。定食屋やそば屋、テイクアウト専門の唐揚げ屋であれば惣菜販売店やケバブ屋なども場合によっては競合となり得るでしょう。つまり、唐揚げ屋の競合は「その他ほとんどの飲食店」となるのです。

ちなみに、唐揚げ屋の数は2011年は全国で420店舗だったにも関わらず、2018年4月の段階で1,408店舗と約3倍に拡大しています(日本唐揚協会より)。つまり、ものすごいスピードで唐揚げ屋の出店が続いているのです。実際に、私の地元でも唐揚げ屋が短期間で2店舗もオープンしました。


ここで唐突ですが、人間の胃袋の大きさは決まっています。よって、ほとんどの方は1日3食以上しっかりとした料理を食べることはありません。さらにいえば、朝から唐揚げを食べる人は少ないでしょう。
つまり、ある場所にお店を構えた瞬間に、そのエリアで売れる品数(つまり売上高)の上限が決定するのです。その上限を、競合店舗で取り合っていき、残った部分が自店の売上高という仕組みです。

つまり、唐揚げ屋の経営でしっかりと利益を出すには、まず、
・どこに出店するのか
・競合はどこなのか

この2点を徹底的に考える必要があるといえます。


特徴②:FLRコストが大きい

唐揚げ屋の財務(お金)面での特徴として有名なものに、「FLRコスト」があります。
FLRコストとは、「food(材料費)」「labor(人件費)」「rent(家賃)」の頭文字を取ったもので、飲食業にかかる3大コストのことを表します。


唐揚げ屋を経営するに当たっては、このコストの「率」を管理することが重要となります。(「額」は、お店の規模によって異なって当たり前のため、あまり重要ではありません)

このFLRコストの売上高に対する比率を、FLR比率と言います。計算式は、
(材料費+人件費+家賃)÷売上高×100
です。そしてこの比率が70%を超えると、廃業せざるを得ないような危機的状況だといえます。具体的には、Fコスト(材料費)が35%以内、Lコスト(人件費)が20%以内、Rコスト(家賃)が15%以内でないと、厳しいといった状況です。

ここで、材料費は料理品質やロス率、人件費は業務効率性、家賃は立地で決まるものですので、FLR比率が高いようでしたらこれらを改善する必要があると言えます。


業界指標の平均値

唐揚げ屋の経営をされる方であれば、財務・数字のことはある程度知っておく必要があります。もし知らないという方は、他に財務に詳しい専門家を顧問に付けるなど、情報を得られる環境を作る必要があります。

もしご自分で財務分析ができるという方でしたら、以下に業界の平均指標を掲載しますので、ご参考になさってください。(なお、数値は「日本政策公庫 小企業の経営指標調査(一般飲食店)」を参考としております。)

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全体としては、ざっとこのような形になっております。数が多く分かりにくいかと思いますので、重要な指標を色付けしました。

・黄色→収益性に関する指標
・水色→効率性に関する指標
・緑色→安全性に関する指標


となっております。これらの指標のみ抜粋したのが、以下の表です。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-3.png

総資本経常利益率 :-0.8
売上高総利益率:64.8
売上高営業利益率:-1.4
売上高経常利益率:-0.4
従業者1人当たり売上高: 9,226千円
従業者1人当たり人件費:2,924千円
流動比率:171.1
自己資本比率: -42.2
損益分岐点比率: 103.9

最低限、この数値を抑えておけば大丈夫です。飲食店経営をされており、ご自分で財務分析が出来るという方は、ご自分の飲食店のこれら指標の数値がどのような値なのか、上記の業界平均と比べて高いのか低いのかを確認してみて下さい。

もしご自分の飲食店の経営状態(財務状態)が気になる、分析してもらいたい、という方がいらっしゃいましたら、本記事の下部のお問い合わせフォームから御連絡いただけばと思います。


収益シミュレーション

ここまで開設したように、唐揚げ屋の経営は立地や競合で決まる部分が非常に大きく、開業するに当たっては周到な準備と戦略が必要となります。そこで重要となるのが、「収益シミュレーション」です。

収益シミュレーションとは、競合の存在や固定費・変動費などの財務構造を分析予測し、開業した場合における月間・年間の利益を算出することをいいます。


このシミュレーションをすることにより、赤字となるリスクを抑え、順調な開業の滑り出しを見込むことができるのです。よく、商店街にある小規模カフェなどで、お客さんが満員になったとしても黒字にならない構造となっているようなお店を見かけます。そうならないためにも、収益シミュレーションは非常に重要なのです。

