[サマリー]
・ほとんどの保護者・生徒は口コミサイトを見ているものだと思って対策をするべきである
・口コミには「高ければ良い項目」「低くても大きな問題はない項目」が存在する。優先順位をしっかりつけて対策を行うと効果的である。
以前当ブログでは、口コミ・バズマーケティングに関する考え方と理論について、基本的な事項を説明しました(詳しくはこちらの記事をご確認ください)。
今回は学校にフォーカスして、口コミやバズマーケティングをどのように考えていくべきか説明します。
口コミ・バズマーケティングによる募集対策強化
学校におけるバズマーケティング・口コミ戦略
まず、学校における口コミの影響力について考えます。
結論から言うと、
ネット環境を使用している保護者・生徒は学校の口コミをチェックしている可能性が極めて高い
といえます。ここでいう保護者・生徒とは在校生だけでなく、自校への受験を考えている層を当然含みます。
ネット環境を使用していない家庭は現状非常に少ないため、口コミはほぼ全ての生徒・保護者が目にしている可能性が高いです。
なぜそのようなことが言えるのか説明します。
今試しに、自校の名前をgoogle等の検索エンジンで検索してみてください。
ここでは例として、東京都立国分寺高校を例に挙げます。(あくまで検索上の事実を述べるだけですので、ご了承お願いします)
googleで「国分寺高校」と検索したのが以下の結果です。
なんと、検索順位2番目には口コミサイトが掲載されるのです。
「国分寺高校」と検索した人の立場になって考えましょう。
例えば、中学3年生の我が子を都立高校に進学させたいと考えている保護者がいるとします。そこで、「国分寺高校」と検索し、ホームページを確認しようとしました。
そこで、2番目に口コミサイトが表示されている。
おそらく、口コミサイトをクリックしてみることでしょう。
なぜなら、口コミはサービス提供者側からの発信情報ではなく、消費者側からの情報発信であり、心理的に信頼する方向にバイアスがはたらくからです(詳しくはこちらの記事を確認してください)。
そしてこのサイトをクリックすると、こんな情報が出てくるのです。
ここで悪い評価がついていたら、保護者は決して我が子をこの学校に入れようとは思わないでしょう。
国分寺高校の例であれば、立川高校や八王子高校に入れるよう勉強をもっとがんばってもらわなければ、と方針転換する可能性が高いです。
しかしこの国分寺高校の例であれば、口コミを保護者が見ても全く問題ありません。というより、積極的に見せていくべきです。
なぜなら、
①口コミ総合平均点が、東京都内で上位10%に入る高得点である
②「いじめの少なさ」「進学」という保護者が重要視するポイントで非常に高評価を得ている
③国分寺高校が強みとしている「イベント(特に体育祭ですね)」が、実際に高評価になっている
④著しく低い評価項目が「制服」である
からです。
①と②については説明はいらないかと思います。
③については、「自校が思う強み=保護者・生徒が思う強み」となっているということです。実際に企業や店舗においても、自社が強みとしてアピールしている点が全く認知されていなかったり、逆の印象を持たれていたりするケースがあります。これを数値として顧客にみられると、ブランドイメージの毀損に繋がります。
④については、評価項目が制服であるという点が重要です。口コミの詳細を見ていくと、やはり制服の機能性についてではなく、デザインに関する評価によってこのような数値になっています。
したがって、口コミとして気にする必要は少ないです。
制服のデザインは、見れば誰でも分かります。
口コミサイトを見なくても、ネット検索や説明会に来る保護者・生徒は知っているのです。
さらに、デザインは人によって好みが違うため、「進学」などの項目より感じる個人差が大きい点も挙げられます。最後に、制服のデザインを重要視するのは生徒です。志望校決定に最大の影響力を持つといえる保護者は制服の良し悪しをそこまで気にしません。
もちろん、制服も非常に評価が高いデザインならば、口コミは上がるでしょう。
しかし、国分寺高校の強みは「進学」と「イベント」の両立です。ここで制服は有名なデザイナーが制作していますというような情報が加わったところで、志願者数が大きく伸びるということは考えにくいのです。制服にかけるお金があるなら、その分「進学」と「イベント」に経営資源を集中するべきです。進学とイベントで他校を圧倒する実績と内容を作っていくほうが遥かに価値が高いと言えます。
ここまで国分寺高校を例に挙げて説明しましたが、ぜひ自校の口コミも調べてみて頂ければと思います。
そして課題項目が浮かび上がったとき、どのように改善していくかが重要となります。これは大きく分けて、2つの戦略が考えられます。
口コミ改善の具体策
(1)低評価項目自体を改善する
最もシンプルかつ根本的な改善方法です。例えば、「進学」項目の評価が低いから、もっと「進学」に力を入れよう、というものです。
言葉にするのは簡単ですが、実際はとても難しいですよね。したがって、改善項目に優先順位をつけることが大切です。
なにを優先的に改善していくかといえば、「入学してほしい顧客(生徒・保護者)が求めている項目」になります。例えば進学に力を入れている学校が、「進学」「イベント」の項目で評価が低かったとします。ここでありがちなのが、「進学もイベントも両方がんばろう」という単年度経営計画の策定です。
団体指定の入力フォーマットなどの関係でこのような計画を策定するのは仕方ないケースもありますが、内々には経営資源を集中し、1つに絞るべきです。具体的には、「進学」に絞るべきです。
なぜなら、この学校が求めているのは進学実績を作ってくれる生徒だからです。
「進学」項目が高くなれば、必然的にこのような生徒の志望者が増えます。
しかし、「イベント」の項目が高くなって増えるのは、行事が好きな志望者です。そして何より、進学も行事もそこそこ良いという状態になると、他校と差別化ができず、生徒を取り合う形になってしまします。
改善する評価項目は、優先順位付けをしっかりと行いましょう。
(2)生徒への情報教育
これは、学校の現状にフタをするために箝口令を敷くという意味ではありません。事実と異なる書き込みや誹謗中傷をしないよう、リテラシーの教育をするべきということです。
実際に口コミサイトを見ると分かりますが、学校に対する個人的な悪口のような書き込みや、とても本当であるとは思えないような口コミも山ほどあります。このような書き込みが減るだけでも、口コミサイト内での学校の印象は良くなるといえます。
いわゆる学校掲示板への書き込みやSNSの使い方などリテラシー講座を行う際に、自然にこういった口コミ関係の話も行うのが効果的といえるでしょう。
以上、学校における口コミ・バズマーケティングについて説明しました。
次回は、塾における口コミ・バズラルマーケティングについて説明します。
[まとめ]
・ほとんどの保護者・生徒は口コミサイトを見ているものだと思って対策をするべきである
・口コミには「高ければ良い項目」「低くても大きな問題はない項目」が存在する。優先順位をしっかりつけて対策を行うと効果的である。
学校の生徒募集対策にお悩みの校長・管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
「木村税理士・行政書士事務所」