
イラスト、漫画、小説、音楽アレンジなどの同人活動を始めたものの、税務署への届出や申請・確定申告など、税金面の手続についてよく分からないという方も多いのではないかと思います。実際のところ、やり方が分からなかったり、申請などをする時間がなかったりして、気づいたら仕事を始めてからかなり期間が経ってしまっている…という話もよく耳にします。
そこで当記事では、同人活動を新しく始めた場合に、どのような届出や申請が必要になるかと、確定申告のポイントについて解説します。
当方は、東京銀座に事務所を構え、税理士業務を行っています。また、現在は離れてしまいましたが同人活動を行っていた時期があり、コミケ、サンクリ、各種オンリーイベントなどに当時サークル参加していた経験があります。このような経緯から、税理士ではありますが同人活動についての用語や仕事への理解がありますので、確定申告や税務顧問などお気軽にご相談、ご依頼頂ければと思います。
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同人活動を始めた場合の届出について
必要となる届出・申請の一覧
まず、同人活動を始めた場合に、税務署などに対してどのような届出や申請が必要になるかを一覧にしました。
(1)開業届
(2)青色申告承認申請
(3)e-Taxの利用開始届
(4)インボイスの登録申請
(5)消費税課税事業者選択届出
概ね、上記5種類の届出・申請が検討されます。この中には、提出することによって場合によっては損をしてしまう性質のものもありますので、慎重に検討した上で提出して下さい。
それでは、上記5種類の申請・届出についてそれぞれ解説していきます。
それぞれの届出・申請の解説
(1)開業届
この手続は、開業してから1か月以内に行わなければなりませんので、注意が必要です。なお、手続の正式名称は「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」です。
開業してから1か月以内ということで、事業を始めてから1か月以内に管轄の税務署(自宅の近くの税務署)に提出する必要があります。初めは仕事に慣れるので忙しいと思うので、1か月以内というとすぐに期限が迫ってくるため気を付けましょう。
なお、提出期限を過ぎてしまったなどの場合は、ご相談頂ければと思います。
(2)青色申告承認申請
「青色申告」というと、聞いたことがあるようなないような…という方もおおいと思います。詳しくは確定申告のポイントの際に後述しますが、ざっくり言うと青色申告は「しっかり会計処理を行うことによって節税できる方法」です。そしてこの青色申告は、事前に税務署に申請をしておかなければ選択することができません。具体的には、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出する必要があります。ただし、これには特例があり、新しく事業を始めた方は開業から2か月以内に提出する必要があります。
したがって、同人活動を新しく始めたという方は、仕事を始めた日から2か月以内に税務署に申請をすることによって、その年の確定申告から青色申告にて申告をすることができるようになる(=節税になる)ことになります。もし2か月以内に提出できなかった場合には、なるべく早く提出することによって来年以降の確定申告で青色申告を選択できるようになるので、万が一期限を過ぎてしまっても忘れずに申請を行いましょう。
(3)e-Taxの利用開始届
同人活動の仕事は会社員などとは違い自分で確定申告をする必要があります。確定申告の方法は様々ですが、スマホやパソコンを使って確定申告をしたいという方は、このe-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用開始届という手続を行ってください。
この手続に期限は特段ありませんが、強いて言うなら「e-Taxで確定申告や、申請、届出、納税等を行おうとする前」にやっておく必要があります。
(4)インボイスの登録申請
「インボイス制度」と聞いてピンとくる方は少ないと思います。インボイス制度の全体を説明すると非常に長くなるので、インボイス登録のメリットとデメリットについて以下簡単に解説します。
・メリット:収入が増える(手取りが増える)可能性がある
・デメリット:確定申告の際に支払う税金が増える可能性がある
