[サマリー]
・5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つのSから始まる単語をさす用語である
・中小企業においては、いきなり5S活動を始めるのではなく、2S活動からスタートしていくということも選択肢の一つであるといえる




工場や作業場を中心として、「5S」という言葉をよく耳にする方も多いかと思います。

今回はこの5Sについて、意味やその目的を説明していきたいと思います。

5Sの意味と目的

5Sとは?

5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つのSから始まる単語の頭文字をとったものです。

5Sとは



単語そのものの意味は上記の通りですが、実際にはもっと広い意味で捉えられることが多いです。
広い意味での5Sの意味は、「整理、整頓、清掃、清潔、しつけを組織的に行うことによって、職場を綺麗にする活動のこと」です。

このような意味合いでの5Sを、「5S活動」と呼ぶこともあります。
工場や作業場ではこのような5S活動は重要ですが、同じように一般的なデスクワークの職場でも5S活動を行うことは大きな意味があります。


それでは順番に、5Sの要素について説明していきます。

5Sの要素

整理

整理とは、不要なモノを捨てることです。

モノであふれかえっているような職場では、まず整理を行うことが最優先です。モノがなくなるだけでも、職場がスッキリした印象になり、作業がしやすくなります。

整理を進める上で代表的な手法に、「赤札作戦」があります。
赤札作戦とは、赤い札を用意してそれをしばらくの間使用していないものに貼っていくという作業です。「しばらくの間」については、1か月など部内で共通のルールを設定して札を張っていきます。そして、赤札を張り終わってから数週間など過ごしていく中で、もし赤札が貼ってあるモノを使用する機会があれば、札をはがします。そして、数週間後まで札が貼りっぱなしであったもについて「整理する」捨てるという作戦です。

部内全員で行うことができ、また視覚的にも分かりやすいため整理の代用的な手法として知られています。

整頓

整頓とは、使いやすいようにモノを配置することです。

整理によって不要なモノがなくなった後に重要なことは、必要なモノを使いやすく配置することです。使用頻度が高いものを手前に置いたり、割れやすいものを低い場所に移動したりというような変更が当てはまります。


清掃

清掃とは、職場を綺麗に掃除することです。
場合によっては、掃除と共に点検をするというような定義のパターンもあります。

整理整頓によって不要なモノがなくなり、効率的に配置されたとしても、職場が汚ければ意味がありません。ここでいう汚いというのは、モノであふれかえっているというわけではなく、単純な汚れやホコリなどです。


特にこの清掃は、汚れやすい職場であればあるほど重要になります。汚れやすい職場では「どうせまた汚れるから意味がない」というような思考になりがちですが、一度徹底的に綺麗にしてしまえばその後も綺麗に使う習慣が自然につくものなのです。

清潔

清潔とは、綺麗な状態を維持することです。

先ほど説明した清掃によって職場が綺麗になっても、一時的なものでは意味がありません。清掃した状態を維持することこそが清潔です。

清掃の具体的な手法としては、汚れやすい備品の使い方を決める、油や溶液が垂れるような場所の下に受け皿を置く、使用後は軽く拭くなどルール付けをする、などです。

しつけ

しつけとは、上記を維持する習慣をつけることです。

しつけは先ほどまでの4つの要素と異なり、社員教育の要素が大きいといえます。一方で、真剣に全社員が上記4要素を実施することができれば、しつけの素養は既に出来上がっているケースも多いといえます。

いきなり「綺麗にする習慣をつけろ」と言ってもなかなか難しいですが、整理整頓清掃清潔を全社的にこなした後であれば、その大切さを身をもって理解しており、また逆戻りしてしまえば同じことをやり直さなければいけないという意識が芽生えます。よって、4要素を丁寧に推進してさえいれば、しつけの定着ももう一息ということになります。

5Sの中の2Sとは?

5Sと同様の考え方に、「2S」というものがあります。これは非常にシンプルで、5Sの中の「整理整頓」のみを抜き出したものが2Sです。

なぜ抜き出すのかといえば、5S意識のない会社でいきなり5S活動を行うことが難しいからです。そのような下地のない会社には、まず2S活動から優先的に行っていき、下地ができたところで残る3Sについて実施していけばよいのです。

実際に、2Sの要素である整理整頓は改善効果が目に見えやすく、また体感もしやすいため、改善活動の走りとしては有効であると思っています。

以上、5Sや5S活動について、意味とその目的を説明しました。私自身、中小企業の業務改善を行っていく上ではいきなり5Sではなく、まずは2Sから社員の方と共に進めていくケースがほとんどです。いきなり頂上を目指すのではなく、スモールステップを意識することも大切だと思っております。
ぜひ、管理職の方主導で5Sや2S活動を進めて頂ければと思います。


[まとめ]
・5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つのSから始まる単語をさす用語である
・中小企業においては、いきなり5S活動を始めるのではなく、2S活動からスタートしていくということも選択肢の一つであるといえる


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