今まで個人で事業をやってきた方は、基本的に交際費の支出額に限度はなかったため、あまり金額について意識されたことはなかったと思います。しかし、法人化した場合には、交際費の支出額に限度があるため、金額を意識する必要が出てきます。
ここで問題となるのが、「どのような支出が交際費に該当するのか」です。得意先との飲食代などは交際費の代表例としてイメージしやすいと思われますが、他にどのような支出が交際費に該当するのか明確にしておかないと、年間の交際費の支出限度額を超えてしまうようなケースも出てきてしまうことになります。
そこで当記事では、税務上の「交際費等」の要件について解説します。なお、関連事項として、法人が青色申告をするメリットや、新しく法人を設立した際に必要となる各種届出や申請の種類については下記リンク記事にまとめていますので、そちらをご確認ください。
税務上の交際費等の3要件
交際費等とは?
税法では、「交際費等」について、次のように定義されています。(交際費ではなく、幅広い概念として「交際費等」として定義されています。)
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をい…う。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
(租税特別措置法第六十一条の四)
小難しい内容ですので、構造を見ていきましょう。まず前半については、交際費等の定義と、交際費等から除かれる費用の存在が書かれています。次に後半については、その交際費等から除かれる費用の具体的内容が書かれています。
したがって、交際費等の定義として特に重要となるのは、この前半の文章ということになります。したがって、前半の文章のみを抜粋して再度読んでみたいと思います。(分かりやすく一部書き直して記載します。)
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。
だいぶシンプルになりましたね。この文章を読むと、大きく3つの部分に分けることができることに気づきます。つまり、「交際費、接待費、機密費その他の費用で」「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する」「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」という3つの部分です。
この3つがそのまま交際費等の要件になりますので、それぞれ確認してきたいと思います。
交際費等の3要件
(1)交際費、接待費、機密費その他の費用であること
先ほどの条文の「交際費、接待費、機密費その他の費用で」の部分から、この定義が導き出されます。
交際費等というと、まっさきに思い浮かぶのが飲食費などの交際費ですが、これらだけでなく、接待費や機密費なども交際費等に該当する可能性があるという意味がこの要件です。また、「その他の費用で」とは、交際費や接待費、機密費と性質が類似している費用を意味すると考えられています。
(2)支出の相手方が得意先、仕入先その他事業に関係のある者等であること
先ほどの条文の「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する」の部分から、この定義が導き出されます。
接待というと得意先に行うイメージが強いですが、仕入先など全ての事業関係者に対する支出が交際費等に該当する可能性があるという意味がこの要件です。ちなみに、この「その他事業に関係のある者等」には、従業員や株主なども含まれると考えられています。つまり、とても広い意味での事業関係者をイメージして頂ければと思います。
(3)接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものであること
先ほどの条文の「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」の部分から、この定義が導き出されます。
交際費等に接待が含まれることは当然にイメージしていると思います。また、供応も接待と類似の行為ですからこれも同様です。一方、慰安や贈答も交際費等に含まれるという部分に注意が必要です。さらに、「その他これらに類する行為」も要件に含まれているため、接待・供応・慰安・贈答と類似する行為のために支出する費用も交際費等に該当する可能性があるということであり、非常に幅広い費用が「交際費等」と判断される可能性があることを示しています。
以上、税務上の「交際費等」の3つの要件ついて解説しました。この3つの要件を満たすものが交際費等に該当するということですから、事業や会社経営をしているという方は、交際費に該当するか迷った場合にはこの3つの要件に照らして、1つ1つ該当するか否かを判断して頂ければと思います。判断に迷った場合などは、我々専門家へご相談ください。
なお当職ですが、東京銀座にて税理士・行政書士事務所を構えています。顧問税理士をお探しであったり、届出や申請についてご自分でのご判断や手続が難しい、時間がないという方は、我々税理士にお気軽にご相談いただければ幸甚です。顧問税理士として、上記届出・申請等を行います。また、毎月の会計記帳や年度末の申告についても税理士が行います。
以下、当事務所に顧問業務をご依頼を頂いた場合の流れなどを説明します。
当事務所(税理士)へのご依頼について
資料のやりとりと記帳代行
