「事業再構築補助金」をご存知でしょうか。事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの感染拡大後に募集が始まった補助金で、他の補助金と比べて補助金額が非常に大きく、事業者の方にとって非常に有用なものとなっています。(小規模事業者の場合でも、補助金額の上限は2,000万円ととても大きいです。)


この補助金を上手く活用することによって、これからの事業に関する支出の一部を補助金で補填してもらうことができるという制度ですので、活用しない手はありません。


今回は、これから事業再構築補助金の申請を考えている方を想定して、事業再構築補助金の「補助対象事業の要件」について解説していきたいと思います。この要件は、補助金申請を行う上で最も重要な要件といっても過言ではありません。せっかく申請書を書き上げ、申請を行ったとしても、補助対象事業の要件に該当しなければ不採択となってしまい、補助金を受け取ることができないからです。

そこで、当記事では、事業再構築補助金の「補助対象事業の要件」について解説します。

なお、事業再構築要件の「事業再構築要件」、「補助対象者」については、以下の記事を参考にして下さい。






事業再構築補助金

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すこと」を目的とした補助金制度です。


少し説明が長いですが、補助金という名前の通り採択されることによって経費の一部を補助してもらうことができます。どれくらいの金額を補助してもらえるかというと、以下のようになっています。(以下は類型「通常枠」の場合の金額・割合となります。)


・補助額の上限
 従業員数 20 人以下 ⇒100 万円 ~ 2,000 万円
 従業員数 21~50 人⇒100 万円 ~ 4,000 万円
 従業員数 51~100 人⇒100 万円 ~ 6,000 万円
 従業員数 101 人以上⇒100 万円 ~ 8,000 万円

・補助率:2/3以内
 中小企業者等 2/3 (6,000 万円超は 1/2)
 中堅企業等 1/2 (4,000 万円超は 1/3)


おそらく、この記事を読んでいらっしゃる事業者の方の多くは中小企業者等(従業員数20人以下)だと思いますので、当てはまるものを青文字にしました。つまり、「補助金額2,000万円、補助率2/3」ということになります。これはいいかえると、「2,000万円を上限として、支出した経費の2/3の補助金がもらえる」ということになります。非常に有用な補助金であることがお判りいただけたでしょうか。例えば、1,500万円の支出をした場合には、その2/3である1,000万円の補助金を受け取ることができるという制度なのです。

しかし、どのような場合にも上記のような補助金額・補助率となるのではありません。先ほど、カッコ書きでお知らせした通り、上記は「通常枠」という類型の場合の金額・割合です。事業再構築補助金には6つの類型があり、この類型によって受け取ることができる補助金の金額や補助率が異なるのです。


それでは、順番に6つの類型を確認していきたいと思います。


事業再構築補助金の「類型」とは?

補助対象者要件には、「通常枠」、「大規模賃金引上枠」、「回復・再生応援枠」、「最低賃金枠」、「グリーン成長枠」及び「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」という6つの事業類型があります。

申請するにあたっては、自らの新規事業がどの類型にあたるかを確認した上で、申請する必要があります。そして何より、この類型によって補助金額や補助率が異なるため注意が必要となります。以下、それぞれの類型の概要、補助金額、補助率について説明します。(なお、補助金額および補助率については、従業員数20人以下の法人を想定して記載します。)

①通常枠

概要:新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援するというもの。

補助金額:100万円~2000万円

補助率:
2/3


②大規模賃金引上枠

概要:多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援するというもの。

補助金額:(従業員数101人以上の場合のみ)8000万円~1億円

補助率:
2/3


③回復・再生応援枠

概要:新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援するというもの。

補助金額:(従業員数5人以下の場合)100万円~500万円
(従業員数6~20人以下の場合)100万円~1000万円

補助率:
3/4


④最低賃金枠

概要:最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援するというもの。

補助金額:(従業員数5人以下の場合)100万円~500万円
(従業員数6~20人以下の場合)100万円~1000万円

補助率:
3/4


⑤グリーン成長枠

概要:研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援するというもの。

補助金額:100万円~1億円

補助率:1/2


⑥原油価格・物価高騰等緊急対策枠

概要:原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援するというもの。

補助金額:(従業員数5人以下の場合)100万円~100万円
(従業員数6~20人以下の場合)100万円~2000万円

補助率:
3/4



このように、6つの類型ごとにもらえる補助金額と補助率が異なっていることが分かります。したがって、申請するにあたっては、自分の新規事業・取組がどの類型に該当するのかをよく検討した上で、書類作成等を行う必要があります。


それでは、当記事のメインである「補助対象事業の要件」について解説していきます。



補助対象事業の要件

まず、「補助対象事業」とは、補助金の対象となる事業のことをいいます。


したがって、補助金申請をするにあたっては、申請書に記載する経費の支出に係る事業内容が、この「補助対象事業」に当てはまっていないと、補助金を受け取ることができません。つまり、実施する事業が「補助対象事業の要件」に合致していないといけないのです。


では、以下、具体的に「補助対象事業の要件」について説明していきます。補助対象事業の要件は、先ほど説明した「類型」ごとに定められています。

(1)通常枠

①事業再構築要件:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
②売上高等減少要件:2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等
③認定支援機関要件:事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること
④付加価値額要件:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること


(2)大規模賃金引上枠

①事業再構築要件:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
②売上高等減少要件:2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等
③認定支援機関要件:事業計画を認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること
④付加価値額要件:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
⑤賃金引上要件:補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
⑥従業員増員要件:補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること



