法人を設立するには、定款の作成・認証に始まり、資本金の払い込みや登記など、様々な苦労があったかと思います。しかし、本番は会社設立後で、事業を円滑に遂行し利益を生み出してく必要があると共に、税務署をはじめとして各種行政機関に様々な届出・申請が必要となります。

当記事では、新規に法人を設立した場合に、どのような届出や申請が必要になるかについて、概要を説明します。会社設立して間もない方の参考になれば幸いです。



会社設立後に必要な届出・申請について

必要となる届出・申請の一覧


まず結論として、どのような届出や申請が必要なのか、一覧にしますのでご確認ください。必要となる届出・申請は概ね次の通りです。

(1)内国普通法人等の設立の届出
(2)所得税の青色申告承認申請
(3)電子申告開始の届出
(4)給与支払事務所等の開設の届出
(5)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
(6)消費税課税事業者選択届出
(7)適格請求書発行事業者の登録申請


概ね、上記7種類の届出・申請が検討されます。この中には、提出することによって場合によっては会社が損をするような性質のものもありますので、慎重に検討した上で提出して下さい。

それでは、上記7種類についてそれぞれ解説していきます。なお、普通法人(一般的な株式会社)を設立した場合を前提として解説します。


必要となる届出・申請の解説

(1)内国普通法人等の設立の届出

「内国普通法人等の設立の届出」は、会社設立後2か月以内に税務署に提出します。なお、添付書類として定款の写しが必要です。

この届出は、税務署に「会社を設立しました」ということを知らせるための届出なので、原則全ての法人が提出することとなります。忘れないうちに提出しておきましょう。

(2)青色申告承認申請

所得税の青色申告承認申請は、青色申告の承認を受けようとする会社が税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することによって行います。個人では事務負軽減の観点から敢えて白色申告にしているような小規模事業者の方もいらっしゃいますが、法人は青色申告が基本です。

提出期限は、「設立の日以後3月を経過した日」と「当該事業年度終了の日」とのうちいずれか早い日の前日までです。基本的には前者のケースになると思いますので、「設立から3か月以内に提出」と覚えておきましょう。期限が短いので要注意です。

(3)電子申告開始の届出

電子申告開始の届出は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して申告、申請、届出、納税等を行おうとする場合の手続です。個人と比較して法人は電子申告の割合が極めて高く、この届出もほとんどの法人が行うこととなります。

提出期限は特段ありませんが、強いて言うなら「e-Taxで申告、申請、届出、納税等を行おうとする前」にやっておく必要があります。

(4)給与支払事務所等の開設の届出

この届出は、会社が給与支払事務を開始した際に、その旨を所轄税務署長に対して伝えるという手続です。

ここでよく勘違いされますが、従業員がいなくとも、代表取締役への役員報酬の支払があれば、役員報酬も「給与」ですので、この届出が必要となります。したがって、「会社を1人で設立し、自分が代表取締役となり、従業員もいない」というような会社でも、自分に役員報酬の支払があるならこの届出を行う必要があります。

提出期限は、給与を支払う体制となったとき(給与支払事務所を開設した時、といいます。)から1か月以内です。

(5)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

この申請は、源泉所得税の納期の特例の承認を受けたい会社が行う手続です。

まず、源泉所得税について説明します。源泉所得税とは、毎月の給与から天引きされる所得税のことです。会社員時代を思い出してみて下さい。給与の額面金額から、所得税、社会保険料などさまざまなものが差し引かれ、残った手取り部分が口座に振り込まれていましたよね。ここで天引きされた所得税は、原則として天引きした翌月10日までに会社がまとめて税務署に支払っていたのです。

しかし、いざ自分で会社を設立してみると、毎月10日に源泉所得税を納付するというのは事務負担の観点から面倒というケースも多いと思います。そこで、この承認申請を行うことによって、給与から天引きした源泉所得税等について、年に2回まとめて納付すれば大丈夫になるのです。


しかし、承認を受ける要件として、給与の支給人員が常時10人未満である会社であることが挙げられますので、会社が最初からある程度の規模である場合は、承認を受けられないことに注意が必要です。


(6)消費税課税事業者選択届出

この届出は、ここまで解説してきた届出・申請と比較してリスクが高いので、提出の際は十分注意して下さい。

本題に入ります。この届出は、消費税の課税事業者でない会社が、課税事業者になるための手続です。

ここだけ読むと、「わざわざ消費税を支払わなければならなくなるのだから、損なのではないか。」と思われるかと思います。確かに、損するケースも非常に多いのですが、得するケースも往々にしてあるのです。

消費税は原則として、期中に受け取った消費税から支払った消費税を控除した金額を、申告の際に納付することとなります。したがって、「受け取った消費税」より「支払った消費税」の方が大きければ、その差額の還付を受けることができるのです。例えば、会社設立後しばらくは顧客が少なく売上が小さかったものの、通信費や手数料、備品の購入などが多額となり、消費税の支払が多くなってしまうようなケースが考えられます。

しかし、この届出を提出した場合には、その後数年間は課税事業者のままとなってしまう点や、特定の資産を購入した場合には更に課税事業者の期間が延長されるケースなどがあり、安易な届出は非常に危険です。



(7)適格請求書発行事業者の登録申請

これは、いわゆるインボイスの登録手続になります。

令和5年から始まったインボイス制度ですが、制度理解は非常に難しく、初めて会社を設立した方は頭を悩ませていることかと思います。もしインボイスの登録をしたい、となった場合には、この登録申請を行ってください。