当事務所は原則として、レシートや帳簿類を毎月ご送付いただき、それを基に毎月試算表を会社へ送付するという流れで業務を行っています。
したがって、いわゆる決算のみのご依頼というのは原則としてお受けしていません。決算のみのご依頼となると、決算前の会社の状態が分からないため税務相談に乗ることができないだけでなく、毎月処理すべき会計記帳などを1年分まとめて短期間のうちに処理しなければならないからです。ご理解下さい。(ごく小規模の事業者の方については例外もありますので、ご相談下さい。)
また、当事務所は、法人の申告とセットで記帳代行を基本としています。
記帳代行とは、複式簿記による会計帳簿を、会社ではなく当事務所で行うというものです。この記帳代行については、一切引き受けない税理士事務所も存在するなど、税理士が敬遠するケースも多いですが、むしろ当事務所はこの記帳代行を原則としてます。記帳を通して会社の現状を理解することができ、申告や税務相談に良い影響があると考えるからです。
したがって、「自分で会計処理を行っているので、決算だけお願いしたい」というようなご依頼は基本的にお受けしていません。会社の会計処理を当事務所で確認・修正するのに同等以上の手間や時間がかかるためですので、ご理解下さい。なお、従業員が相当数いる会社であったり、経理部がきちんとしている会社など、会社ご自身で会計記帳を行っていただいて何ら問題ないケース(すなわち自計化の方がよいケース)もありますので、ご相談下さい。
ご依頼いただいた場合の毎月の流れ
①月初の資料のご送付
前月1か月分のレシートや、売上台帳などの帳簿、通帳などの資料を当事務所にご送付いただきます。ご送付は、紙媒体の他、電子データのメール送付などでもお受けしています。
②当事務所での記帳処理
①でご送付いただいたデータを基に、当事務所にて会計記帳を行います。
③試算表の送付
②の当事務所での記帳処理が完了し次第、試算表(収益、費用、利益、資産、負債の現況や推移をまとめた表)を会社へ送付します。
④決算と申告
①から③を1年分繰り返したのち、当事務所にて決算処理及び申告を行います。
このように、依頼者の方(会社)とのやりとりを密に1年の作業を進めていきます。
当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリット
当事務所に法人に関する申告や記帳代行をご依頼・ご相談される場合、自力でこれらを行う場合と比較して、以下のようなメリット・特徴があります。
専門家たる税理士として検討・申告を行うこと
当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、法人に関する申告や届出等の税務について、丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。
中小企業診断士として経営の観点を有すること
当方は、経営コンサルタントの国家資格者たる中小企業診断士の資格も活用して業務を行っているので、事業に関する経営面から知見から、相談等に対応することが可能です。
行政書士として各種許認可に関する相談にも乗ることもできること
当方は上記資格に加え、各種許認可申請の専門家たる行政書士としても活動しております。したがって、開業や新規事業に当たって必要となる許認可などの相談にも専門的知見からご相談に乗ることができます。
依頼者の方が抱えられている不安を少しでも解決できればと、その一助になれればと思っております。
大きくこの3点が、当事務所に法人に関する申告や記帳代行等を依頼するメリットだと自負しております。
当事務所へご依頼いただいた場合の料金
当事務所は、法人に関する申告や記帳代行として、次の通り料金を頂いています。
1.基本料金
以下、毎月の記帳代行や決算申告の料金となります。なお、会社規模や取引規模に応じて増額しますので、詳細につてはご相談下さい。
・毎月:2万円~
・決算及び申告:毎月の料金の5か月分
2.その他料金
・法定調書、償却資産税申告:1件あたり1.5万円
・年末調整:1人あたり3000円
なお、給与計算、税務調査立会など、その他業務については実態に応じて金額を検討しますので、ご相談下さい。
法人・個人に関する申告や記帳代行は当事務所にご相談ください
以上、当事務所にご依頼いただいた場合の流れや料金等について説明いたしました。
当方は、税務の専門家たる税理士の資格を中心として、中小企業診断士や行政書士など各種分野の専門家たる資格を活用して業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への法人に関する依頼となると、長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。
申告や記帳代行など、法人の税務に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。
業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。
お問合せをお待ちしています。
事務所代表プロフィール
氏名:木村 成(きむら じょう)
保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士
業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。
誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。