[サマリー]
・経営革新計画の認定を受けることによって、特に融資面において大きなメリットを得ることができる
・一方、経営革新計画の書式は15ページにも及び内容も複雑であるため、作成について専門家への依頼も選択肢の1つだといえる


「経営革新計画」をご存知でしょうか。経営革新計画は作成・認定によって様々メリットが得られるという反面、知名度があまり高くないという状態が続いています。

そこで今回は、経営革新計画の作成を検討されている中小企業の経営者の方々へ向けて、経営革新計画のメリットや書き方を解説したいと思います。

経営革新計画

経営革新計画とは?

経営革新計画とは、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書のことです。

経済産業省の中小企業庁がこの経営革新計画に関する認定を取り扱っており、認定を受けることによって金融支援などを始め沢山のメリットを受けることができます。つまり、国が中小企業を応援する施策なのです。


ここで、先ほど説明した経営革新計画の定義の中で出てきた「新事業活動」と「経営の相当程度の向上」という部分が問題になります。この2つをクリアすることができなければ、経営革新計画の認定を受けることはできないのです。

新事業活動

新事業活動とは、以下の4つのうちいずれかに当てはまる活動のことを指します。

1.新商品の開発又は生産
2.新役務の開発又は提供
3.商品の新たな生産又は販売の方式の導入
4.役務の新たな提供の方式の導入


この4つです。つまり、この4つのうちいずれにも当てはまらないような新事業の計画であれば、認定を受けることはできないのです。経営革新計画は名前の通り、「革新」的な事業活動に関する計画を立てるというものです。つまり、上記4つに当てはまるような新規性が必要となるのです。


ここで、「当社がやりたい事業は別に革新的じゃないから……」と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、あきらめるのは少し早いです。

自社の想定では革新的でない事業でも、顧客や外部利用者からすれば革新的であるという可能性は十分にあります。

そもそも、「革新的事業」と聞くと非常にハードルが高いようですが、実際に認定を受けた経営革新計画を見ると、革新性にも高低があります。実際に、この記事を読まれている方・会社の新事業の革新性も十分に経営革新計画の要件を満たす可能性がありますので、お悩みの際はご相談頂ければと思います。

経営の相当程度の向上

「経営の相当程度の向上」については、以下のように数値的な基準が決まっています。

経営革新計画の基準


計画期間とは、何年間分の計画を作成するかによって異なってくるため、3つのケースが想定されています。問題は、条件の経営指標についてです。「付加価値額ってどうやって計算するんだ…」と思った方は、ぜひこちらの記事をご参照ください。

付加価値の簡単な計算式


付加価値とは?計算式と生産性との関係



経営指標については、作成に財務的な知識が必要となる部分でもありますので、苦手な方は大変かもしれません。上記の記事がご参考になれば幸いです。


ではここから、実際に経営革新計画が認定された際のメリットについて簡単に解説します。

経営革新計画のメリット

実際に経営革新計画が認定されることによって、各種機関から様々な支援を受けることができます。代表的なメリットは、以下のような点です。

・日本政策金融公庫による低利融資制度
・中小企業信用保険法の特例
・各種補助金の加点 
・海外展開事業者への支援制度
・中小企業投資育成株式会社法の特例
・特許関係料金減免制度


ざっとこの6点がメリットとなります。幅広い支援策が揃っていることが分かるかと思います。ここでは代表的なメリットである上から3点を解説したいと思います。

日本政策金融公庫による低利融資制度

経営革新計画の認定によるメリットは、融資に関する支援策が充実しています。

この日本政策金融公庫による低利融資制度についても、融資に関する支援策の1つです。日本政策金融公庫とは政府系の金融機関(銀行)ですが、この金融機関から通常の金利より低い金利での融資を受けることができます。

大規模な設備投資など融資を検討されている方には非常に嬉しいメリットの1つです。

中小企業信用保険法の特例

これは少し分かりづらいかもしれませんが、一言でいうと融資の枠が広がるというメリットです。


細かくなりますが、この中小企業信用保険法の特例とは「信用保証協会」が「債務保証を別枠で付与」するというものです。信用保証協会とは簡単に言うと、銀行が中小企業に融資をする際に、その融資を保証する機関です。銀行側としては融資をする際にもし返済してもらえなくなったらと不安になりますが、信用保証協会が融資の保証をすることで不安なく中小企業へ融資を行うことができます。

