同人AVを制作しており、アダルト動画販売サイトなどのプラットフォームで販売しているという方は、風営法に規定された届出(許認可の取得)を行う必要があります。当記事では、具体的にどのような届出を行う必要があるのか、どんな手続なのか、そもそも届出は絶対に必要なのかなどについて解説していきます。
なお、関連記事として、同人AV配信・販売の確定申告について悩んでいる・税理士を探しているという方は下記リンク記事をご確認ください。
同人AV販売に必要な届出
風営法の規定について
まず最初に、風営法の規定について確認してみましょう。同人AVの販売については、次の条文にて規定されています。
風営法第2条第7項
この法律において「無店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
二 電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら、前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの
まず、この法律で規定されているのは、冒頭の通り「無店舗型性風俗特殊営業」です。この無店舗型性風俗特殊営業の定義として、一と二の2つのケースが定められていることが分かります。ここで、読んで分かった方もいると思いますが、一のケースは派遣型のファッションヘルス、つまりデリヘルなどの営業のことであり、二のケースは同人AV販売などの営業のことを指しています。したがって、以下はこの二のケース(風営法第2条第7項2号のケース)に絞り説明していきます。
それでは、この条文から読み取れる要件を確認してみましょう。文章を分解すると、次の2つの要件から構成されていることが分かります。
(1)電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、
(2)前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの
つまりこの(1)と(2)の両方の両件を満たす場合には、「無店舗型性風俗特殊営業」として風営法の規制対象となっており、届出が必要になるということです。
では、(1)と(2)の要件について具体的に読み込んでみましょう。
(1)については、要約すると、「電話などの方法による客の依頼を受けて」となりますが、同人AV販売は基本的にアダルトサイトなどのプラットフォームを介するのが一般的であり、電話のケースは少ないですから、このようなネット販売が該当するかが問題となります。そこで、「国家公安委員会規則で定める方法」の部分が何を示すのかが重要となりますが、これは次の通り規定されています。
風営法施行規則第五条
法第二条第七項第二号の国家公安委員会規則で定める方法は、次に掲げるとおりとする。
一 電話その他電気通信設備を用いる方法
二 郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便
三 電報
四 預金又は貯金の口座に対する払込み
五 当該営業を営む者の事務所(事務所のない者にあつては、住所)以外の場所において客と対面する方法
電話、郵便、電報、対面…など様々な手段が記載されていますが、注目すべきは一の部分です。「電話その他電気通信設備を用いる方法」と書かれていますね。ここで、電気通信設備とは、簡単にいえばインターネットなどのことです。つまり、結論として、無店舗型性風俗特殊営業の(1)の要件「電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて」の部分には、インターネットを介してお客さんから購入の依頼が入るケースも含まれるのです。
次に(2)の要件については、「(2)前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの」と聞くと小難しいですが、簡単に言えば「性的好奇心をそそる写真や動画を販売したりすること」という意味です。したがって、同人AVの販売であればこの(2)の要件も(ほぼ)全てのケースで満たすこととなります。
いかがでしょうか。このような理由から、同人AVの動画販売サイトでの販売(通信販売)については、この2つの要件(インターネットからの購入依頼、性的動画の販売)を満たすため、「無店舗型性風俗特殊営業」として風営法の届出を行う必要があるといえるのです。
一方、逆に言えば、この2つの要件を満たさない場合や、そもそも営業目的でないもの(無料のもの)などは当該既定の対象外ですから、無店舗型性風俗特殊営業としての届出は不要となります。
なお、ネット上での「通信配信」ではなく、myfansやfantia、onlyfansなどプラットフォームでの同人AVの「配信」を行う場合には、無店舗型性風俗特殊営業ではなく「映像送信型性風俗特殊営業」の届出が必要になるため注意が必要です。この映像送信型性風俗特殊営業については、下記リンク記事をご覧ください。
本題に戻ります。同人AVを通信販売する際に必要な無店舗型性風俗特殊営業の届出について、届出先や届出をしなかった場合の罰則、届出の必要書類について解説します。
届出先
無店舗型性風俗特殊営業については、営業の本拠となる事務所(申請人の住所地等)を管轄する警察署が届出先となります。
営業を開始する10日前までに当該警察署に対して届出をする必要がありますので、注意が必要です。
届出をしなかった場合の罰則
届出をしなかった場合、つまり無許可営業の場合については、次の通り罰則が規定されています。
6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその併科
ここで、「併科」とは、両方を科すという意味です。つまり、無許可営業の罰則は、最悪の場合「6か月の懲役及び100万円の罰金」ということになります。懲役刑も規定されているということで、相当に厳しい規定だといえるでしょう。
無店舗型性風俗特殊営業については、このように無許可営業に対して厳しい罰則規定が準備されていますので、警察に摘発されないためにも、しっかりと営業開始10日前までに届出をしておくことが重要だといえます。
届出の必要書類
それでは、無店舗型性風俗特殊営業の届出に必要な書類について説明します。届出に必要となる書類は一例として次の通りです。
(1)無店舗型性風俗特殊営業営業開始届出書
(2)営業の方法
(3)事務所の平面図
(4)事務所建物の使用承諾書
(5)事務所建物の全部事項証明書
(6)住民票
