
大切な方が亡くなられた際、葬儀関係の手続や遺品整理などに加え、やらなければならない手続として「遺産分割」「相続税申告」等が挙げられます。
遺産分割は遺産が少しでもあれば必ず行うこととなる手続です。一方、相続税申告は必ずしも全員が行わなければいけないわけではないのですが、申告する必要があるか否かの判断が難しかったり、申告が必要となった場合の計算(財産評価等)が難しかったりするため、初めて相続税申告に触れるという方が適正な内容で申告を行うことは一般的に困難だと言われています。
そして、これら手続の大前提となるのが「相続人の調査」です。遺産分割を行うにしても、相続税申告を行うにしても、相続人(法定相続人)が分からなければ相続税申告の行いようがなく、また、相続税申告を行わなくてよいかの判断もすることができないのです。そしてこの相続人の調査結果をまとめた書面が「法定相続情報一覧図」なのですが、近年法制化されたということもあり、作成や相続人調査自体に困っているという方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、まず相続税申告の特徴を確認した上で、相続人の調査や法定相続情報一覧図について解説し、最後に当事務所にご依頼頂いた場合の料金等について記載しますので、ご参考にしていただければ幸いです。
なお当方は、東京銀座に事務所を構え税理士業務を行っています。銀座という土地柄、資産家の方をはじめとして幅広い方からの依頼を日々受けています。また、こういった街ですので、特に資産税(相続税・贈与税等)に関連する税務や法務の相談を日々受けていますので、法定相続情報一覧図の作成や相続税申告など、お気軽にご相談、ご依頼頂ければと思います。
(当事務所へのアクセスについてはこちら、事務所代表税理士についてはこちらをご覧ください。)
関連として、相続税申告については下記リンク記事をご覧ください。
相続人の調査
相続税とは
相続税とは、亡くなられた方(被相続人)からお金や土地などの財産を受け継いだ(相続した)場合に、その受け取った方(相続人)が支払う事となる税金です。
相続税というと名前自体は一般的ですので、ご存知の方がほとんどかと思われます。しかし、実際に相続税の申告を行うとなると非常に難しく、多くの場合はご自身で申告することなく税理士に依頼する運びになると言われています。
では、なぜ相続税の申告は難しいのでしょうか。それは、大まかに以下3つの理由があるからです。
相続税申告が難しい理由
(1)財産評価
相続税の申告は、被相続人(亡くなった方)の所有していた財産の価額に応じて進めていく事になります。もちろん、相続人がいくら相続税を支払うことになるかについても、相続した財産の価額が重要となってきます。(評価が重要だということは、当然ながら正確な財産の種類・数量の把握が必要だということとなります。)
したがって、被相続人が所有していた財産、つまり遺産が実際にいくらあるのかという財産評価が問題となります。遺産が現金しかない場合には比較的簡単ですが、そのようなケースはまずないでしょう。預金、株式、土地建物をはじめとして、様々な種類の遺産の評価を行う必要があります。
※なお、「遺産が現金しかない場合には比較的簡単」と記載しましたが、このような場合であっても遺産の範囲の判断が難しい場合が多々あります。例えば、「被相続人の名義ではない預金や現金があるが、実際には被相続人の名義であると考えられるか否かの判断」や、「相続が生じる数年前から相続発生時点までにかけて被相続人から経済的利益を受けたと考えられるか否かの判断」などです。つまり、現金や預金はその評価自体は比較的シンプルながら、その範囲の判断が難しいといえます。
このように、遺産の評価は専門的計算が必要となり、また、専門家の間でも評価が分かれることも往々にしてある程に複雑であると知られています。
(2)各種特例の適用判断
遺産の総額が判明した(相続財産の範囲や財産評価が完了した)からといって、その全額に対して相続税がかかるわけではありません。基礎控除をはじめとした各種控除や、小規模宅地等の特例をはじめとする各種特例を検討、適用することによって減額した金額に対して相続税がかかることとなります。
例えば、これら特例の中でも、先ほど記載した「小規模宅地等の特例」について簡単に説明したいと思います。小規模宅地等の特例とは、一定の要件に該当する場合、対象の土地の評価額を最大8割減少させることができるという特例です。8割減額ということで、5000万円の土地が1000万円の評価になるわけですから、相続税の金額にも相当影響してくることが分かるかと思います。
しかし、この小規模宅地等の特例1つを取ってみても山ほどの論点があり、この特例についてのみ書かれた専門書も沢山あるほどです。先ほど「一定の要件に該当する場合、特例を受けられる」と説明しましたが、この要件の該当性が特に重要であり、法令・通達・判例などに照らして1つ1つ検討する必要があり、専門的知識が必要となります。