(3)回復・再生応援枠

①事業再構築要件:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
②売上高等減少要件:2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等
③回復・再生要件:以下の(ア)又は(イ)のいずれかの要件を満たすこと【
(ア)2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること等
(イ)中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること
④認定支援機関要件:事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること
⑤付加価値額要件:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること


(4)最低賃金枠

①事業再構築要件:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
②売上高等減少要件:2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等
③最低賃金要件:2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
④認定支援機関要件:事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること【認定支援機関要件
⑤付加価値額要件:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること



(5)グリーン成長枠

①事業再構築要件:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
②認定支援機関要件:事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること
③付加価値額要件:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
④グリーン成長要件:グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
<以下、既に過去の公募回で採択又は交付決定を受けている場合>
⑤別事業要件:既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること
⑥能力評価要件:既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること


(6)原油価格・物価高騰等緊急対策枠

①事業再構築要件:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
②緊急対策要件:足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等。また、コロナによって影響を受けていること
③認定支援機関要件:事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること
④付加価値額要件:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること





このように、6つの類型ごとに補助対象事業の要件は大きく異なっています。したがって、申請するにあたっては、自分の新規事業・取組が類型ごとの要件に該当するのかをよく検討した上で、構想、書類作成等を行う必要があります。


これに関連して、以下、事業再構築補助金で申請できる経費についても解説したいと思います。


補助対象になる経費

事業再構築補助金について、補助対象になる経費は次の10個です。


①建物費
・専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
・補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
・補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費
・貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費(貸工場・貸店舗等の賃借料、貸工場・貸店舗等への移転費等)

②機械装置、システム構築費
・専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
・専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費
・上記と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費

③技術導入費
補助事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費

④専門家経費
補助事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費

⑤運搬費
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費

⑥クラウドサービス利用費
クラウドサービスの利用に関する経費

⑦外注費
補助事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費

⑧知的財産権等関連経費
新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費

⑨広告宣伝・販売促進費
本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツル活用等に係る経費

⑩研修費
補助事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費


なかなか普段使わないような経費も含まれていますが、「建物費」「機械装置費」「広告宣伝・販売促進費」「外注費」など、使い勝手がよい経費も対象になりますので、これらの支出を考えている事業者の方は、ぜひ申請を検討されてみてはいかがでしょうか。


まとめ

いかがでしたでしょうか。事業再構築補助金は補助金額も非常に大きく有用な制度ですが、6つのどの類型に該当するかをよく検討することが重要です。また、どの類型に該当するかが正しく判断できたとしても、「補助対象事業の要件」等を満たさなければ申請しても採択されることはないので注意が必要です。また、この要件を満たしているからといっても、当然、全ての申請が採択される(通る)わけではありません。申請書の内容によって、優れているものから順番に一定数が採択されるという仕組みです。つまり、申請書の内容の優劣によって、採択の可否が決まるといえます。


また、事業再構築補助金は「認定計画革新等支援機関の確認書」というものも必要であるため、事業者の方1人で申請することはできません。


これらも踏まえて、
・自分で作成するのは少し難しそうである
・本業が忙しく、作成の時間がとれない
・高品質な申請書で、なるべく確実に補助金がもらい
たい
・認定経営革新等支援機関の確認書を作成してほしい


などに当てはまる方は、ぜひ当事務所へご相談頂ければと思います。


事業再構築補助金申請の代行は当事務所にお任せ下さい

ここまで、事業再構築補助金の6つの類型ごとの補助対象事業の要件などについて解説しました。実際の申請では、なにが対象経費となるのか、当店の場合どうなのかなど、悩むポイントがたくさんあります。何より、市場分析や補助金活用による効果試算など、一定以上の品質の申請書を作成しなければ補助金が採択されることはありません。そこで、補助金申請の代行依頼を考えていらっしゃる方も多いと思います。補助金を申請するにあたり、自力で作成するか専門家へ依頼するかは大きな選択の1つです。じっくりと検討された上で、方向を決めて頂ければと思います。


また、もし専門家へ依頼される際は、ぜひ当事務所にお任せ頂ければと思います。当事務所は、事業再構築補助金については、
着手金5~10万円、完全成功報酬10~15%(他手数料は一切なし)
で申請書作成代行を行っております。成功報酬部分については、もし補助金が採択されなかった場合には一切頂きませんので、安心してご依頼いただけます。


企業経営の専門家である中小企業診断士としての経営コンサルティング経験を活用し、今までも様々な補助金の申請書作成を行ってまいりました。「採択される申請書を書く」という点には大きな自信を持っております。また、補助金申請書作成だけでなく事業に対する経営面全般のご相談に乗れるため、依頼者の方のニーズに幅広く対応することが可能です。

また当事務所最大の特徴は、行政書士資格も保有しているため、法律書類作成の専門家でもあるということです。


どうぞお気軽に御相談ご相談ください。
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事務所代表プロフィール

氏名:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・税理士 ・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)

業務内容:
首都圏を中心に、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。経営コンサルタントとしては、販路開拓や補助金申請、創業融資支援などを中心に活動。行政書士としては、会社設立の代理や営業許認可取得の代理を中心に活動しております。中小企業診断士・行政書士の2つの資格を活用して、経営面と法務面の2つの視点から、依頼者の方の事業拡大を業務として行っております。

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