[サマリー]
・商品戦略はモノだけでなく、サービスも含んだ戦略である
・「核」「形態」「付加機能」の3つのレベルに分けて考えることで、経営戦略策定や方向性を考える上でのフレームワークとして活用できる



以前当ブログでは、マーケティング・ミックスの基本的な考え方について説明しました(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

今回は、マーケティング・ミックスの「4P」のうちの1つである、商品戦略について説明します。

学校や塾における商品戦略のポイント

商品戦略とは

マーケティング・ミックスの4Pの中の「Product」にあたる商品戦略について説明していきます。

まず、学校・教育関係者の方が商品戦略という単語を見たとき、「うちには関係ないな」と思うかもしれません。たしかに学校や塾においてはモノを売るというタイミングはほとんどありませんね。しかし、商品戦略は非常に重要です。

なぜなら、顧客にとって商品とは「モノ」そのものだけではないからです。
まず、物理的なモノについて考えても、モノだけでなくそれを包むパッケージや配送・修理などまで含んだ広い概念です。そして何より、モノだけでなくサービスまでが商品戦略の範囲です。

つまり、学校や塾であれば「商品」としての筆頭は授業ですし、その他すべての提供するサービスを含めて商品戦略であると考えてください。



ここで、コトラーというフィリップ・コトラーという経営学者が考えた商品戦略の3つのレベルを説明します(経営学においてこのコトラーという名前はとてもとても良く出てきます)。

商品戦略の3つのレベルとは

商品の3つのレベルとは、「核」「形態」「付加機能」です。商品戦略を考える上では、一種のフレームワークとして考えてください。
では、図を使って考えてみます。

商品戦略、コトラー

「核」を中心として、商品のレベル感を表しています。ブランドや保証などは、それぞれのレベルにおける代表的な項目を挙げています。

例えばテレビでこの3つのレベル感を考えてみましょう。
まず、戦後日本にテレビが普及した当初、メーカーが重視したのは「核」です。白黒テレビからカラーテレビへの移行など、とにかく良い商品を作ったメーカーが売れるという構図でした。

では、現代ではどうでしょう。一見、4Kテレビなどの登場によりテレビ自体の品質が勝負されているかとも思いますが、難しいところです。なぜかというと、商品の品質は一定水準に達すると、顧客が受ける便益(有益さ)は頭打ちになります。4Kになっても、4Kより更に高い画質のテレビが登場しても、見ている側としては「綺麗だね」程度のものとなってしまうのです。

ですので、テレビなどの電化製品はアフターサービスや保証という「付加機能」で競争する構図に移ってきています。


学習塾における商品戦略の3つのレベル

では学習塾における3つのレベルを考えてみましょう。

・「核」のレベル
授業そのものの品質

・「形態」のレベル
塾のブランド、講師教員、サービス広告やロゴ・校舎(パッケージング)

・「付加機能」のレベル
授業料返還保証、無料体験講習、欠席振替サービス、保護者通信サービス



このような形になります。このようにフレームワークのように区切って考えることができるので、自校自社がどの点・レベルを強化していくべきかという経営戦略が策定や方向性の立案がしやすいですね。

先程、テレビは「核」での勝負から「付加機能」での勝負に変わっていったという話をしましたが、学習塾においてはまだまだ「核」や「形態」での勝負は健在です。現に進学校の学校教員は支持している塾としていない塾があり、自分が支持していない塾に生徒が通い始めると、「そこは辞めたほうがいいよ」とアドバイスする教員もいます(経験上、そういった先生方は少なくありません)。
そして何をもって教員から支持を得られるかといえば、授業力や授業形式です。
教員の口コミを例に挙げましたが、教育業界においてはまだまだ本質的なサービス機能での勝負が成立していると考えられます。


ここまで塾について3つのレベルを考えてきましたが、学校においても授業そのものが「核」としてあり、塾と同じように考えることができます(もっと広い意味で言えば核は生徒の生育等にもなってきますが、ここでは授業をメインに考えています)。


以上、商品戦略とコトラーの3つのレベルについての説明でした。
このフレームワークを活用して、経営戦略の方向性立案などに役立てて頂ければと思います。
次回は「価格戦略」について説明します。



[まとめ]
・商品戦略はモノだけでなく、サービスも含んだ戦略である
・「核」「形態」「付加機能」の3つのレベルに分けて考えることで、経営戦略策定や方向性を考える上でのフレームワークとして活用できる


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