(3)金額が大きい上に期限がある
相続税申告が必要な場合、例えば給与所得者の方が納める所得税などと比較して、多額になるケースがほとんどだと思います。さらに、相続税の申告は原則として相続があった日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
このように、金額が大きい上に期限があるという面からしても、一般の方が迅速に申告に関する計算や手続を行うことは難しいといえるでしょう。
もっといえば、身近な方の相続というのは人生で何回も経験することではありません。当然、相続手続や相続税申告に慣れているというような方は、まずいません。したがって、いざ身近な方が亡くなった場合に、「慣れていない(または一回も経験したことがない)相続税申告を」「一定期間のうちに」「金額も大きくプレッシャーがかかる中やらなければならない」ということになります。
以上3点が、相続税申告をご自身ではなく税理士に依頼するケースが一般的に多いという背景だといえます。
相続人調査が必要な理由
法定相続情報一覧図の作成の前提となるのが相続人調査ですが、相続人調査を行わなければならない理由は主に2つあります。以下、この2点につき解説します。
理由1:遺産分割手続で必要となるから
例えば、被相続人(亡くなった方)の保有していた銀行口座を解約して相続人で分配しようと思った時、原則として相続人(法定相続人)全員に関する情報が必要となります。
銀行としても、遺言書がある場合などを除けば、遺産をどう分けるかという内容について相続人全員が納得しているのかなどを判断する必要があるため、そもそも誰が相続人なのか明らかにするために相続人調査の情報が必要となります。
もちろん、銀行預金以外の遺産の分割(不動産、車など)においても同様で、相続人調査の情報が必要となります。
理由2:相続税申告で必要となるから
相続税の計算では、法定相続人(実際に誰が相続したかではなく、法律によって本来予定されている相続人のことをいいます。)が何人いるかに応じて、相続税が軽減される仕組みとなっています。さらにいうと、法定相続人の人数によっては、相続税申告をしなくてよい場合もあるのです。
具体的には、次の計算式を満たしている場合に相続税申告が不要となります。
遺産総額ー(3000万円+法定相続人の人数×600万円)≦0
上記の式の通り、法定相続人の数が多ければ多いほど、相続税申告をしなくてよい場合が多くなる(相続税申告をしなければならない場合であっても、相続税額が小さくなる)こととなります。
このように、法定相続人の把握、つまり相続人の調査は、相続税申告に関する判断や申告自体においても必要になるのです。
法定相続人の調査方法
法定相続人を調べるには、戸籍を取得しその内容から判断を行うこととなります。具体的には、まず被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得した上で、次に必要に応じてその親族の戸籍謄本を確認する運びとなります。
この相続人調査については、シンプルなケースもあれば複雑なケースもあります。最もシンプルなケースでいうと、被相続人が生まれてからほとんど本籍地を動かしておらず、自治体で保存されている戸籍が少ないような場合です。このような場合、比較的スムーズに戸籍を収集し、法定相続人の調査を行うことができます。
一方、複雑なケースとしては、被相続人が頻繁に本籍地を異動していたり、被相続人のお子さんが既に亡くなっていたり、被相続人が離婚・再婚しているケースなどが挙げられます。このようなケースの中には、被相続人の戸籍だけでなく、その親族の戸籍まで収集していかなければならない場合もあり、通常の相続人調査と比べて複雑となります。また、上記のシンプルなケースと違い、どの戸籍を・誰の戸籍を取得すればよいかの判断が必要となりますので、時間がかかるだけでなく、戸籍の内容を正確に読み取り判断することが求められます。
法定相続情報一覧図作成のメリット
相続人調査が必要不可欠であることは上記の通りですが、それでは法定相続情報一覧図の作成はどうでしょうか。
結論として、「法定相続情報一覧図の作成は義務ではないが、作成するメリットは大きい」といえます。
以下、作成のメリットについて説明します。
メリット①「法定相続人を確認することができる」
法定相続情報一覧図を作成せず(つまり取得した戸籍謄本等のみで)手続を進めていく場合、「誰が法定相続人なのか」については予め保証を得ることができず、確信のないまま遺産分割協議書の作成などを進めていく事となりがちです。
逆に言えば、法定相続情報一覧図を作成することによって、法定相続人が誰なのかについて法務局(国)がお墨付きをくれることになりますので、安心してその後の手続を進めていく事が可能です。具体的にいうと、取得した戸籍謄本等を基に法定相続情報一覧図の案を作成し法務局へ提出するのですが、これが間違っていれば補正の連絡が入りますし、合っていればそのまま正式な法定相続情報一覧図として国が発行してくれることとなります。
