[サマリー]
・ランチェスター戦略とは、弱者の立場と強者の立場に分かれて、それぞれの立場にあった戦略をまとめたものである
・学校では、「学習指導」「行事」「部活動」など全ての活動に等しくすべての資源を投入する計画を立てがちである 「強者」「弱者」の立場を考えるべし
以前当ブログでは、公立学校・私立学校・専門学校などで特に考えてもらいたい「競争地位別戦略」について説明しました(詳しい説明はこちらから)。
今回は、学校や塾、教育業界企業における戦略策定ということで、「ランチェスター戦略」について説明します。
戦略策定:ランチェスター戦略のポイント
ランチェスター戦略とは
ランチェスター戦略とは、弱者の立場と強者の立場に分かれて、それぞれの立場にあった戦略をまとめたものです。このランチェスター戦略も、立場によってとるべき戦略が変わるという意味では、「競争地位別戦略」と同じですね。
そもそもランチェスター戦略は、第一次世界大戦でイギリスのランチェスターという航空工学者が編み出した「ランチェスターの法則」をルーツにする理論です。つまり、元は軍事戦略のモデルとして作られているのです。
では、このランチェスターの法則とはどのようなものなのでしょうか。この法則には第一法則や第二法則がありますが、一般的な考え方を説明します(「ランチェスター戦略」で検索するとたくさんの類似サイトが出てきますので、詳細を学びたい方はそちらを参考にしてください)。
ランチェスターの法則の大前提: 戦闘力=武器効率×人数
これが基本理論です。つまり、いい武器を持っていて人数が多いほうが勝つということです。
これを企業に置き換えてみるとどうでしょう。中小企業は大企業に絶対に勝てない道理になってしまいます。
ランチェスターの法則が示しているのはこんなことではありません。中堅規模の学校でも、リーダー校を倒せるのです。
以下の図が、「強者」と「弱者」の取るべき戦略です。
順番に説明していきます。
・基本戦略:強者のミート戦略(幅広く扱う)に対し、弱者は差別化戦略(個性を尖らす)をとるべきである
・商品,サービス:強者の物量戦(様々なモノに資源を投入)に対し、弱者は一転集中主義をとるべきである
・地域戦略:強者の広域戦に対し、弱者は局地戦をとるべきである
・流通戦略:強者の遠隔戦(顧客と距離を置く)に対し、弱者は接近戦をとるべきである
・顧客戦略:強者の確率戦(たくさんの客を狙う)に対し、弱者は一騎打ち戦(一人ひとりを狙う)でいくべきである
・戦法:強者の誘導戦(他社にマネさせ個性をなくす)に対し、弱者は陽動戦でいくべきである
もちろん欠点としては、古いモデルを参考にしているため現代に適用しきれな部分がある、などが挙げられます。しかしながら、マーケティングの基本的な考え方として、ランチェスター戦略は今でも有効だといわれています。
学校におけるランチェスター戦略とは
それでは、学校法人でランチェスター戦略を考えるとどうなるでしょうか。
最も重要なポイントは、自校のポジションによってとるべき戦略が変わるということです。前回説明した競争地位別戦略も踏まえ、この点をまず意識してもらいたいと思います。
例えば近隣に、有名な進学校で学校行事も盛ん、部活動でも結果を出しているような学校があるとします(実際によくありますね…)。そういった学校に対しどうやって挑んでいくべきか。具体的には生徒募集対策としてどうやって自校を志望する生徒を増やすべきか。
学校でありがちなのは、全ての活動に等しくすべての資源を投入する計画を立てることです。「学習指導」「行事」「部活動」など、策定された単年度経営計画を見ると全ての活動において非常に積極的なプランが描かれていることが多いです。
これは、「ミート戦略」つまり強者の戦略ですよね。金銭的・人的資源が等しい”弱者”(あくまでランチェスター戦略上での表現です)である学校は、弱者の戦略として「差別化戦略」を取るべきなのです。
全ての活動において勝負しても、全ての活動で負ける可能性が非常に高いです。
それよりも、1つの活動に資源を集中させ差別化された魅力を生み出し、ほかの活動は現状維持を目指したほうが、自校を志望する生徒も増える可能性が高いといえます。
以上、「強者」「弱者」に分け、それぞれがとるべき行動をまとめたランチェスター戦略の説明でした。
次回は、同じく戦略策定の理論であるドミナント戦略について説明します。
[まとめ]
・ランチェスター戦略とは、弱者の立場と強者の立場に分かれて、それぞれの立場にあった戦略をまとめたものである
・学校では、「学習指導」「行事」「部活動」など全ての活動に等しくすべての資源を投入する計画を立てがちである 「強者」「弱者」の立場を考えるべし
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