
クラブやラウンジ、風俗などで働いている夜職の方にとって、税金は悩みの種だと思います。一般的な会社員でしたら年末調整によって会社側が勝手に税金の計算・手続を行ってくれるため簡単ですが、夜職は個人事業主として確定申告を行って税金を計算・手続しなければなりません。
そこで当記事では、ホステスとして働いている方にはどのような税金がかかってくるか、税額はどれくらいになってくるかについて、解説していきたいと思います。
なお当方は、東京銀座に事務所を構え税理士業務を行っています。銀座という土地柄、クラブやラウンジ、風俗で働いている方など夜職の方の依頼を日々受けていますので、確定申告や税務顧問など、お気軽にご相談、ご依頼頂ければと思います。
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関連記事として、夜職の確定申告で所得税がいくら戻ってくるかや、夜職はインボイス登録をすべきかどうかについては下記リンク記事をご確認ください。
ホステスにかかる税金
(1)所得税
ホステスをはじめとする個人事業主にかかる代表的な税金が所得税です。
所得税は、収入ではなく文字通り所得にかかってくる税金ですので、収入(売上)に対して課税されるのではなく、所得(売上から経費などを差し引いた金額)に対して課税されます。ここで、所得税の具体的な計算方法は次の通りです。
所得税額=(売上ー経費ー所得控除)×税率
ここで売上とは、給与明細の一番上に書いてある金額(額面)を指します。手取り額ではないので注意が必要です。
経費については説明不要かと思いますが、特に夜の仕事の場合はどのような支出が経費になるかが難しいため、経費の該当性の判断については慎重に行う必要があります。
次に所得控除とは、イメージとしては経費に近いものであり、この所得控除の金額が大きいほど所得税額も小さくなります。所得控除の種類としては、例えば「社会保険料控除」「生命保険料控除」「基礎控除」などが挙げられます。
最後に税率ですが、税率は所得の金額(つまり、売上ー経費ー所得控除の金額)に応じて段階的に決まっています。簡単に言うと、稼いでいる人ほど税率も高くなります。具体的には、次の通りの税率となります。

(国税庁ホームページより引用)
なお、夜職の方はこの所得税を毎月支払っているケースがあります。これを「源泉所得税」といいます。気になる方は、給与明細を確認してみて下さい。この源泉所得税は、給与の金額を元に予め所得税を概算して給与から差し引くというものであり、上記の実際の所得税の金額(年間の所得税の確定額)については、上記の通り「(売上ー経費ー所得控除)×税率」によって計算することとなります。その結果として、実際の所得税の金額が源泉所得税の合計額を下回った場合、確定申告によって所得税の還付を受けられることもありますので、自分が源泉所得税を支払っているかについてはしっかり確認しましょう。
(2)住民税
住民税も、所得税と並んでホステスにかかる代表的な税金です。
計算方法も所得税と似ており、概ね「(売上ー経費ー所得控除)×税率」で計算することができます。ただし、住民税の税率は所得税と違って一定であり、10%と決まっています。確定申告の後、年4回に分けて自治体(市区町村)に対して納付する運びです。したがって、源泉所得税のように給与(受け取る報酬)から差し引かれるようなことはなく、送られてきた納付書を使って自分で納付することとなります。
(3)国民健康保険料
税金ではありませんが、金額が大きくなるものとして国民健康保険料が挙げられます。
いわゆる「国保」と呼ばれており、個人事業主は社会保険(健康保険)に加入することができないため、この国保に加入することとなり、所得に応じた保険料を支払う事となります。
先ほど説明した住民税と同様に、確定申告を行うことによって、後日自治体(市町村)が保険料を計算して納付書を送ってくるので、これを使って自分で保険料を納付する流れとなります。
(4)国民年金
国民年金も、所得税・住民税・国民健康保険料と並び、個人事業主が納めなければならないものの1つです。
ただし、国民年金は所得税などと違い、所得に応じて金額が決まるのではなく、金額が一律で決まっています。例えば、令和7年度ですと毎月の納付額は「17,510円」と決まっていて、これを自治体から送られてくる納付書を使って支払うこととなります。
ホステスは売上・利益が他の業種と比べて高額になりやすく、所得税・住民税・国民健康保険料も高額となりがちですが、国民年金はどんなに稼いでも一定額ですので、ある意味では良心的と考えることができるかもしれませんね。
税金を支払っていない・無申告の場合は…
ここまで、ホステスにかかる税金について説明しました。説明の通り、所得税・住民税・国民健康保険料は確定申告を行うことによって金額が決定されるものですので、確定申告を行わなかった場合(無申告の場合)はこれら税金等は未納という結果になってしまいます(国民年金だけは定額で決まっているので、送られてきた納付書通りに支払えば未納にはなりませんが…)。
稼ぎ(所得)があるのに確定申告をしない、無申告状態であるというのは前提として法律上ダメですが、実際の所無申告だとどのようなことが起きるのか、いくつか例を説明していきます。
(1)収入証明ができない
確定申告をしない無申告状態だと、当然ながら収入(所得)を証明することができません。
例えば会社員の方でしたら、自分で何か手続を行わなくても会社が年末調整を行ってくれるため、「源泉徴収票」という収入証明書を受け取ることができます。しかし、個人事業主は確定申告を行わなければ所得0として扱われることとなるため、自分の収入を証明することができません。