上記は一例ですが、(1)~(4)が特に作成・調達のハードルが高い書類となります。(1)~(3)については、綿密な作りこみ、作図などが必要となり、(4)については事務所建物の賃貸人の承諾書であるためそもそも調達が困難なケースも多く存在します。「届出」という名称のため簡単そうに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、風営法関係の行政機関への提出物(提出行為)は「申請」ではなく「届出」という名称のものがほとんどである一方、届出の難易度は一般的な飲食店などに必要な申請より遥かに難しいものが多いです。これは、風営法関係の提出物(提出行為)の名称を「申請」としてしまうと国側が申請に対して受理をする必要があり、風俗営業を認めてしまったことになるから(「届出」の場合は、営業者側が勝手に国に届け出ているだけなので、国は風俗営業を認めていないというスタンスをとれるから)という理由があるとも言われています。
小難しい説明をしましたが、簡単に言えば、風俗関係は「届出」という名称であっても難しい内容が多いということになります。
ここまで、同人AVの通信販売を行う場合に必要となる「無店舗型性風俗特殊営業」の届出について、必要となるケースや届出先、罰則、必要書類などについて解説しました。無店舗型性風俗特殊営業の届出は営業開始前10日前までに提出という期限もあるため、できる限り早く対応を進めて頂ければと思います。
しかし、自分で届出書の作成を適正に行い、管轄の警察署に提出し、警察側と折衝・協議を行うというのはなかなか難しく、また時間がかかると思います。「届出の作成にに自信がない」「一度自分でやってみたが、間違っていないか不安だ」「営業開始の10日前という期限を過ぎてしまった」「時間がかかりそうなので、代わりに作成・提出などをやってほしい」「そもそも届出が必要なのか判断に迷っている」など、当てはまるという方はぜひ行政書士にご依頼ください。当事務所は東京銀座で行政書士業行っており、日ごろから風俗関係の経営者や夜職で働いている方からの依頼を受けていますので、安心してご相談いただければと思います。
(代表行政書士のプロフィールはこちらのホームページをご覧ください。)
以下、当事務所にご依頼頂く際の料金や流れなどについて記載します。
当事務所の無店舗型性風俗特殊営業の届出の料金
(1)届出の代理をご依頼の場合の料金
無店舗型性風俗特殊営業(同人AVの通信販売)に関する届出の代理を当事務所にご依頼頂いた場合、料金は税抜15万円となります。
当該料金にて、届出書の作成から提出、警察側との折衝・協議まで当事務所にて行います。(依頼者本人も折衝協議の場に同席してほしいと警察側から要請されるケースもありますが、そうでない場合は当事務所まで全て行うことが可能です。)
なお、警察へ支払う届出手数料の実費、交通費実費については別途頂く形となりますが、他には特段料金はかかりませんのでご安心下さい。
(2)ご相談のみの料金
無店舗型性風俗特殊営業の届出に関する相談だけしたいという場合、相談料として税込1万円を頂いています。
「届出書自体は自分で作成しているので、関連事項について相談だけしたい」「そもそも届出が必要なケースなのか分からないので、相談したい」など、純粋な相談のみのご依頼の場合はこの料金のみを頂く形となります。
ご依頼の流れ
(1)お問い合わせ
まず、下記お問い合わせフォームからご連絡をお願いします。ご連絡の際は、無店舗型性風俗特殊営業(同人AVの通信販売)の届出代理のご依頼を検討している旨をご記載下さい。また、販売プラットフォームや営業開始(予定)日など記載頂けるとその後のやりとりがスムーズです。
上記のお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
(2)初回面談
上記(1)のお問い合わせ後、メールなどで日時を調整した上で面談を行います。面談は当事務所に来所いただく形式が最も多いですが、依頼者の方が遠方の場合など、web会議方式での面談や電話面談なども行っています。
この初回面談にて、契約形式や金額についての詳細を決定します。
(3)正式なご依頼・契約締結
上記(2)の面談の内容を踏まえてご検討いただき、正式なご依頼・契約締結という流れとなります。
当事務所に届出の代理を依頼するメリット
当事務所に無店舗型性風俗特殊営業の届出代理に関するご依頼・ご相談される場合、当事務所の特徴・メリットとして以下が挙げられます。
専門家たる行政書士として検討・申告を行うこと
当方は、許認可に関する法律の専門家たる行政書士として活動しています。したがって、ここまで説明した無店舗型性風俗特殊営業の届出など風俗関係について知識や経験が厚く、丁寧かつ適格に書面作成や行政機関との折衝・協議を行うことが可能です。
銀座の行政書士として夜職の方の依頼を日々受けていること
当事務所は銀座に所在しているため、日ごろからキャバクラ、クラブ、風俗など夜職で働いている方や経営者の法務に関する依頼を受けています。したがって、職業理解や職業ごとの法律関係などを理解していますので、ご相談などもスムーズに対応することが可能です。
許認可以外に関する相談にも乗ることもできること
当方は行政書士資格に加え、税金の専門家たる税理士や、経営コンサルタントの国家資格たる中小企業診断士などとしても活動しております。したがって、現在のお仕事に関連して税金の悩みがある場合、確定申告を行いたい場合、今後別の事業を開業されたい場合、新しく法人を設立したい場合など、行政書士業務以外も含めた税務相談や経営相談など幅広い相談に専門的知見から乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。
大きくこの3点が、当事務所に届出代理や相談を依頼する場合の特徴・メリットだと自負しております。
無店舗型性風俗特殊営業の届出は当事務所にご相談ください
以上、無店舗型性風俗特殊営業の届出の必要書類、罰則、提出先や、当事務所にご依頼いただいた場合の料金などについて説明いたしました。
上記の通り、当方は風俗関連法務の専門家たる行政書士として、東京銀座にて夜職で働いていらっしゃる方や経営者からのご依頼を日頃から受け、業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、行政書士への依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。
無店舗型性風俗特殊営業(同人AVの通信販売)の届出に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。
業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。
お問合せをお待ちしています。
事務所代表プロフィール
(プロフィール詳細はこちらのホームページをご覧ください。)
氏名:木村 成(きむら じょう)
保有資格:
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・税理士
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士
業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。
誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。