[サマリー]
・PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)とは、キャッシュフローの観点から、事業や商品の最適な投資配分を検討するためのツールである
・「相対的市場シェア(=お金の流入)」「市場成長率(=お金の流出)」として、事業や商品・サービスを4つに分類することが特徴である




以前当ブログでは、学校や塾、教育業界企業における経営戦略策定の考え方として、成長ベクトル論を説明しました。
今回は、同じく戦略策定の考え方・ツールである「PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)」について説明します。


経営戦略の策定:PPMの活用方法

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)とは

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)とは、キャッシュフローの観点から、事業や商品の最適な投資配分を検討するためのツールです。

まず、キャッシュフローとは、お金の動きのことを指します。
例えば、時給1,000円の社員が1時間働いて、3,000円の現金を手に入れたとします(これ以外の条件は簡略化のため考えません)。会社にとっての利益は、3,000円-1,000円=+2,000円ですが、この一連の流れのキャッシュフローはあくまでも+1,000円です。現金が3,000円入ってきただけで、人件費1,000円はまだ出ていっていないからです。

PPMを考える上ではこの厳密な定義まで分かっていなくても理解できますが、知っておくと便利です。


ではこのキャッシュフローの考え方を知った上で、PPMとは実際にどのようなものなのか、以下の図を使って説明します。

PPMとは


では、上の図に沿って説明します。
まず、相対的市場シェアとは、他社に比べてどれだけシェアで優位に立っているかということです。PPMでは、相対的市場シェアが高いほど、大きなキャッシュの流入があると仮定します。つまり、シェアが高ければお金がいっぱい入ってくるよね、ということです。

次に、市場成長率とは文字通り市場の成長率を指します。市場規模が大きく・小さくなるスピードのことです。PPMでは、市場成長率が高いほど、キャッシュの流出が大きいと仮定します。つまり、市場が急速に育ってるってことは、投資が必要になるよね、ということです。
この市場成長率については、「プロダクトライフサイクル」という考え方が重要になってきますが、これについては別の機会で説明します。


ここまでの説明を踏まえ、もう一度PPMの図を見てみましょう。

PPMの用語について

もう一度図を見てみると、気になる単語が並んでいることに気付いたかと思います。

[問題児][金のなる木]とか大胆なネーミングですね笑
順番に説明します。

先程の説明で、「相対的市場シェアは高いほどお金が入ってくる」「市場成長率は高いほどお金が出ていく」という説明をしました。
つまり、相対的市場シェアが高くて市場成長率が低い事業や商品・サービスは、お金がたくさん入ってくる割に、出ていくお金が少ないということです。
まさに[金のなる木]ですね!ということです。

他にも、相対的市場シェアが高くて市場成長率も高い事業や商品・サービスは、お金がたくさん入ってくるけど、たくさん出ていくというものになります。これは[花形]と呼ばれています。


このように、「相対的市場シェア(=お金の流入)」「市場成長率(=お金の流出)」として、事業や商品・サービスを4つに分類するのが、このPPMなのです。


初めて見た方は、なかなか独特なツールだと感じられると思います。
実務ではこのツールを使って現状の事業や商品、サービスを図に落とし込み、どこに向かわせるべきかという投資決定を行っていきます。
次回はそういったPPM説明の後編と、学校や塾、教育業界ではどのように考えるべきかということを説明したいと思います。



[まとめ]
・PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)とは、キャッシュフローの観点から、事業や商品の最適な投資配分を検討するためのツールである
・「相対的市場シェア(=お金の流入)」「市場成長率(=お金の流出)」として、事業や商品・サービスを4つに分類することが特徴である



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