現在は、e-Taxまたは書面にて申請を行うことができます。

以上、会社を設立した場合に必要となる代表的な申請・届出について説明しました。設立後の手続は税務関係のものだけでも多岐にわたり、難しいかと存じます。また、上記のとおり、消費税課税事業者選択届出や適格請求書発行事業者の登録申請(インボイス登録申請)については制度を理解するだけでも非常に難解であり、申請・届出にリスクが伴うものでもあります。我々税理士でも、これらの届出・申請を検討する際は、細心の注意を払って行っています。


この記事を読んだ方の中には、これら手続を行うのが難しかったり、手続をする時間がなかったりといった方も多いのではないかと思います。

もし、顧問税理士をお探しであったり、届出や申請についてご自分でのご判断や手続が難しい、時間がないという方は、我々税理士にお気軽にご相談いただければ幸甚です。顧問税理士として、上記届出・申請を行います。また、毎月の会計記帳や年度末の申告についても税理士が行います。
以下、当事務所にご依頼を頂いた場合の流れなどを説明します。


当事務所(税理士)へのご依頼について

資料のやりとりと記帳代行


当事務所は原則として、レシートや帳簿類を毎月ご送付いただき、それを基に毎月試算表を会社へ送付するという流れで業務を行っています。


したがって、いわゆる決算のみのご依頼というのは原則としてお受けしていません。決算のみのご依頼となると、決算前の会社の状態が分からないため税務相談に乗ることができないだけでなく、毎月処理すべき会計記帳などを1年分まとめて短期間のうちに処理しなければならないからです。ご理解下さい。(ごく小規模の事業者の方については例外もありますので、ご相談下さい。)

また、当事務所は、法人の申告とセットで記帳代行を基本としています。
記帳代行とは、複式簿記による会計帳簿を、会社ではなく当事務所で行うというものです。この記帳代行については、一切引き受けない税理士事務所も存在するなど、税理士が敬遠するケースも多いですが、むしろ当事務所はこの記帳代行を原則としてます。記帳を通して会社の現状を理解することができ、申告や税務相談に良い影響があると考えるからです。

したがって、「自分で会計処理を行っているので、決算だけお願いしたい」というようなご依頼は基本的にお受けしていません。会社の会計処理を当事務所で確認・修正するのに同等以上の手間や時間がかかるためですので、ご理解下さい。なお、従業員が相当数いる会社であったり、経理部がきちんとしている会社など、会社ご自身で会計記帳を行っていただいて何ら問題ないケース(すなわち自計化の方がよいケース)もありますので、ご相談下さい。


ご依頼いただいた場合の毎月の流れ

①月初の資料のご送付

前月1か月分のレシートや、売上台帳などの帳簿、通帳などの資料を当事務所にご送付いただきます。ご送付は、紙媒体の他、電子データのメール送付などでもお受けしています。

②当事務所での記帳処理

①でご送付いただいたデータを基に、当事務所にて会計記帳を行います。

③試算表の送付

②の当事務所での記帳処理が完了し次第、試算表(収益、費用、利益、資産、負債の現況や推移をまとめた表)を会社へ送付します。

④決算と申告

①から③を1年分繰り返したのち、当事務所にて決算処理及び申告を行います。


このように、依頼者の方(会社)とのやりとりを密に1年の作業を進めていきます。

当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリット

当事務所に法人に関する申告や記帳代行をご依頼・ご相談される場合、自力でこれらを行う場合と比較して、以下のようなメリット・特徴があります。

専門家たる税理士として検討・申告を行うこと

当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、法人に関する申告や届出等の税務について、丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。

中小企業診断士として経営の観点を有すること

当方は、経営コンサルタントの国家資格者たる中小企業診断士の資格も活用して業務を行っているので、事業に関する経営面から知見から、相談等に対応することが可能です。

行政書士として各種許認可に関する相談にも乗ることもできること

当方は上記資格に加え、各種許認可申請の専門家たる行政書士としても活動しております。したがって、開業や新規事業に当たって必要となる許認可などの相談にも専門的知見からご相談に乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。


大きくこの3点が、当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリットだと自負しております。

当事務所へご依頼いただいた場合の料金

当事務所は、法人に関する申告や記帳代行として、次の通り料金を頂いています。

1.基本料金
以下、毎月の記帳代行や決算申告の料金となります。なお、会社規模や取引規模に応じて増額しますので、詳細につてはご相談下さい。
・毎月:3万円~
・決算及び申告:毎月の料金の5か月分

2.その他料金
・法定調書、償却資産税申告:1件あたり1.5万円
・年末調整:1人あたり3000円


なお、給与計算、税務調査立会など、その他業務については実態に応じて金額を検討しますので、ご相談下さい。


法人・個人に関する申告や記帳代行は当事務所にご相談ください


以上、消費税の簡易課税制度や、当事務所にご依頼いただいた場合の流れや料金等について説明いたしました。

当方は、税務の専門家たる税理士の資格を中心として、中小企業診断士や行政書士など各種分野の専門家たる資格を活用して業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への法人に関する依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。


申告や記帳代行など、法人の税務に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。


業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。

お問合せをお待ちしています。

事務所代表プロフィール

氏名:木村 成(きむら じょう)

保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士


業務内容:
首都圏を中心に、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。

誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。