
ホストやクラブ、風俗店などで働いている方は同世代と比べて収入が大きいケースが多く、いわゆる「節税」が重要となってきます。実際、確定申告の際に収める所得税の金額が思ったより大きかったり、住民税や毎月の国民健康保険料が重いという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、夜職がどのように税金を削減するかという「節税」のポイントについて解説していきたいと思います。
なお当方は、東京銀座に事務所を構え税理士業務を行っています。銀座という土地柄、ホストやクラブ、風俗等で働いていらっしゃる方の依頼を日々受けていますので、確定申告や税務顧問など、お気軽にご相談、ご依頼頂ければと思います。
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夜職の節税のポイント
(1)青色申告
夜職の節税ポイントとして、最も重要なのが「青色申告」です。
夜職の場合、収入や経費は「事業所得」として扱われ、一定の要件を満たすことで青色申告をすることが可能です。そもそも青色申告って何?という方も多いと思いますので簡単に説明すると、青色申告とは、「白色申告と比べて複雑な処理・確定申告を行うことで、節税することができる」という制度です。
この青色申告による節税メリットについては複数あるのですが、最も大きい節税メリットが「青色申告特別控除」です。この青色申告特別控除とは、青色申告をすることによって所得を圧縮することができる(追加で仮想の経費が計上されるようなイメージです)というものです。特別控除は3パターンあり、それぞれ10万円控除、55万円控除、65万円控除という大きく3つの形式ですが、この中でも65万円控除は名前の通り所得金額を65万円分も圧縮することができるため、節税効果も大きく、ぜひ適用を受けたい制度です。
上記をまとめると、青色申告をすることによって、それだけで65万円分所得を圧縮することができるのです。もちろん、先ほど説明したように白色申告と比べて複雑な会計処理などは必要になりますが、それと引き換えに最大65万円の控除を受けることができるわけですから、ぜひ青色申告を目指して頂ければと思います。
(2)消費税に関する検討
夜職の節税に関して次に検討すべきは、消費税です。消費税は所得税と比べると軽視されがちですが、金額も大きいためぜひ着目して頂きたい税金です。
特に夜職の方にとって関連の深い消費税関係の制度といえば「インボイス制度」です。といっても、インボイス制度??という状況だと思いますので、まずはインボイス制度について簡単に説明します。
インボイス制度登録の検討
夜職にとってのインボイス制度をざっくりと説明すると、「インボイス登録をすることによって手取りが増える可能性がある代わりに、消費税の納税をしなければならなくなる」という制度です。
まだ少し分かりにくいと思いますので、インボイス登録をした場合のメリットとデメリットという形式で考えてみましょう。メリットとデメリットは、大雑把に挙げると次の通りです。
・メリット:毎月(毎回)の給料から控除される費用が少なくなる(手取りが増える)可能性がある
・デメリット:確定申告の際に支払う税金が増える可能性がある
順番に解説していきます。まず、メリットについてですが、毎月(毎回)の給料明細をご確認ください。インボイス登録をしていない方の場合、「インボイス手数料」などの名目で費用が差し引かれていませんか?または、受取額(額面)に消費税が乗っていないのではないですか?これはどういうことかというと、店舗の運営側としては、インボイス登録をしていない夜職の方に給料を支払ってしまうと税金で損をする制度になっているため、その損を補填するために夜職の方に支払う給料を減らしているのです。このような手数料を差し引いていないお店もありますが、多くのお店は差し引いているというのが現状です。したがって、インボイス登録をしていないと、毎月の給料が少なくなってしまうケースが多いのです。
次にデメリットについてですが、インボイス登録をすると消費税の申告・納税が必要になります。つまり、先ほど解説したインボイス登録のメリット(手取りを増やす)を目的にインボイス登録をしたとしても、消費税の申告・納税が必要となり、トータルでみるとかえって手取りが少なくなってしまうということも十分あり得るのです。
それでは、どうやってインボイス登録の判断をすればよいのでしょうか。これは、その方の売上高と大きく関係してきます。というのも、消費税の申告・納税は、売上高が1000万円を超えている場合、インボイス登録の有無に関係なく、自動的に必要になるからなのです。(厳密には、2年前の売上高(基準期間の売上高)が1000万円を超えると消費税の申告・納税が必要になります。)
これを踏まえて、売上高別にインボイス登録の有無の判断を以下で検討していきましょう。
売上高1000万円超の場合
夜職の売上高が1000万円を超えているという方の場合、インボイス登録をした方が原則として手取りが多くなります。
これは先ほど説明した通り、そもそも売上高が1000万円を超えていると消費税の申告・納税が必要となるため、インボイス登録のデメリットである「消費税の申告・納付が必要になる」を考慮する必要がないからです。インボイス登録をすることによって、毎月の給料から控除されるインボイス手数料がなくなりますので、その分だけ純粋に手取りが増えることになります。
