定款の目的と書き方のコツ


定款とは、一言で言えば会社のルールです。定款には商号や目的、会社本店の所在地や取締役に関する情報などが記載されます。そして、会社を設立する際にはこの定款を作成する必要があります。

しかし、定款の作成で悩まれている方も多いのではないでしょうか。一般的に定款は、まず商号を記載し、次に目的を記載します。商号はまだしも、目的の記載となった時に手が止まった方も多いかと思います。

今回は、この定款の目的について、書き方のコツ(注意事項)を解説したいと思います。

定款の目的の書き方

目的とは?

定款に記載する目的とは、会社の事業目的の事です。

この会社はどのようなことを目的としているのかということを記載することになります。例えば、「カフェ、レストラン等の飲食店の経営」「不動産の分譲、売買、賃貸、仲介及び管理」「IT事業に関するコンサルティング業務」など、会社によって様々です。

いろいろな書き方ができてしまうからこそ、迷われる方が多い項目かと思います。実際に、会社設立に関する依頼を受けた際、依頼人の方との相談に時間がかかる項目がこの定款の目的です。依頼人の方も事業に対して様々な思い入れがあるため、こちらとしても時間をかけてご相談に乗るよう心がけております。

それではここから、目的を書く上でのポイント、注意事項について解説していきます。

目的を書く上での注意事項

①目的の数に注意する

まず、目的についてよく質問を受けるのが、「何個書けばよいのか」というものです。

目的については個数の制限はなく、何個でもかけてしまいます。しかし、書けるからといって何個も書いてしまうのはいかがなものでしょうか。

そもそも、会社の目的はだれでも調査することができます。会社の目的は定款に記載するだけでなく登記する必要があるのですが、この登記情報は法務局に対して誰でも請求することができるのです。つまり、取引先が取引相手の会社の信用調査で登記情報を確認するという可能性もゼロとはいえません。

そういった時、目的が何十個も書かれていた場合、相手はどう思うでしょうか。少なくとも、あまりいい印象でないことは確かです。会社規模が大ききれば別ですが、あまり会社規模が大きくない会社にたくさんの目的が記載されていた場合、なにか怪しさを感じてしまいます。


個人的には、目的は10個程度までに押される形で十分かと思います。あまりに少ないと事業拡大した際に目的の変更(追加)が生じるため面倒ですが、10個程度なら不審に思われるという事もまずないでしょう。

②許認可事業に注意する

会社の事業によっては、許認可が必要となるものがあります。例えば、飲食店、深夜酒類提供飲食店、接待飲食店、古物商許可などです。これらの営業を行うには、許可申請や届け出手続きを行う必要があります。

また、こういった許認可事業を会社として行う際は、会社の目的にそれを明示する必要があります。例えば、
・飲食店営業:飲食店の経営
・深夜酒類提供飲食店や接待飲食店:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく風俗営業としての接客飲食等営業及び深夜における酒類提供飲食店の営業
・古物商:古物営業法に基づく古物営業


などです。また、目的として記載する以前の問題となりますが、特に飲食店については営業許可申請の区分が複雑です。申請先も区分によって保健所だけでなく警察も含まれることになるため、注意が必要です。
営業許可申請の代行や申請の区分については、それぞれ以下ページをご参考にしてください。
飲食店営業許可申請の代行
許可申請の区分

③最後の項目に注意する

目的の最後の項目には、お決まりの書き方があります。それは、

「前各号に附帯又は関連する一切の事業」

というものです。多少表現は違えど、目的の最後の項はこの記載をするのが定石となっています。
まず、「前各号」というのはこれより上に記載した目的の事です。次に、「附帯又は関連する一切の事業」というのは、上に記載した目的周辺の事業ということです。つまり、このように目的を記載を記載しておくことによって、会社の目的の範囲が非常に広くなるのです。

例えば、「〇〇の製造」という目的のみを記載していた場合、厳密に言えばその製品を販売することは会社の目的外ということになりますよね。しかし、「前各号に附帯又は関連する一切の事業」 の記載をしていれば、製造に対して販売は必然的に関連する事業と考えることができますから、会社の目的の範囲内となるのです。

上記は非常にシンプルな例ですが、目的の末尾にこのような記載をしておくことは、損のない事だと思います。

定款作成は行政書士におまかせ下さい

以上、定款に記載する会社目的について解説しました。定款は会社のルールであるため、目的以外にも事業年度や役員、株式に関する取り決めなど大変重要な事項が多々あります。このような事項をあいまいな理解で決めていくことは、会社にとって後々大きな損失となりかねません。

定款作成は、専門家である行政書士にお任せ下さい。

当事務所は、法律書類作成の専門家である行政書士として、また企業経営の専門家である中小企業診断士として、両知見を活用した定款作成を行っております。会社設立や定款作成でお困りの事業者の方は、お気軽にご相談頂ければと思います。

ご依頼やご相談は、以下のお問い合わせフォームからお願い致します。

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事務所代表プロフィール

氏名:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・税理士 ・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・日商簿記1級
・認定経営コンサルタント
・ファイナンシャルプランニング技能士2級

業務内容:
首都圏を中心に、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行う。行政書士としては、営業許認可取得の代理や会社設立の代理を中心に活動。経営コンサルタントとしては、販路開拓や補助金申請、創業融資支援などを中心に活動。行政書士・中小企業診断士の2つの資格を活用して、法務面と経営面の2つの視点から、依頼者の方の事業拡大を業務として行っている。

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