順番に解説していきます。まず、メリットについてですが、販売プラットフォームや取引先が発行する支払通知書などをご確認ください。インボイス登録をしていない方の場合、「インボイス手数料」「その他」などの名目で費用が差し引かれていませんか?これはどういうことかというと、売上先としては、インボイス登録をしていない販売委託者(同人活動をしている方)に料金を支払ってしまうと税金で損をする制度になっているため、その損を補填するために販売委託者に支払う料金を減らしているケースがあるのです。このような手数料を差し引いていないプラットフォームや取引先も多くありますが、差し引いているケースも十分にあるというのが現状です。したがって、インボイス登録をしていないと、収入・手取り額が少なくなってしまうケースがあるのです。
次にデメリットについてですが、インボイス登録をすると消費税の申告・納税が必要になります。つまり、先ほど解説したインボイス登録のメリット(手取りを増やす)を目的にインボイス登録をしたとしても、消費税の申告・納税が必要となり、トータルでみるとかえって手取りが少なくなってしまうということも十分あり得るのです。
それでは、どうやってインボイス登録の判断をすればよいのでしょうか。大雑把に言うと、2年前の売上高が1000万円を超えているかどうかが1つの判断基準となるのですが、詳しくはご相談頂ければと思います。
(5)消費税課税事業者選択届出
この届出はインボイス登録申請と同様にリスクが高いので、提出の際は十分注意して下さい。
この届出は、消費税の課税事業者でない方が、課税事業者になるための手続です。ここだけ読むと、「わざわざ消費税を支払わなければならなくなるのだから、損なのではないか。」と思われるかと思います。確かに、損するケースも非常に多いのですが、得するケースも往々にしてあるのです。
消費税は原則として、期中に受け取った消費税から支払った消費税を控除した金額を、申告の際に納付することとなります。したがって、「受け取った消費税」より「支払った消費税」の方が大きければ、その差額の還付を受けることができるのです。例えば、開業後しばらくは売上が小さかったものの、通信費や手数料、備品の購入などが多額となり、消費税の支払が多くなってしまうようなケースが考えられます。
しかし、この届出を提出した場合には、その後数年間は課税事業者のままとなってしまう点や、特定の資産を購入した場合には更に課税事業者の期間が延長されるケースなどがあり、安易な届出は非常に危険です。気になる方はご相談頂ければと思います。
ここまで、同人活動を始めた際の届出と申請について解説しました。続いて、同人活動の仕事の1年間の総決算にあたる確定申告について、やり方・ポイントについて解説していきます。
同人活動の確定申告のやり方
同人活動・同人作家の会計処理・確定申告のポイント
(1)インボイス登録の判断
同人活動・同人作家の方の場合、先ほども簡単に触れたとおり消費税の申告が必要となるケースがあります。代表的なケースとしては、「2年前の売上高が税込1000万円を超えている」「インボイス登録している」の2つです。
1つ目については、2年前の売上高(税法では「基準期間の売上高」と呼ばれています。)が1000万円を超えると、消費税の処理・申告が必要となってきます。副業など小規模に事業を行っている方や開業後間もない方はこの1000万円というボーダー前後を売上高が推移するようなケースもあるので注意が必要です。なお、この1000万円というのは手取り売上ではなく、総売上高のことを指します。同人活動をしている方は正規料金をそのまま現金で受け取るようなケース(同人即売会での売上など)も多いですが、例えばメロンブックスやとらのあなといった代理店を通して販売した場合、これらの代理店が販売手数料を控除した後の振込金額が売上高に該当するのではなく、手数料が控除される前の金額が売上高に該当します(原則であり、例外として純額処理も認められますが、代理店との契約内容にもよるため複雑です)。したがって、入金が1000万円を超えていなくても、会計上・税務上の売上は1000万円を超えてしまっているという場合もあり、このような場合において消費税の申告を忘れてしまうと、無申告という扱いとなり後々高額な税金を支払うこととなってしまうリスクがあります。
2つ目については、2年前の売上高に関係なく、インボイス登録をした場合は消費税の申告が必要となります。一般的にBtoCの商売の場合、インボイス登録をしなくてもお客さんに迷惑がかからないケースが多く、消費税の課税事業者でない場合は同人活動をしている方はインボイス登録をしていないというケースがほとんどでしょう。代理店を通した販売についてもインボイス制度施行前後では混乱がありましたが、メロンブックスは委託販売に一本化することでインボイス登録を不要とし、とらのあなは少なくとも委託取引についてはインボイス登録不要(買切取引については登録任意)としたため、基本的にはインボイス登録はマストではない状況となっています。