しかし、逆に言えば、売上高が1000万円を超えているという方の場合、インボイス登録をするかしないかに関わらず、消費税の申告・納税が必要になります。
消費税の申告は複雑で、かつ確定申告の際だけでなく1つ1つの仕訳(売上や経費の会計処理)においても消費税の課税区分等を考慮して処理をする必要があるため、難解です。
売上高1000万円以下の場合
夜職の売上高が1000万円以下であるという方の場合、インボイス登録をすべきかしないべきかは、ケースバイケースです。
これは、先ほどざっくり説明した通りですが、インボイス登録をすることによってお店から毎月もらう給料(手取り額)が増える代わりに、消費税の申告・納付が必要となるからです。したがって、どちらが得なのかについては、普段どれだけ給料からインボイス手数料を控除されているかなどを確認しながら検討していくこととなります。
本則課税・簡易課税の検討
消費税関係の中でも「インボイス制度」についてここまで説明してきました。インボイス登録をしたり、2年前の売上高が1000万円を超えると消費税の申告・納付が必要になると説明しましたが、この場合にも節税ポイントがあります。
どういうことかというと、消費税の申告方式には消費税には2つの計算方式があり、それが「本則課税」と「簡易課税」です。詳しい説明は複雑なため省略しますが、このどちらの計算方式を採用するかによって、消費税の金額が何十万円単位(場合によっては何百万円単位)で変動するということが往々にしてあります。そしてこの判断は、原則として前期末までに行わなければならないため、早い段階で本年度の収益・費用などの会計処理、把握を行い、次年度でどちらの計算方式を採用するか判断し、変更する場合は税務署にその旨を届け出るという手続が必要となります。
この消費税の本則課税・簡易課税の判断は非常に難しい一方、消費税額に大きく影響するため、我々税理士の腕の見せ所だと思っています。
さらに、この簡易課税の観点の他にも、売上高1000万円を超えていない夜職の方がインボイス登録をした場合に、納める消費税の金額を本来の2割に抑えるという制度(「2割特例」といいます。)などもあるため、インボイス登録をするなどして消費税申告・納付が必要になった場合においても、節税面の検討はとても重要となります。
(3)法人化の検討
夜職の節税として最後に紹介するのが「法人化」です。これは、夜職の稼働を法人として取り扱うことで、税制面など多くのメリットを受けることができる手法です。
以下、夜職の法人化(会社設立)のメリットについて簡単に解説します。詳細(会社設立の手順や設立後の手続など)については以下のリンク記事で開設していますので、ご確認ください。
メリット①「節税になる」
法人化の最大のメリットとしては、やはり節税が挙げられます。
なぜ節税になるのか、理由は複数ありますが、「所得税と法人税の税率の違い」「給与所得控除が使える」「赤字を最大10年繰り越せる」などが特に大きな理由です。
まず税率についてですが、所得税は超過累進税率と呼ばれており、利益(所得)が大きくなるほど税率が大きくなる仕組みとなっています。一方で、法人税の税率は基本的には利益(所得)が大きくなっても跳ね上がっていくことはありません。したがって、一定以上の利益を出している場合は、所得税より法人税の方が税額が小さくなるという仕組みなのです。
次に給与所得控除についてですが、会社役員や会社員などの給与所得者は、個人事業主のように経費を計上できない代わりに、給与所得控除といって最大で195万円の所得控除を受けることができます。これを会社設立する夜職に当てはめると、夜職個人として事業を行っている場合はこの給与所得控除を受けられませんが、会社を設立して会社役員となり、会社から役員報酬という形で給与を受け取ることによってこの給与所得控除を受けることができるのです。
最後に赤字の繰越ですが、個人事業の場合は最大でも3年間しか赤字が繰り越せないのに対し、法人の場合は最大で10年間赤字を繰り越すことができるのです。
このように、法人化(会社設立)のメリットは節税面だけでも多数あるといえます。
メリット②「社会的信用力が向上する」
個人事業主と比較して、株式会社などの法人は社会的な信用力が大きいといえます。
例えば銀行から融資を受ける場合においても、個人での借入と比べ法人での借入の方が信用力を評価されるケースは多くあります。また、新しく何か法人として事業を始めるにあたって、新たに取引先(得意先、仕入先など)が増えていく事になりますが、「法人の場合は割引価格で商品を販売してくれる」「法人としか取引をしたくない」といった会社も一定数あるため、個人事業と比べて法人として事業を行う場合の方が販路開拓などが円滑に進みやすいといえるでしょう。
(なお、新たに事業を始める予定はなく、夜職としての仕事のみで会社設立するという場合は、銀行から融資を受けたり取引先を開拓したりといったケースは少ないと思いますので、このメリットはやや薄まります。)