「別に収入を証明できなくてもいいのでは…?」と思う方もいるかもしれませんが、例えば賃貸不動産を借りるとき、住宅ローンやカーローンを組むとき、一定の行政サービスを利用するとき、場合によってはクレジットカードを作成するときなど、幅広い場面で収入証明書の提出が必要となってきます。もし確定申告を行っておらず、収入証明書が無いとなると、このような手続を行うことができなかったり、相当苦労したりすることとなってしまいます。
(2)バレてしまうリスクも高い
まず基本的に、法人と比べて個人事業主に対しては税務調査が入る可能性は低いのですが、ホステスなど夜職の方については、他の業種の個人事業主と比較してそもそも税務調査が入る可能性は高いです。そして更に、確定申告をしていない場合(無申告の場合)や税金を支払っていない場合は、税務調査が入る可能性が高まることになります。
ここで、「確定申告をしていないことが税務署にバレてしまうのだろうか」と思っている方もいるかと思います。これについては、基本的にホステスが在籍している店舗は毎年キャストの収入等に関する情報を税務署に提出しているため、税務署は「収入があるのに確定申告をしていない人がいる」という情報を簡単に入手できてしまうのです。また、店舗によってはキャストの収入等の情報を税務署に提出していないケースもありますが、このような場合でも店舗に対して税務調査が入った場合、店舗がキャストに対して支払った金額が全て税務署に発覚することになりますので、どのみち無申告であることがバレてしまうことになります。
実際、ホステスからの相談で多いのは、「所属している店舗に税務調査が入ったのをキッカケに、自分にも税務調査の連絡が来てしまった。どうすればいいか」というものです。
もちろん、税務調査の連絡が入ってからでも打つ手はありますが、何より税務調査の連絡が入る前に対応しておきたいものですよね。
(3)延滞税や加算税が多額になる可能性がある
税金というのは、支払期限を過ぎれば過ぎるほど、延滞税などが大きくなり、多額を支払わなければならなくなるという性質があります。
これは、税務調査に入られたかどうかなどに関係なく、自主的に確定申告したとしても、申告期限を過ぎた後に確定申告(期限後申告)をしたり、確定申告は期限内にしたものの税金の納付が遅れてしまったりすると、税金を多く支払わなければならなくなってしまうということです。したがって、確定申告や税金の納付は、なるべく早く行った方がよいといえます。
しかし、特に危ないのは、税務調査に入られた結果としての税金の支払いです。
「今まで確定申告をしていなかった(無申告だった)が、税務調査に入られてしまったので確定申告をすることになった」
「今までテキトーに確定申告をしてきたので、税務調査に入られた結果確定申告をやり直さなければならなくなった(修正申告しなければならなくなった)」
このような場合には、そうでない場合と比べて、特に多額の税金を支払わなければならなくなります。
例えば、無申告だった方が確定申告をすることになった場合は「無申告加算税」などが、テキトーな確定申告の結果として修正申告しなければならなくなった場合は「重加算税」などが発生するケースがあり、本来支払うべき税金にプラスして相当大きな金額の税金を支払わなければならなくなってしまいます。
(4)口座などを差し押さえられる可能性がある
上記(1)や(2)などを無視して、確定申告を全くしていなかったり、確定申告をしたものの税金の支払いをしていなかったりした場合、銀行口座などを差し押さえられる可能性があります。
一般的に「差押え」ときくと、裁判などで負けたものの相手に金銭を支払わなかった場合に行われるイメージがあるかと思います。しかし、税金の場合は差押えまでのステップが大きく異なります。税金の場合、国側は裁判などをすることなく、納税者側(つまり夜職の方)の銀行口座などを差し押さえることができるのです。
納税者というと日本全体であまりに人数が多く、国側としてはいちいち裁判をしていては時間がかかりすぎてしまうため、このような法律となっています(国税徴収法という法律に規定されています)。よって、税務署からの督促状などを無視していると、裁判手続を経ることなくいきなり差し押さえなどをされてしまうこととなるのです。また、銀行口座の差押え以外にも、税務職員がホステスの自宅や職場にやってきて宝飾品や家具などを差し押さえていくケース(動産執行)や、給料を差し押さえてくるケース(債権差押)、所有している土地や建物などの不動産を競売にかけてくるケース(不動産競売)など、滞納税金の回収手続として様々な手段を国側は取ることができます。
遅れてでも確定申告すべきか
ここまでの結論として、「とにかく確定申告はしっかり行った方がよい」ということになります。しかし実際の所、気付いた時には既に確定申告の期限を過ぎていてしまっていた、税金の納付期限を過ぎてしまっていたというケースもあるのではないかと思います。
このような場合でも(つまり遅れてでも)、とにかく確定申告はした方がよいです。
例えば上記(3)で説明した銀行口座の差押えなどについては、確定申告をしていなかったり、税金を支払っていなかったりする場合にされてしまうことですので、遅れてでも確定申告をしっかりとやって税金を支払えば、何か差押えられてしまうということはありません。また、上記(2)で説明した延滞税や加算税については、とにかく一刻も早く確定申告をして税金を支払うことが重要で、たとえ期限を過ぎてしまっていたとしても早くやればやるほど延滞税などの金額を抑えることができます。
