[サマリー]
・監事とは、学校法人の業務や財産の状況に関する監査を行う学校法人の機関である
・監事の選任や要件には複数の規定があり、適切な機関設計が重要であるといえる

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学校法人の機関の1つに「監事」があります。この監事は、学校法人の監査などを行う重要な機関といえます。

今回は、学校法人の監事について、役割や選任、その要件などを解説していきます。

学校法人の監事について

監事とは?

監事とは、学校法人の業務や財産の状況に関する監査を行う学校法人の機関です。

一般企業で言うところの監査役とイメージが近いといえます。
この監事ですが、私立学校法では2人以上置かなければならないと定められております(ちなみに理事は5人以上置かなければいけません)。


それでは、監事について更に詳しく説明していきます。

監事の役割

監事の役割(職務)は、私立学校法第37条3項で以下のように決められています。

①学校法人の業務を監査すること

②学校法人の財産の状況を監査すること

③学校法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後二月以内に理事会及び評議員会に提出すること

④第一号又は第二号の規定による監査の結果、学校法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを所轄庁に報告し、又は理事会及び評議員会に報告すること

⑤前号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること

⑥学校法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べること


①と②については、監査業務そのもののことを示しています。③以降は、監査の結果をまとめ、理事会や評議会・所轄庁等に報告するということを示しています。大きな意味で、監査業務を行うことが監事の役割ということができます。


監事の選任

監事の選任については、私立学校法第38条に示されています。ざっと概要を示すと、

①監事は、評議員会の同意を得た上で理事長が選任する
②監事には、選任の際に学校法人の役員または職員でないものが含まれるようにしなければならない


これが監事の選任についての法定事項です。
①の理事長とは、学校法人が役員として置かなければならない5人以上の理事のうち、特定の1名のことを指します。

②については、監査の公平性を保つための規定と考えることができます。学校法人の業務や財産を監査する感じが全て学校側の人間だとすると、監査の信頼性が低くなってしまいます。「学校側に甘く監査するのではないか」という疑問を持たれるかもしれません。そこで、監査を公平に行うためにも、役員や職員ではないものが監事に含まれなければならないという規定があるといえるのです。


監事の要件

監事の要件は、私立学校法の第39条および40条に示されています。


第39条:監事は、理事、評議員又は学校法人の職員と兼ねてはならない
第40条:監事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内に補充しなければならない



このように示されています。第39条を読むと、先ほどの監事の選任と同じことを言っているように感じるかもしれませんが、この条文も大きな意味を持っています。
先程の監事の選任に関する38条の内容は、「選任の際に役員または職員でないものが含まれるようにしなければならない」というものでした。つまり、38条の内容だけを捉えるならば、役員または職員でないものを選任し、選任後に役員または職員にするということができてしまうことになります。

そこで、39条の内容が大きな意味を持ちます。39条は、そもそもとして監事は理事や評議員・職員であってはならなという規定ですので、監事選任後もその監事を職員等にすることはできないということになります。


終わりに

学校法人における監事は、役員の中でも監査業務等を行う重要な機関です。機関の設計や学校経営などでお困りの際は、御気軽に我々専門家に御相談頂ければと思います。

学校の業務改善にお悩みの校長や管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。



事務所代表プロフィール

名前:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・税理士 ・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・ファイナンシャルプランニング技能士2級
・中学、高等学校一種教員免許(元高校教員)

業務内容:
首都圏を中心に、学校や教育関連企業等の中小企業支援を業務として行っている。経営コンサルタントとしては、教育現場の業務改善や販路開拓のコンサルティングなどを中心に活動。行政書士としては、会社設立の代理や営業許認可取得の代理を中心に活動している。中小企業診断士・行政書士の2つの資格を活用して、経営面と法務面の2つの視点から、組織・事業の業務改善と拡大支援に励む。



[まとめ]
・監事とは、学校法人の業務や財産の状況に関する監査を行う学校法人の機関である
・監事の選任や要件には複数の規定があり、適切な機関設計が重要であるといえる