そして、この経営革新計画の認定により、保証協会が別枠で債務保証をしてくれるのです。
実際に、金額としては以下のようになります。

経営革新計画の融資メリット

一般保証というのが経営革新計画の認定を受けない状態ですが、経営革新計画の認定を受けることによって保証枠が2倍になっていることが分かります。

シンプルにいえば、追加融資を断られていた状態でも、新たに融資を受けることができる可能性が非常に高くなるという事です。


このように、経営革新計画の認定には融資面でのメリットが非常に充実しているのです。

各種補助金の加点

経営革新計画の認定を受けることで、ものづくり補助金などの加点を受けることができます。

ものづくり補助金とは、新製品・サービス開発や生産プロセス改善等のための設備投資に関する支援を受けることができるという補助金です。補助金の上限額はなんと1,000万円という非常に大きな額であることが特徴です。


このものづくり補助金は、補助金の上限額も大きく強力な補助金である一方、採択率がおよそ4割程度(時期により変化)であり、決して採択されやすいということはできません。しかし、経営革新計画の認定を受けることによって、このものづくり補助金に採択されやすくなるのです。

さらに言えば、先ほど挙げたメリットの「低利融資」「別枠保証拡大」と補助金を組み合わせるというようなプランを立てることができるため、この補助金加点は非常に強力な武器となるのです。

さて、ここまで経営革新計画の認定を受けることによるメリットを説明しました。特にこれから新事業を始めたり、事業拡大をされたりする方には非常に強い味方なのがこの経営革新計画です。
ここからは、実際に経営革新計画はどのような内容を書くことになるのかについて解説していきたいと思います。

経営革新計画の書き方

経営革新計画で作成する内容は書式が決まっており、以下のようになっています。

・事業活動の概要
・当社の現状
・本計画を策定するに至る「きっかけ」と経緯
・新事業の内容「自社にとって何が新たな取組みであるのか」
・計画の実施「新事業をどのように実施するのか」
・計画を実施した結果はどのようになるのか
・実施計画と実績
・経営計画及び資金計画
・中期経営計画及び資金計画の算出根拠資料
・新規事業 売上高計画の内訳
・設備投資計画及び運転資金計画



必ず作成・記入しなければならない事項でこの量なのです。さらに、上記の事項は「1つにつき1ページ」という書式となっております。実際に、経営革新計画はA4サイズのword資料が15ページ分もあるのです。これらについて綿密に練りこみ、作成していく必要があります。

また、「経営計画及び資金計画」「中期経営計画及び資金計画の算出根拠資料」「新規事業 売上高計画の内訳」「設備投資計画及び運転資金計画」などは数値計画を作成する必要があり、高い財務的な知識や能力が必要となります。


このように、経営革新計画は膨大な量の資料を作成しなければならないため、申請する方の多くは経営コンサルタントなどの専門家に依頼しているというのが現状です。もちろん、自社で計画を作成し申請することもできますが、なにより多くの時間や手間をとられてしまうため、特に新事業を始めたいという方にとっては難しいというのが実際かと思われます。

申請代行依頼をお考えの方へ

以上、経営革新計画のメリットや書式について説明しました。経営革新計画は特に融資面での大きなメリット得ることができる反面、計画の作成自体に大きな手間や時間がかかってしまうという特徴があります。

もし、新規事業・事業拡大をされる方で経営革新計画の認定を受けたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ我々専門家に御相談頂ければと思います。
当事務所は経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士として活動しており、経営革新計画も幾度となく作成してきております。また、計画書作成だけでなく新事業に対する経営面全般のご相談に乗れるため、依頼者の方のニーズに幅広く対応することができると自負しております。

経営革新計画の作成についてのご相談・ご依頼は、こちらのホームページからお待ちしております。
「木村成コンサルティング事務所」


[まとめ]
・経営革新計画の認定を受けることによって、特に融資面において大きなメリットを得ることができる
・一方、経営革新計画の書式は15ページにも及び内容も複雑であるため、作成について専門家への依頼も選択肢の1つだといえる