なお、このような2つのケースを中心として、消費税の申告が必要な場合、確定申告の際だけでなく日々の会計処理(帳簿付け)においても消費税を加味した処理をする必要があります。また、本則課税か簡易課税かの判断、2割特例の適用可否の判断など、消費税申告に関する税務上の論点はとても多く存在するため注意が必要です。
ご相談、ご依頼は下記のお問い合わせフォームからお待ちしています。
(2)収入・経費の処理
上記(1)でも簡単に記載しましたが、収入金額の処理は消費税に大きく影響します。
会計処理において、売上(収入)金額は手取り(振込額)ではなく額面で処理することとなります。
非常によくあるミスが、額面ではなく手数料控除後の振込額を売上(収入)として処理してしまった結果、連動して消費税の課税事業者・免税事業者の判断や、簡易課税の場合の消費税額のミスにつながってしまうケースもあります(前述の通り、代理店を通した委託販売の場合、例外的に純額処理が認められるケースもあるため注意が必要です)。
また、会計処理を行う上では経費の判断も重要となります。絵師・イラストレーター、同人誌、音楽アレンジなど同人活動の場合、イラスト製作ソフト、パソコンやタブレットなどの備品代、印刷代、広告宣伝費、出店代などをはじめ様々な支払が生じますが、どのような支出が経費になるかについては1つ1つ判断する必要があります。また、パソコンやソフト代は内容や金額によっては減価償却資産となるため、一定の場合には減価償却の計算・手続が必要となります。
(3)本則課税・簡易課税の判断
上記(1)で記載した通り、同人活動・同人作家は消費税の課税事業者となるケースもありますが、ここで重要となるのが「本則課税・簡易課税の判断」です。
消費税には2つの計算方式があり、それが本則課税と簡易課税です。詳しい説明は複雑なため省略しますが、このどちらの計算方式を採用するかによって、消費税の金額が何十万円単位(場合によっては何百万円単位)で変動するということが往々にしてあります。そしてこの判断は、原則として前期末までに行わなければならないため、早い段階で本年度の収益・費用などの会計処理、把握を行い、次年度でどちらの計算方式を採用するか判断し、変更する場合は税務署にその旨を届け出るという手続が必要となります。
この消費税の本則課税・簡易課税の判断は非常に難しい一方、消費税額に大きく影響するため、税理士の腕の見せ所だと思っています。
青色申告について
絵師・イラストレーター、同人誌、音楽アレンジなどを個人で営む方の場合、収入や経費は「事業所得」として扱われ、青色申告をすることが可能です。もちろん、法人として営む場合も青色申告が可能です。
青色申告は一言でいうと、「白色申告と比べて複雑な処理・確定申告を行うことで、節税することができる」という制度です。
青色申告には、個人の場合、10万円控除、55万円控除、65万円控除という大きく3つの形式が存在しますが、この中でも65万円控除は名前の通り所得金額を65万円分も圧縮することができるため、節税効果も大きく、ぜひ適用を受けたい制度です。
当然ではありますが、当事務所にご依頼を頂いた場合、会計処理から確定申告まで税理士たる当方が適格な処理を行いますので、青色申告65万円控除の適用を受けることができます。
ここまで絵師・イラストレーター、同人誌、音楽アレンジなどの同人活動をしている方の確定申告のポイントや青色申告について解説しましたが、自分で会計処理を適正に行い、確定申告をするというのはなかなか難しく、また時間がかかると思います。「会計処理に自信がない」「昨年自分で確定申告をやってみたが、間違っていないか不安だ」「確定申告が複雑なので誰かに依頼したい」「自分がどれだけ利益を出しているか、年間を通して確認したい」など、当てはまるという方はぜひ税理士にご依頼ください。当事務所は東京銀座で税理士業を行っており、また、コミケ、サンクリ、各種オンリーイベントなどに以前サークル参加していた経験があるため、同人活動についての用語や仕事への理解がありますので、安心してご相談いただければと思います。
(代表税理士のプロフィールはこちらのホームページをご覧ください。)
以下、当事務所にご依頼頂く際の料金や流れなどについて記載します。
当事務所の確定申告の料金
(1)確定申告のみのご依頼の場合
税務相談などは不要で、確定申告のみ依頼したいという方の場合、料金は個人の場合20万円~、法人の場合30万円~ となります。(税抜表記です)
次に記載する顧問契約と比べて低価格ですので、気軽に税理士に依頼したいという方や、将来別の事業をやったり法人を作ったりする予定がない(税務相談をする予定がない)という方におすすめです。
(2)顧問契約のご依頼の場合
