以前当ブログでは、STPの「S」とは「セグメンテーション」であるとして、セグメンテーションについて基本的な考え方を説明しました(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

今回は、学習塾におけるセグメンテーションを考えていきたいと思います。

学習塾におけるセグメンテーション

セグメンテーションのおさらい


カンタンにセグメンテーションのおさらいをすると、セグメンテーションとは市場を細分化するということでしたね。イメージはこんな感じです。

セグメンテーション

セグメンテーションには「人口統計的な区分(デモグラフィック)」や「地理的な区分(ジオグラフィック)」などがあり、基準の選び方によって切り分けられる結果も当然異なるということでした。


では今回は、学習塾においてセグメンテーションの活用方法を考えてみます。
もちろん学校においてもセグメンテーションは重要ですが、セグメンテーションを活用して新しいサービスの戦略を考えるというよりは、現状の学校の対象顧客について確認するという形になると思います(新しいサービスを積極的に打ち出している学校では別です。セグメンテーションは非常に重要な考え方になります)。

塾におけるセグメンテーションの具体例

前回紹介した代表的なセグメンテーションの基準で考えてみましょう。


人口統計的な区分(デモグラフィック基準)

年齢:幼児、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人、高齢者などです。
職業:学生、会社員、自営業、主婦、定年後無職などです。
収入:アッパー層、中堅層、それ以外の層などです。

このようにセグメンテーションすることによって、新規サービスをどの層に対して提供していくかということが明確化されます。例えば、「収入がアッパー層である会社員」に対して、MBAが取得できる大学院進学に向けた入試対策講座を提供する、などです。大雑把に、社会人で勉強したい人にサービスを提供する、などと考えるよりサービス内容を明確にすることができます。


地理的な区分(ジオグラフィック基準)

これに関しては、塾においてはあまり重要でないケースが多いです。学習塾へは通学が基本であるため、遠方の顧客を狙う意味が薄いからです。

しかし、教材提供や映像講義を行っている学習塾には重要な考え方です。
むしろ、地方や離島などは学習塾が少ないため、特に専門的な学習(最難関資格試験や実技系の資格など)を必要とする顧客にとってみれば、こういった教材提供や映像授業は非常に貴重な存在です。

位置する地方や人口規模についてセグメンテーションする意味は大きいといえます。


心理的な区分


顧客のニーズ:質の良い授業が受けたい、気軽に授業が受けたい、1対1の授業が受けたい、仕事後に授業が受けたい、英語でのプレゼン力をつけたい、子どもをしつけてほしい……

今、学習塾に向けたニーズや非常に多岐にわたります。学生の勉強だけでなく社会人学習や趣味の学習の市場規模が大きくなり、学習塾が意味するものも広くなったといえます。

学習塾が新サービスを提供する(もしくは塾を立ち上げる)に当たって、最も重要視するべきはこの心理的なセグメンテーションであると思います。
そして、重要であるが上に、なるべく深くセグメンテーションを検討するべきです。

例えば先ほど挙げた例で「英語でのプレゼン力をつけたい」がありましたが、さらに「どれぐらいの期間で」「どれぐらいの料金で」などの想定が必要です。そのためには、人口統計区的なセグメンテーションによって職業や収入を想定し、考えていくことも有効だといえます。


行動的な区分

価格選考性:質が良ければ値段は問わない、とにかく安ければいい
購買頻度(通塾頻度):毎日、2,3日に一回、週に一回、月に一回

特に価格や頻度については、塾において重要な要素ですよね。純粋な意味での学習塾で月に一回しか通わないというのは考えられませんが、セミナー形式ならよくあることですし、楽器教室などでもありうるかもしれません。

価格と頻度を決定することができれば、月にいくらお金が入ってくるかという採算面の検討も進めることができます。



以上、学習塾におけるセグメンテーションについて考えました。
セグメンテーションを行った後にやるステップ「ターゲティング」について考えます。


[まとめ]
・セグメンテーションは学校法人でもさることながら、学習塾において非常に重要な考え方である
・セグメンテーションの中でも特に「心理的な区分(サイコグラフィック基準)」について検討することが、顧客をつかんでいく上で大切だといえる



塾の経営にお悩みの経営者・管理職の方、こちらのホームページからのご相談お待ちしております。
「木村税理士・行政書士事務所」