今回は、収益シミュレーションの例として、とあるテレビ番組で紹介されたこれから開業するケーキ屋を題材に、シミュレーションの方法などを簡単に紹介します。(ケーキ屋の例ではありますが、飲食店としての性質は唐揚げ屋と同じですので、同様の分析手法が活用できます)
詳しくは、以下の記事もご覧ください。


シミュレーション店舗の概要

シミュレーション店舗の概要は以下の通りです。

・ケーキ店を個人で開業する
・開業する町の人口はおよそ500人
・観光名所が近く、外国人観光客が一定数訪れる
・開業資金は650万円


この情報を基に経営分析・見込み財務分析を行うと、以下のようになります。
※実際に御依頼を頂いた場合は、依頼者の方が開業する・開業されている飲食店に合わせ、ここで紹介するより遥かに詳細な分析を行いますので、ご安心頂ければと思います。

収益の分析

総務省「家計消費状況調査」調査データより、1年間あたりの洋菓子への支出金額(日本国民が洋菓子を食べる金額)は、1人当たりおよそ6,558円であることが示唆されます。

そしてこの例に挙げた町の人口はおよそ500人ですので、この店舗の年間売上はおよそ328万円であると算出されます。

繁華街などでしたら商圏分析という顧客数調査を行うのですが、この事例の場合は山奥の小さな町ですので、簡略化しております。

費用の分析

費用の分析は、特に重要な費用である「人件費」「家賃」「原材料費」「支払利息」「水道光熱費・修繕費・広告宣伝費」の5つに絞り試算してみます。

①人件費

個人での開業であり、従業員も雇わない模様であるため、人件費負担はありません。

②家賃

店舗は賃貸物件であり、本事例の場合、月当たりの賃借料は22,000円程度でした。したがって、1年あたりの家賃は264,000円となります。

③原材料費

一般的な飲食店の原価率(原価額÷売価)は30%程度です(先ほどの「Fコスト」を思い出してください。したがって、このお店の原材料費は、売上×30% という計算で算出することができます。

④支払利息

この事例の場合、融資を日本政策金融公庫から受けているとのことでしたので、日本政策金融公庫の担保不要融資基準金利である2.16%(記事作成当時のもの)を採用することとします。(詳細はこちら

650万円の借入額を10年で返済する場合の支払利息を概算すると、1年あたりの支払利息はおよそ77,000円となります。

⑤水道光熱費・修繕費・広告宣伝費

ケーキ屋、山奥に立地という2点を踏まえ、月当たり合計で3万円程度発生するものと想定します。

シミュレーション結果

ここまでの試算を基にしたシミュレーション結果は、以下のようになります。なお、「損益計算書」とは、1年間の売上と費用をまとめ、利益を表示した計算書のことをいいます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 図4.jpg



この表から分かる通り、借入金返済後の利益はおよそ1年間で94万円であると試算されたことになります。

では、この94万円というのは開業としてせいこうなのでしょうか。


結論から述べると、厳しい開業であると言わざるを得ません。


借入金返済後の利益額はおよそ94万円であり、1か月あたりの処分可能利益は7.8万円ということになります。このシミュレーションは税金を省いて計算しているため、実際はさらに低い額になることが想定されます。これだけの利益しか捻出できないのであれば、ケーキの製造に使っている機械が1つ壊れればアウト、というような状況にもなりかねません。


このように、開業前に収益・費用・利益をシミュレーションすることによって、

・他の立地に店を構えた方がよいのではないか
・他店と差別化するために、宣伝や内装を考えた方が良いのではないか
・このまま開業しても大きな利益が見込めるので、安心である


など、様々な対策を立案したり、満を持して開業に臨んだりすることができるのです。繰り返しになりますが、唐揚げ屋は立地や競合で決まる部分が非常に大きいです。つまり、何も考えて開業してしまうと、その時点で利益があまり上がらないことが決まってしまうようなケースも多々あります。そのようなリスクを少しでも軽減するためには、開業前の段階から収益シミュレーションをするべきだといえます。
(開業後でも、収益シミュレーションを応用した商圏分析・顧客分析を行うことで、利益向上を見込むことができます)


唐揚げ屋の経営相談は経営コンサルタントにお任せ下さい

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ここまで、唐揚げ屋の経営について重要なポイントを解説しました。
・唐揚げ屋を開業したいが、不安が大きい
・開業したが、思うように利益が上がらない
・お店の備品購入や宣伝について補助金をもらいたい


