[サマリー]
・PEST分析とは、企業を取り巻く外部環境を「Politics:政治的要因」「Economy:経済的要因」「Social:社会的要因」「Technology:技術的要因」に分け、分析するフレームワークである
・視点がマクロであるため、企業・組織に大きな影響を与える要素を考えることができる
以前当ブログでは、企業や組織の外部環境の脅威を分析・整理するフレームワークとして「5フォース分析」を紹介しました。
今回も、外部環境を分析するフレームワークとして「PEST分析」を紹介します。(「フレームワーク」についての説明はこちらをご覧ください)
PEST分析による経営分析
PEST分析とは
PEST分析とは、企業を取り巻く外部環境を「Politics:政治的要因」「Economy:経済的要因」「Social:社会的要因」「Technology:技術的要因」に分け、分析するフレームワークです。
また、前回説明した5フォース分析が競合や売り手買い手などミクロ的な環境(小さな視点)だったのに対し、PEST分析はマクロ的な環境(大きい視点)で分析するツールであることに、大きな違いがあります。
このPEST分析は、業界によって重要となる項目が変わってきます。
例えばIT業界の場合、非常に技術革新が早いことなどから「Technology:技術的要因」が分析の重要項目となります。
同じように製造業においては、特許が大きく関係してくることがあり「技術」の項目が重要となることがあります。
他にも、法規制の厳しさや補助金制度の変化に特徴がある介護福祉業の場合「Politics:政治的要因」が重要分析項目となります。
学校や塾、教育業界企業の場合、必ず押さえておきたいのは「Social:社会的要因」の少子化問題です。また学校法人の場合、補助金が関係してきますので「Politics:政治的要因」も切り離すことはできません。
このように、PEST分析はマクロの視点のフレームワークであるため、分析してもあまり意味がないと思う方もいるかもしれません。
しかし、このようなマクロ環境というのは、変化したときに業界や競争環境を一変させる大きな力を持っています。
PEST分析の重要性
例えば「社会的要因」の人口減少について考えます。地方にある私立学校を考えた場合、この問題は死活問題です。「市区町村名 人口推移」などで検索すると過去の人口推移と未来の人口推移の予想を掲載している自治体も多いですが、軒並み人口減少の予想がされています。
学校法人の場合、顧客は非常に限られます。高校の場合、基本的には16~18歳の層です。この非常に限られた市場規模が、人口減少と共にさらに小さくなります。また人口減少について、人口総数の減少と少子化の2重の効果により16~18歳層は減少します。
それを受け地方から大都市に移住する流れが強まれば、減少はさらに加速します。
その小さな市場の中に、私立高校が複数あったとしたらいかがでしょうか。
現状では経営が順調だったとしても、将来的に厳しい状態になる可能性は高いと思われます。
ここで打ち手を考えるならば、
①狭い市場の中でシェアを高める(他校に打ち勝ち生徒に入学してもらう)
②シャア自体を広げる
の2点が挙げられます。
①については特にコンサルタントが強みとする分野です。このブログでも戦略的募集対策を説明していきたいと思っていますが、私が元教員の中小企業診断士として最も強みとする部分です。
②については、場合によっては行政へのはたらきかけが必要になる、非常に大掛かりな構想となります。過去に第三セクターへのコンサルティングを行った際経験しましたが、自治体をあげた取り組みとなります。
このように、PEST分析で整理する項目はマクロであるがゆえに、要因が変化したときの影響が非常に大きいという特徴があります。
来るべき環境要因の変化を想定し、対策を練るために、ぜひPEST分析を活用してもらえればと思います。
[まとめ]
・PEST分析とは、企業を取り巻く外部環境を「Politics:政治的要因」「Economy:経済的要因」「Social:社会的要因」「Technology:技術的要因」に分け、分析するフレームワークである
・視点がマクロであるため、企業・組織に大きな影響を与える要素を考えることができる
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