[サマリー]
・学校における学生募集戦略の立案として、AISASモデルの活用は有効である
・AISASモデルでは、フェーズ毎に戦略立案および数値目標計画の作成を行うことが重要である




小学校や中学校、大学や専門学校・幼稚園など、どのような校種であっても学校にとって学生募集は非常に重要です。しかしながら、受け身の学生募集になっており、論理的な根拠に基づいた募集対策が行えていないという学校も多いかと思います。

今回は、どのような視点で学生募集戦略を立てていくべきか、コンサルタントとしての手法をご紹介します。

学生募集戦略の立て方

戦略策定の重要性

「戦略策定」というとどうしても一般企業のイメージが先行してしまいますが、学校においても戦略策定は重要です。実際に、中期経営計画など経営計画を策定されている学校は多いかと思いますが、戦略とは計画をどのように実現していくかという手段のことです。

学校における戦略策定のツール

学校における戦略策定のツール(考え方)には、様々なものがあります。
例えば、

・セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという考え方を用いて戦略策定を行う「STP
・他校と比較した際の自校の位置付けによって戦略を策定する「競争地位別戦略
・競合する巨大校と戦うための戦略を策定する「ランチェスター戦略


などです。ここでは深くは説明しませんが、気になる方は名前の部分をクリックして頂けると詳しい記事が読めますので、そちらからお願いします。


今回の記事で特に紹介したいのは、「AISAS」の考え方を使った具体的な戦略策定についてです。


AISASとは

AISASとは、インターネット時代における、消費者の意思決定プロセスのモデルのことです。学校でいえば、学生や保護者がその学校を全く知らない状態から、受験するまでの意思決定のプロセスをモデル化したものです。

図示すると、このようなプロセスになります。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は image-10.png です


順番に、
①Attention:注目
②Interest:興味
③Search:検索
④Action:行動
⑤Share:情報共有


です。学生や保護者は、このようなプロセスを経て学校受験を行うのです。
(一般的なAISASモデルについてもっと知りたい方は、こちらの記事をご参照ください

募集戦略におけるAISASの活用

では、更に具体的に説明します。学校におけるAISASモデルを実際の流れに落とし込むと、このような形になります。

学生募集戦略の策定方法


「Action」のAが2つありますが、ここは学校においては重要な点です。

そしてこのモデルにおいて最も大切なのは、いきなり受験を決める生徒・保護者は絶対にいないということです



受験する生徒の多くは説明会などに参加しています。参加していなくても、インターネットなどで学校を調べています。調べていなくても、学校に興味は持っています。万が一興味すらなかったとしても、学校への認知は必ずあります。


「受験者数を増やすんだ!」では募集戦略ではありません
「説明会を充実させ、来場者中の受験者割合を増やそう」「口コミのプラットフォームを整備し、非認知層の認知化を図ろう」というように、具体的に落とし込めてこそ募集戦略なのです



そして我々コンサルタントなら、上記のような意思決定モデルを考えるとき、それぞれの数値目標にまで戦略を落とし込んでいきます。

学生募集戦略の具体化

例えば、「学校を認知」した生徒・保護者の中で、「実際に興味」を持ってもえる人の割合目標を40%として目標を立てる、といった具体です。


上記の例で言えば、「学校に興味」から「学校を調べる」部分と、「説明会に参加」から「受験」部分の目標が80%であり、重視している計画となっています。

このような計画から導き出される戦略は、

・「学校に興味」から「学校を調べる」部分→行動誘起戦略:広告に検索を誘導するようなキーワードを入れるなど
・ 「説明会に参加」から「受験」部分 →ホスピタリティ強化戦略:説明会における教員・本校生徒の対応をマニュアル化・丁寧化し、保護者や生徒の好印象を狙う


などです。

ここで重要なのは、フェーズが進むにつれて必ず人数が少なくなっていくことです


例えば、「学校を認知」しただけの状態にある人が100人いたとしましょう。ここで目標通り、40%の人たちが「興味を持つ」の段階に進んだとします。当然ですが、「興味を持つ」の段階の人数は40人です。
さらにフェースが進み、目標通り80%の人が「学校を調べる」行動をとってくれたとしましょう。この行動をとった人は、40人×80%=32人 となります。

このように、フェーズが進むごとに人数は必ず減ります。途中で増えることは決してありません。


最終段階の「受験」にまで生徒・保護者を導くためには、できるだけ多くの生徒・保護者を最初の「認知する」フェーズに誘導し、その後なるべく多くの生徒・保護者のフェーズを進めていくことが重要といえるのです。


以上、学校における学生募集戦略の立案について、AISASモデルの活用というテーマで説明いたしました。実際のコンサルティングでは、学校や周辺状態に適した経営戦略モデルを検討し、具体的な戦略立案を行っていきます。募集戦略についてご質問やお悩みなどありましたら、ぜひ専門家である我々コンサルタントにご相談頂ければと思います。

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「木村成コンサルティング事務所」

また、当事務所は学校教職員の業務改善・業務負荷軽減にも精力的に取り組んでおります。詳しくは、こちらのホームページをご覧ください。
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事務所代表プロフィール

名前:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・ファイナンシャルプランニング技能士2級
・中学、高等学校一種教員免許(元高校教員)

業務内容:
首都圏を中心に、学校や教育関連企業等の中小企業支援を業務として行っている。経営コンサルタントとしては、教育現場の業務改善や販路開拓のコンサルティングなどを中心に活動。行政書士としては、会社設立の代理や営業許認可取得の代理を中心に活動している。中小企業診断士・行政書士の2つの資格を活用して、経営面と法務面の2つの視点から、組織・事業の業務改善と拡大支援に励む。



[まとめ]
・学校における学生募集戦略の立案として、AISASモデルの活用は有効である
・AISASモデルでは、フェーズ毎に戦略立案および数値目標計画の作成を行うことが重要である