つまり、法定相続情報一覧図作成の手続を踏めば、その後の遺産分割協議や具体的な遺産分割手続において、「法定相続人が想定と異なっていた」というような事態を回避することができるのです。
メリット②「手続を同時進行することができる」
法定相続情報一覧図は、銀行手続や相続税申告・相続登記などにおいて、取得した戸籍謄本等に代えて使用することができます。さらに、法定相続情報一覧図は複数枚発行してもらうことができます。つまり、法定相続情報一覧図を作成し、法務局で複数枚発行してもらうことによって、複数の銀行手続や相続税申告・相続登記などを同時並行して進めていく事ができるのです。
これがもし、法定相続情報一覧図を作成していないケースだとどうなるでしょうか。例えば、A銀行の預金解約手続には戸籍謄本等を郵送などで提出する必要がありますので、このA銀行の手続が終わらないと、他のB銀行やC銀行の預金解約手続や、自動車の名義変更、相続税申告、相続登記…等々の手続に移行することができず、全体として膨大な時間がかかってしまうこととなってしまいます。もちろん、予め戸籍謄本等を複数枚取得しておけば理論上手続を同時進行することができますが、相続で必要となる戸籍謄本等の種類・枚数は非常に多くかなりの手数料がかかってしまう上、そもそも戸籍謄本等を取得する時点では何枚戸籍謄本等が必要か(どれだけの手続を同時進行したいか)が分からない場合がとても多いため、現実的ではないと思われます。
メリット②「手続がスムーズに進むケースが多い」
銀行預金の契約手続などで戸籍謄本等を提出する場合、戸籍謄本等の提出を受けた銀行は、銀行内で当該戸籍謄本等の内容を精査し、法定相続人が誰なのかを認定しなければなりません。これはとても重要な作業で、万が一間違ってしまうと手続全体が間違ったものとなってしまうため、銀行側としては慎重に進める必要があります。つまり、手続に時間がかかってしまうのです。
これに対して、戸籍謄本等に代えて法定相続情報一覧図を提出した場合はどうでしょうか。法定相続情報一覧図は前述の通り、法定相続人が誰なのかを法務局が確認した書面ですので、銀行側としては改めて法定相続人が誰なのかを自分たちで検討する必要がありません。つまり、戸籍謄本等を提出する場合と比べ、手続がスムーズに進むこととなります。
実際、戸籍謄本等はかなりの枚数になっていることも多く、銀行側としても内容の精査や管理が大変だからか、法定相続情報一覧図を作成した際「戸籍謄本ではないんですね、ありがとうございます」と言われたことがあります。銀行側としても、これが本音なのだと思われます。
ここまで、相続人調査や法定相続情報一覧図について、その内容や作成のメリットについて解説しました。しかし実際の所、他にもやらなければならないことが多くある中で、このような相続人調査を適正に進め、法定相続情報一覧図を作成していくというのは難しいことだと思います。また、これらが終わった後には遺産分割を行ったり、相続税申告も行わなければならない場合があり、全体を通してなかなか難しく、また時間がかかると思います。「相続人の調査手続に不安がある」「調査をしている時間がない、心の余裕がない」「自分で途中までやってみたが、間違っていないか不安だ」「戸籍の読み方が分からない」「法定相続情報一覧図を作成して欲しい」「相続税申告もする必要があるのか判断がつかない」「税務調査が入ったが、どうすべきか」など、当てはまるという方はぜひ税理士にご依頼ください。当事務所は東京銀座で税理士業を行っており、日ごろから様々な方からの依頼を受けていますので、安心してご相談いただければと思います(代表税理士のプロフィールはこちらをご覧ください)。
以下、当事務所にご依頼頂く際の料金や流れなどについて記載します。
当事務所に相続手続を依頼するメリット
大切な方を亡くされた方が当事務所に相続人調査や法定相続情報一覧図の作成などの相続手続をご依頼・ご相談される場合、当事務所の特徴・メリットとして以下が挙げられます。
専門家たる税理士として検討・申告を行うこと
当方は、税金に関する計算や手続の専門家たる税理士として活動しています。したがって、相続人調査や法定相続情報一覧図の作成、財産評価、財産の範囲の判断、各種特例の適用など含め、相続関係に関して丁寧かつ適格に計算や手続の遂行を行うことが可能です。
銀座の税理士として資産家の方からの依頼を日々受けていること
当事務所は銀座に所在しているため、日ごろから資産家の方をはじめ幅広い方からの税務に関する依頼を受けています。したがって、相続人調査や評価対象となる財産や相続の態様等について、様々なケースを経験、理解していますので、ご相談などもスムーズに対応することが可能です。
他資格も活用して相談にも乗ることもできること