顧問契約とは、「税務相談・会計記帳・決算・確定申告」がセットになった形式のことをいいます。流れとしては、毎月上旬頃に先月分の売上メモやレシート、領収書などを当事務所に送付頂き、それを元に当事務所で随時会計処理を行っていき、年末になったら決算・申告を行うという形です。また、メール、電話、対面などで随時税務相談をして頂くことが可能です。
顧問契約の場合、料金は以下の通りです。(税抜表記です)
・個人の場合:毎月税抜1.5万円~、決算申告料10万円~
・法人の場合:毎月税抜2.5万円~、決算申告料10万円~
上記(1)の確定申告のみの依頼の場合と比較して、親身に相談にのってほしいというケースや、年間を通して自分の収入・経費・利益などを知っておきたいというケースなどにおすすめです。
ご依頼の流れ
(1)お問い合わせ
まず、下記お問い合わせフォームからご連絡をお願いします。ご連絡の際は、確定申告のご依頼を検討している旨をご記載下さい。また、職業やおおまかな年間売上高など記載頂けるとその後のやりとりがスムーズです。
上記のお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
(2)初回面談
上記(1)のお問い合わせ後、メールなどで日時を調整した上で面談を行います。面談は当事務所に来所いただく形式が最も多いですが、依頼者の方が遠方の場合など、web会議方式での面談や電話面談なども行っています。
この初回面談にて、契約形式や金額についての詳細を決定します。
(3)正式なご依頼・契約締結
上記(2)の面談の内容を踏まえてご検討いただき、正式なご依頼・契約締結という流れとなります。
当事務所に確定申告を依頼するメリット
絵師・イラストレーター、同人誌、音楽アレンジなどの同人活動・同人作家の方が当事務所に確定申告や税務顧問をご依頼・ご相談される場合、当事務所の特徴・メリットとして以下が挙げられます。
専門家たる税理士として検討・申告を行うこと
当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、先ほど説明した売上や経費の処理、消費税の判断など含め、税務関係について、丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。
以前サークル活動を行っており、コミケなどにサークル参加した経験があること
以前ではありますが、サークルとして同人活動を行っていた時期があり、コミケやサンクリ、オンリーイベントなどに複数回参加していました。したがって、同人活動に関する用語や仕事への理解、経理処理(お金の流れ)などを理解していますので、ご相談などもスムーズに対応することが可能です。
税務以外に関する相談にも乗ることもできること
当方は税理士資格に加え、各種許認可申請の専門家たる行政書士や、経営コンサルタントの国家資格たる中小企業診断士などとしても活動しております。したがって、現在のお仕事以外にも、今後別の事業を展開されたい場合、新しく法人を設立したい場合など、税務以外も含めた幅広い相談に専門的知見から乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。
大きくこの3点が、当事務所に確定申告や税務顧問を依頼する場合の特徴・メリットだと自負しております。
同人活動の顧問・確定申告は当事務所にご相談ください

以上、同人活動を始めた際の届出や確定申告のやり方として、会計処理の重要ポイント、青色申告・白色申告、当事務所にご依頼いただいた場合の料金などについても説明いたしました。
上記の通り、当方は税務の専門家たる税理士として、東京銀座にて様々な事業者の方からのご依頼を日頃から受け、業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。
同人活動の税務相談や確定申告など、税務に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。
業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。
お問合せをお待ちしています。
事務所代表プロフィール
(プロフィール詳細はこちらのホームページをご覧ください。)
氏名:木村 成(きむら じょう)
保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士
業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。
誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。