ここまで、青色申告や消費税、法人化といった夜職の節税のポイントについて解説しました。しかし、自分で会計処理を適正に行い、確定申告をするというのはなかなか難しく、また時間がかかると思います。「会計処理に自信がない」「昨年自分で確定申告をやってみたが、間違っていないか不安だ」「確定申告が複雑なので誰かに依頼したい」「インボイス登録について相談したい」「消費税の申告が不安だ」「自分がどれだけ利益を出しているか、年間を通して確認したい」など、当てはまるという方はぜひ税理士にご依頼ください。当事務所は東京銀座で税理士業を行っており、日ごろから夜職の方の依頼を受けていますので、安心してご相談いただければと思います。
(代表税理士のプロフィールはこちらのホームページをご覧ください。)
以下、当事務所にご依頼頂く際の料金や流れなどについて記載します。
当事務所の確定申告の料金
(1)確定申告のみのご依頼の場合
税務相談などは不要で、確定申告のみ依頼したいという方の場合、料金は税抜15万円~ となります。
次に記載する顧問契約と比べて低価格ですので、気軽に税理士に依頼したいという方や、将来別の事業をやったり法人を作ったりする予定がない(税務相談をする予定がない)という方におすすめです。
(2)顧問契約のご依頼の場合
顧問契約とは、「税務相談・会計記帳・決算・確定申告」がセットになった形式のことをいいます。流れとしては、毎月上旬頃に先月分の売上メモやレシート、領収書などを当事務所に送付頂き、それを元に当事務所で随時会計処理を行っていき、年末になったら決算・申告を行うという形です。また、メール、電話、対面などで随時税務相談をして頂くことが可能です。
顧問契約の場合、料金は毎月税抜1万円~、決算申告料10万円~ となります。
上記(1)の確定申告のみの依頼の場合と比較して、親身に相談にのってほしいというケースや、年間を通して自分の収入・経費・利益などを知っておきたいというケースなどにおすすめです。
ご依頼の流れ
(1)お問い合わせ
まず、下記お問い合わせフォームからご連絡をお願いします。ご連絡の際は、確定申告のご依頼を検討している旨をご記載下さい。また、職業やおおまかな年間売上高など記載頂けるとその後のやりとりがスムーズです。
上記のお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
(2)初回面談
上記(1)のお問い合わせ後、メールなどで日時を調整した上で面談を行います。面談は当事務所に来所いただく形式が最も多いですが、依頼者の方が遠方の場合など、web会議方式での面談や電話面談なども行っています。
この初回面談にて、契約形式や金額についての詳細を決定します。
(3)正式なご依頼・契約締結
上記(2)の面談の内容を踏まえてご検討いただき、正式なご依頼・契約締結という流れとなります。
当事務所に確定申告を依頼するメリット
夜職の方が当事務所に確定申告や税務顧問をご依頼・ご相談される場合、当事務所の特徴・メリットとして以下が挙げられます。
専門家たる税理士として検討・申告を行うこと
当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、先ほど説明した源泉所得税や経費の処理、消費税の判断など含め、税務関係について、丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。
銀座の税理士として夜職の方の依頼を日々受けていること
当事務所は銀座に所在しているため、日ごろからクラブや風俗等で働いている方の税務に関する依頼を受けています。したがって、職業理解や職業ごとの経理処理(お金の流れ)などを理解していますので、ご相談などもスムーズに対応することが可能です。
税務以外に関する相談にも乗ることもできること
当方は税理士資格に加え、各種許認可申請の専門家たる行政書士や、経営コンサルタントの国家資格たる中小企業診断士などとしても活動しております。したがって、現在のお仕事以外にも、今後別の事業を開業されたい場合、新しく法人を設立したい場合など、税務以外も含めた幅広い相談に専門的知見から乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。
大きくこの3点が、当事務所に確定申告や税務顧問を依頼する場合の特徴・メリットだと自負しております。
夜職の確定申告は当事務所にご相談ください

以上、夜職に関する節税の検討点、当事務所にご依頼いただいた場合の料金などについて説明いたしました。
上記の通り、当方は税務の専門家たる税理士として、東京銀座にてクラブなどで働いていらっしゃる方のご依頼を日頃から受け、業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。
夜職の税務相談や確定申告など、税務に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。
業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。
お問合せをお待ちしています。
事務所代表プロフィール
(プロフィール詳細はこちらのホームページをご覧ください。)
氏名:木村 成(きむら じょう)
保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士
業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。
誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。