ここまで、ホステスにかかる税金を説明した上で、確定申告をしなかったり、税金を支払わなかった場合にどうなるかについて解説しました。しかし実際の所、自分で会計処理を適正に行った上で確定申告をするというのはなかなか難しく、また時間がかかると思います。「会計処理に自信がない」「昨年自分で確定申告をやってみたが、間違っていないか不安だ」「確定申告が複雑なので誰かに依頼したい」「確定申告の期限を過ぎてしまったが、どうすればいいか」「勤務するお店に税務調査が入ったが、どうすべきか」など、当てはまるという方はぜひ税理士にご依頼ください。当事務所は東京銀座で税理士業を行っており、日ごろから夜職の方の依頼を受けていますので、安心してご相談いただければと思います。
(代表税理士のプロフィールはこちらのホームページをご覧ください。)
以下、当事務所にご依頼頂く際の流れや料金などについて記載します。
ご依頼の流れ
(1)お問い合わせ
まず、下記お問い合わせフォームからご連絡をお願いします。ご連絡の際は、確定申告のご依頼を検討している旨をご記載下さい。また、職業やおおまかな年間売上高など記載頂けるとその後のやりとりがスムーズです。
上記のお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
(2)初回面談
上記(1)のお問い合わせ後、メールなどで日時を調整した上で面談を行います。面談は当事務所に来所いただく形式が最も多いですが、依頼者の方が遠方の場合など、web会議方式での面談や電話面談なども行っています。
この初回面談にて、契約形式や金額についての詳細を決定します。
(3)正式なご依頼・契約締結
上記(2)の面談の内容を踏まえてご検討いただき、正式なご依頼・契約締結という流れとなります。
当事務所に確定申告を依頼するメリット
ホステスやホスト、キャバ嬢、ラウンジ嬢、風俗嬢など夜職の方が当事務所に確定申告や税務顧問をご依頼・ご相談される場合、当事務所の特徴・メリットとして以下が挙げられます。
専門家たる税理士として検討・申告を行うこと
当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、先ほど説明した源泉所得税や経費の処理、消費税の判断など含め、税務関係について、丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。
銀座の税理士として夜職の方の依頼を日々受けていること
当事務所は銀座に所在しているため、日ごろから夜職の方の税務に関する依頼を受けています。したがって、職業理解や職業ごとの経理処理(お金の流れ)などを理解していますので、ご相談などもスムーズに対応することが可能です。
税務以外に関する相談にも乗ることもできること
当方は税理士資格に加え、各種許認可申請の専門家たる行政書士や、経営コンサルタントの国家資格たる中小企業診断士などとしても活動しております。したがって、現在のお仕事以外にも、今後別の事業を開業されたい場合、新しく法人を設立したい場合など、税務以外も含めた幅広い相談に専門的知見から乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。
大きくこの3点が、当事務所に確定申告や税務顧問を依頼する場合の特徴・メリットだと自負しております。
当事務所の確定申告の料金
(1)確定申告のみのご依頼の場合
税務相談などは不要で、確定申告のみ依頼したいという方の場合、料金は税抜15万円~ となります。
次に記載する顧問契約と比べて低価格ですので、気軽に税理士に依頼したいという方や、将来別の事業をやったり法人を作ったりする予定がない(税務相談をする予定がない)という方におすすめです。
(2)顧問契約のご依頼の場合
顧問契約とは、「税務相談・会計記帳・決算・確定申告」がセットになった形式のことをいいます。流れとしては、毎月上旬頃に先月分の売上メモやレシート、領収書などを当事務所に送付頂き、それを元に当事務所で随時会計処理を行っていき、年末になったら決算・申告を行うという形です。また、メール、電話、対面などで随時税務相談をして頂くことが可能です。
顧問契約の場合、料金は毎月税抜1万円~、決算申告料10万円~ となります。
上記(1)の確定申告のみの依頼の場合と比較して、親身に相談にのってほしいというケースや、年間を通して自分の収入・経費・利益などを知っておきたいというケースなどにおすすめです。
ホステスの確定申告は当事務所にご相談ください

以上、ホステスにかかる税金や無申告のデメリット、当事務所にご依頼いただいた場合の料金などについて説明いたしました。
上記の通り、当方は税務の専門家たる税理士として、東京銀座にてクラブやラウンジ、風俗で働く方など夜職の方のご依頼を日頃から受け、業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。
ホステスの税務相談や確定申告など、税務に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。
業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。
お問合せをお待ちしています。
事務所代表プロフィール
(プロフィール詳細はこちらのホームページをご覧ください。)
氏名:木村 成(きむら じょう)
保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士
業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。
誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。