[サマリー]
・ 固定長期適合率とは企業の長期的な安全性を示す指標であり、「固定資産÷(自己資本+固定負債)」で計算することができる
・固定長期適合率が100%を切っている場合、早急に改善を図っていく必要性が高いといえる



会社の財務状態の安全性を表す指標の1つに「固定長期適合率」というものがあります。
今回はこの固定長期適合率について、計算式や目安、として単語として似ている固定比率との違いなどについて説明していきます。

固定長期適合率の目安や計算式

固定長期適合率とは?

固定長期適合率とは、長期的な投資である固定資産が、同じく長期的に安定して使える自己資本や固定負債に対してどの程度あるのかを表す指標です。

少し分かりづらいかもしれませんが、固定長期適合率を理解するためには、固定比率の理解が重要です。
そこでまず、固定比率を簡単に説明したいと思います。

固定比率とは?

固定比率とは、自己資本に対して固定資産がどのくらいあるかを表す指標です。

固定比率の計算式は、

固定比率=固定資産÷自己資本


このような形です。
そしてなぜこのような指標を考えるかといえば、固定比率によって企業・組織の長期的な財務安定性を測ることができるからです。

どういうことなのか、例を挙げて考えてみます。
例えば、短期借入金(流動負債)を使って機械設備(固定資産)などを購入したとします。この場合、借入金は1年以内に返済しなければいけないのに対し、機械設備がその分の資金を生み出すのはもっと先の話になります。5年10年と継続して稼働させることで、利益を生み出していくというのが設備投資の性質です。

つまり、まだ十分な利益を生み出していないのにお金だけは返さなければいけません。


これが危ない状態だというのは分かっていただけるかと思います。
逆に言えば、機械設備などの固定資産は短期借入金などの流動負債ではなく、自己資本などで賄うべきなのです。

このように、固定比率を計算することで、固定資産がどの程度自己資本で賄われているかを測ることができます。それによって、企業の安全性を知ることができるということです。


しかし、この固定比率はまだ発展の余地があります。
先程の例で言えば、機械設備を短期借入金(流動負債)で賄ったのが問題だったわけで、必ずしも自己資本で賄う必要はありません。例えば、長期借入金(固定負債)で賄うという選択肢もあります。事実、長期の銀行借り入れで設備投資を行うというのは企業でも非常に一般的な活動です。

以上をまとめると、
「固定資産は、自己資本か固定負債で賄うことができれいれば、企業の安全性は高い」

ということができますね。これを表すために、固定負債を計算式に含めて固定比率を発展させたのが、「固定長期適合率」なのです。

(固定比率についてもっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事をご確認下さい。→固定比率の意味|計算式や目安、流動比率との違い


固定長期適合率の計算式

固定長期適合率は、以下のような計算式で求めることができます。

固定長期適合率の計算式


固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)


このような式で求めることができます。まさに、固定資産が自己資本と固定負債でどの程度賄われているのかという割合を表す式になっていますね。

ここで、固定比率の式も確認し比較しておきましょう。

固定比率の計算式

固定比率と固定長期適合率の式の違いは、自己資本に固定負債を足し合わせるかどうかということがお分かりいただけたかと思います。


それでは、固定長期適合率の目安について紹介したいと思います。

固定長期適合率の目安

固定長期適合率の目安は非常にシンプルです。

100%を超えている場合、危険水準だといえます


固定長期適合率が100%を超えているとは、固定資産が自己資本と固定負債では賄えていないという状態です。このような状態が続けば、資金繰り(キャッシュ不足)が生じる可能性が高くなります。

固定比率が100%を超えているとしても「固定資産の一部は固定負債が賄っているだろうから大丈夫」かもと考えることはできますが、固定長期適合率が100%を超えている場合、楽観視はできません。早急に改善策をとっていく必要性が高いと言えます。

以上、固定長期適合率について計算式や目安、固定比率との違いを説明しました。会社・組織の状態を正しく知るためには各種経営指標の意味を知ることが重要です。より専門的分析が必要であるというときは、我々コンサルタントにもお気軽にご相談頂ければと思います。


[まとめ]
・ 固定長期適合率とは企業の長期的な安全性を示す指標であり、「固定資産÷(自己資本+固定負債)」で計算することができる
・固定長期適合率が100%を切っている場合、早急に改善を図っていく必要性が高いといえる


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