[サマリー]

・流動比率と当座比率はどちらも企業の支払い能力を表す指標であるが、当座比率の方がよりフォーカスした指標である
・一般的に、流動比率なら100%以下、当座比率なら70%以下の場合、会社経営上危険な状態にあるといえる

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会社の財務状態の安全性を表す指標の1つに「流動比率」というものがあります。会社の資金繰りの状況などをざっくりと知るために便利な指標だといえます。

今回はこの流動比率について、求め方や目安、そして類似の安全性指標である「当座比率」との違いについて説明していきます。

流動比率の目安と求め方・当座比率との違い

流動比率とは?

流動比率とは、企業の短期的な支払い能力を表す比率です。高ければ高いほど、支払い能力も高いということになります。

ではどのようにして流動比率を求めるかについてですが、貸借対照表(BS)の「流動資産」と「流動負債」を比べて求めることになります。BSで「流動」と名前が付く項目は、原則として1年以内に現金化されたり、支払い義務が生じたりといった性質があります。
したがって、企業の「短期的な」支払い能力を求めるためには、この「流動」項目を比べていく必要があるのです。
(逆に言えば、固定項目を比べていくことにより企業の長期的な見通しを判断することができます)

BSについて少し不安があるという方は、こちらの記事をご確認ください。
貸借対照表(BS)とは?見方を簡単に紹介


では次に、流動比率の具体的な算出方法について説明します。

流動比率の求め方

ずばり、流動比率はこのようにして求めることができます。

流動比率の求め方

流動比率=流動資産÷流動負債

これが流動比率の求め方です。例えば、流動資産が1,000万円で流動負債が1,000円なら、流動比率は1,000÷500=200% ということになります。

しかし、式だけだとイメージし辛い部分もあると思いますので、BSを確認してみたいと思います。流動比率は、BSの以下の部分を比較することによって求める指標です。

BS上での流動比率の説明

オレンジ色がついているところが、流動比率を求める際に使う項目です。
現金や短期的に現金にかる売掛金などの「流動資産」を、短期的に支払い義務が生じる「流動負債」で割った値が流動比率です。

財務指標を覚えようと思っている方は、計算式自体を暗記するよりBSやPLのどの部分に当たるのかを覚える方が効率的に暗記できるかと思いますのでオススメです。


ここで、察しの良い方は気付かれたかもしれませんが、流動資産の中には容易に現金化できないものも含まれています。例えば「棚卸資産」などです。材料や仕掛品、商品は在庫として眠っており、簡単に現金化できるとも言えないですよね。

そういった意味で、この流動比率は支払い能力を正しく表しているかというと難しい部分があります。真の支払い能力を求めるためには、こういった容易に現金化できない資産を排除した流動資産を用いる必要があります。

この発想から作られる安全性指標が「当座比率」なのです。

当座比率とは?

当座比率とは、現金預金と短期的に現金化できる債券によって、流動負債の支払いをする能力を判断する指標です。流動比率は棚卸資産など短期的に現金化しづらいものが算入されていたのに対して、当座比率はそういった要素を排除しています。
つまり、

当座比率は企業の真の支払い能力を表す指標



だと言われています。

計算式は「当座資産÷流動負債」です。当座資産とは、流動資産から棚卸資産など短期的に現金化できない部分を引いたもののことです。


当座比率も流動比率と同様に企業の安全性分析で使われますが、2つの指標の違いをしっかりと抑えていただければと思います。



ここまで、安全性指標の求め方などについて説明しました。
最後に、指標の数値の目安について説明します。

流動比率・当座比率の目安

まず、安全性指標は値が高ければ高いほど安全性が高いという前提を踏まえつつ、目安を説明します。

一般的に、流動比率の目安は

・200%以上:理想的
・120~160%前後:平均的
・100%以下:危険


このような形になります。100%を切っているということは、流動資産より流動負債の方が大きいということですので、望ましくない状態だといえます。
しかしながらこれはあくまでも目安であり、業種によって流動比率の平均値は大きく異なります(例えば情報通信業と宿泊業など)。


では同様に、当座比率の目安について説明します。
一般的に、当座比率の目安は

・150%以上:理想的
・90~120%前後:平均的
・70%以下:危険


このような形です。当座比率が100%を切ってくると、望ましくない状態であると言えます。さらに70%を下回った状態だと、一般的に資金繰りに厳しい状態になっていることが想定されます。
もちろん当座比率についても業種によって平均値が異なりますので、さらに詳しく知りたいという方は参照頂ければと思います。


以上、流動比率や当座比率の求め方、目安について説明しました。
会社状態を正しく知るためには各種経営指標の意味を知ることが重要です。より専門的分析が必要であるというときは、我々コンサルタントにもお気軽にご相談頂ければと思います。


[まとめ]
・流動比率と当座比率はどちらも企業の支払い能力を表す指標であるが、当座比率の方がよりフォーカスした指標である
・一般的に、流動比率なら100%以下、当座比率なら70%以下の場合、会社経営上危険な状態にあるといえる

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