[まとめ]
・ポーターの差別化戦略とは、戦略を「差別化戦略」「コストリーダーシップ戦略」「集中戦略」に分け、3つにパターン化した理論である
・私立学校で考えた場合、宗教系の大学付属中学高校や中堅進学校をイメージすると分かりやすい



以前当ブログでは、学校や塾、教育業界企業における戦略策定の理論・ツールとして、PLC(プロダクトライフサイクル)を紹介しました。

今回は、同じく経営戦略策定の理論である「ポーターの差別化戦略」について説明します。

ポーターの差別化戦略のポイント

ポーターの差別化戦略とは

ポーターの差別化戦略とは、戦略を「差別化戦略」「コストリーダーシップ戦略」「集中戦略」に分け、3つにパターン化した理論です。ポーターさんが考えたので、ポーターの差別化戦略と呼ばれています。

下のような図で表現すると視覚的に分かりやすいと思います。

ポーターの差別化戦略

表について説明します。

・コストリーダーシップ戦略:顧客ターゲットが広く、他社より低コストで商品やサービスを展開する戦略。この戦略がとれるのは、十分な金銭的・人的資源を持っている大企業や大きな組織である。

・差別化戦略:顧客ターゲットが広く、顧客が認める(自社が、ではない!)特異性を売りにして商品やサービスを展開する戦略。コストリーダーシップ戦略ほどでなくとも、十分な金銭的・人的資源を必要とする。

・集中戦略:顧客ターゲット層を狭く絞り、商品やサービスを展開する戦略。
その中でも、差別化を目指すか低コストを目指すかで、差別化集中戦略とコスト集中戦略に分類される。

学校におけるポーターの差別化戦略とは

それでは、学校法人でこの戦略理論を考えてみましょう。
コストがからんでくる部分があるので、私立学校を想定してみます。

まず、差別化戦略については宗教系の大学付属中学高校がイメージできると思います。こういった学校はのびのびとした校風や独創的な学校行事が豊富であり、他校と差別化された特色を持っています。そのため、入学金や授業料も高いことが一般的です(私立高校の入学金などに如実に表れています)。

次に、コストリーダーシップ戦略について考えてみます。
私立学校なので入学金等はある程度生じますが、先ほど挙げた学校と比べれば十分安いといえます。つまり、入学金が安くても成り立つよう学校経営において比較的低コストで運用しているということになります。
顧客ターゲット層の広さによりますが、中堅進学校などはこの戦略をとっているケースが多いといえます。

最後に、集中戦略について考えます。
例えば、生活支援(指導)等を行う学校や特色ある学科を持っている学校などがこの戦略を取っているといえます。仮に金銭的資源や人的(教員数等)資源が豊富でなくても、顧客ターゲット(顧客として対象とする生徒)をしっかりと絞り、入学者数を確保している学校です。逆に言えば、資源が豊富でない学校はこのようにしっかりと顧客を絞るべきであるといえます。



ポーターの差別化戦略は、このように3つのカテゴリーに戦略を分類し、考えるツールです。自校がどのような戦略を取るべきか、現状とっている戦略が間違っていないのかを考える理論として優秀であるといえます。
また、コストリーダーシップ戦略や集中戦略などそれぞれは相反する戦略となりますので、学校・塾等の特色に合わせてどれか1つを選択することが重要であるともいえます。

以上、ポーターの差別化戦略の説明でした。
次回は、差別化の別の切り口である「差別化の3つの軸」について説明します。


[まとめ]
・ポーターの差別化戦略とは、戦略を「差別化戦略」「コストリーダーシップ戦略」「集中戦略」に分け、3つにパターン化した理論である
・私立学校で考えた場合、宗教系の大学付属中学高校や中堅進学校をイメージすると分かりやすい



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