このようなお悩みやご要望がある方は、ぜひ我々専門家に御相談ください。当事務所は、以下のような業務を行っております。

支援業務①:収益シミュレーション

開業前の段階で、依頼者の方の事業の採算がとれるのか(成功可能性がどの程度あるのか)についてシミュレーションを行います。先ほど説明した実例でのシミュレーションは簡略化したもので、実際は以下のような分析を行います。

・外部環境分析:対象となる事業の国内全体の動向、競合店舗の実態など、お店を取り巻く外部環境を分析します
・商圏分析:見込み顧客の人数や年齢層ごとの分布、獲得シェア見込みを分析します
・顧客購買量分析:顧客がどれだけ自店舗の商品を買い、どれだけの売上が見込まれるか分析します
・損益分岐点販売数分析:何人顧客が来店すれば、商品を何個売れば黒字になるのか、具体的に分析します
・長期業績分析:3年後、5年後に売上、費用、利益がどのような推移をたどるのか、シミュレー
ションを行います

このような分析によって、依頼者の方の事業の成功可能性の判断を行います。具体的なアウトプット(依頼者の方に提供するもの)は、上記分析の結果をまとめた紙媒体の資料となります。スライドとしてまとめているため、結果は1時間程度の報告会という形で依頼者の方にご報告いたします。スライドは全体で20枚程度となります。分析のみでなく、取るべき対策や方向性についても1枚程度で簡単にまとめた内容となっておりますので、開業・起業に大いに役立つとのお声を頂いております。

当業務についての料金は、1つの事業につき15万円(税抜)となっております。(詳細はこちら)

開業・起業前の15万円は大きな出費であり、もったいないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。実際に、唐揚げ屋をこれから開業するという方にとっての15万円は、ほかの備品購入や宣伝費に回したいと思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、このような分析を専門家へ依頼することで、事業の経営上のポイントを知ることができ、なにより黒字化が見込めない事業を踏みとどまることができます。
絶対に失敗できない開業・起業であるからこそ、専門的知見からの分析・シミュレーション結果を参考にすることにより失敗リスクを低減すべきであると考えております。

支援業務②:補助金申請の代行

現在、国や自治体をはじめとしてたくさんの補助金や助成金が制度化されています。受け取れる金額は、50万円~500万円ほどのものまでさまざまです。そして、補助金の対象となる経費は非常に幅広いため、「知らない人が損をする」ような制度となっているといえるでしょう。

例えば、補助金の対象となる経費は以下の通りです。

・チラシや看板作成などの広告宣伝費
・ホームページ作成費
・機械、備品購入
・店舗の改装工事費
・コンサルティング費用


などです。補助金は返済不要の資金であるため、銀行融資と違って「借りる」のではなく「もらえる」お金なのです。そのため、新しく事業を始める方にとって非常に強力な制度であることが知られています。
一方で、補助金申請には事業計画書の作成が必須であり、さらに採択率(補助金が実際にもらえる確率)も20~70%程度であるため、質の高い事業計画書を作成しなければ補助金をもらうことはできません。


当事務所は、依頼者の方に代わって、補助金申請に関する書類の作成・申請の代理業務を行っております。料金は、完全成功報酬制で20%を頂いております。

完全成功報酬なので、着手金などはございません。補助金が採択されなかった場合(つまり、依頼者の方が補助金を貰えなかった場合)は、一切の料金を頂きません。安心してご依頼いただけるかと存じます。
詳しくは、以下のページもご確認頂けると幸いです。

支援業務③:営業許可申請手続の代理

唐揚げ屋の営業を始めるには、営業許可の申請手続を行うことが必要です。この申請には、申請書の作成をはじめとし、保健所職員の実地検査など様々な手続・処理が必要となります。

当事務所は許認可申請の専門家である行政書士として、このような唐揚げ屋の営業許可に関する手続の一切を代理いたします。

報酬は、一件につき6万円をいただいております。詳しくは、こちらのリンクをご確認ください。



以上、唐揚げ屋の経営に必要となるポイント、収益シミュレーションや補助金申請について簡単に説明しました。皆様の事業の成功を心より願っております。

業務に関するご質問、ご相談やご依頼は、以下のお問い合わせフォームからお待ちしております。


当事務所について

代表氏名:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・税理士 ・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)

業務内容:
首都圏を中心に、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。行政書士としては、飲食店営業許認可取得の代理や会社設立の代理を中心に活動。経営コンサルタントとしては、販路開拓や補助金申請、創業融資支援などを中心に活動しております。中小企業診断士・行政書士の2つの資格を活用して、経営面と法務面の2つの視点から、依頼者の方の事業拡大を業務として行っております。