当方は税理士としてだけでなく、法律書類作成の専門家たる行政書士や、資産設計の専門家たる1級ファイナル・プランニング技能士(1級FP技能士)などとしても活動しております。したがって、相続といっても単に相続税のみを考え業務を進めるのではなく、遺産分割協議書の作成や遺産分割手続、ライフプランニングなどについても検討したり、ご依頼を受け実際に業務として行うことも可能です。このように、税務以外も含めた幅広い相談に専門的知見から応えることができます。
大きくこの3点が、当事務所に相続税申告を依頼する場合の特徴・メリットだと自負しております。
当事務所の相続関連業務の料金
(1)相続人調査・法定相続情報一覧図の作成・財産調査の料金
相続人調査、法定相続情報一覧図の作成、財産調査については、それぞれ以下の金額となります。
・相続人調査:5万円~
・法定相続情報一覧図の作成:5万円~
・財産調査:5万円~
相続人調査については、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍や、必要に応じて親族の方の戸籍等を当方にて取得し、調査を行う形となります。また、ご依頼に応じて法定相続情報一覧図の作成も行います。
財産調査については、預金保有の有無に関する銀行への照会手続や、不動産保有の有無に関する自治体への照会手続などを代理します。
(2)遺産分割協議書作成の料金
遺産分割協議書作成の料金は、10万円~となります。
実際の遺産分割協議の内容に応じて金額が決まりますが、相当特殊な事情などが無い限りはこの金額にてお受けすることとなります。特殊事情がある場合は予めご相談下さい。
(3)遺産分割手続の料金
遺産分割手続の料金は、20万円~となります。
遺産分割手続とは、遺言に記載された内容や遺産分割協議書の内容に応じて、銀行預金の解約手続や自動車の名義変更などの手続を行うというものです。遺言や遺産分割協議書の内容(相続財産の種類や数量、金額等)に応じて手続の内容が大きく変わりますので、当該内容に応じて金額が決まる形となります。
(4)相続税申告の料金
相続税申告の料金は、「遺産総額の1%」が基準となります。
この金額を基準として、具体的な遺産総額や遺産の種類、相続人の人数などに応じて料金が決定することとなります。遺産総額については、特に不動産や株式など正確な金額が分からないという場合も多いと思いますので、このような場合はその旨お伝えください。
ご依頼の流れ
(1)お問い合わせ
まず、下記お問い合わせフォームからご連絡をお願いします。ご連絡の際は、相続人調査や法定相続情報一覧図の作成など、ご依頼を検討している内容などをご記載下さい。また、現時点で把握しているおおまかな遺産総額や遺産の種類など記載頂けるとその後のやりとりがスムーズです。
上記のお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
(2)初回面談
上記(1)のお問い合わせ後、メールなどで日時を調整した上で面談を行います。面談は当事務所に来所いただく形式が最も多いですが、依頼者の方が遠方の場合など、web会議方式での面談や電話面談なども行っています。
この初回面談にて、契約形式や金額についての詳細を決定します。
(3)正式なご依頼・契約締結
上記(2)の面談の内容を踏まえてご検討いただき、正式なご依頼・契約締結という流れとなります。
法定相続情報一覧図の作成は当事務所にご相談ください

以上、相続人調査・法定相続情報一覧図の作成について、調査の方法や作成のメリット、当事務所にご依頼いただいた場合の料金などについて説明いたしました。
上記の通り、当方は税務の専門家たる税理士として、東京銀座にて様々な方からのご依頼を日頃から受け、業務を行っております。また、依頼者の方とのコミュニケーションを重視して業務を遂行しています。
一般的に、税理士への依頼となると長い付き合いとなることも多く、初めてのご相談やご依頼には不安も大きいと思われますが、どうぞ安心してご相談・ご依頼頂ければと思っています。
法定相続情報一覧図の作成など、相続関係に関するご依頼はぜひ当事務所にお任せ下さい。
業務のご依頼やご相談は、下記お問い合わせフォームからお待ちしております。
お問合せをお待ちしています。
事務所代表プロフィール
(プロフィール詳細はこちらのホームページをご覧ください。)
氏名:木村 成(きむら じょう)
保有資格:
・税理士
・行政書士(行政手続、法律書類作成の国家資格者)
・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格者)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
・気象予報士
業務内容:
東京都銀座にて、中小企業・小規模事業者の方の支援を業務として行っております。税理士としては法人や個人の申告代理、相続関連業務など、行政書士としては告訴状作成、会社設立に係る定款作成認証や営業許認可申請の代理など、中小企業診断士としては経営コンサルティングを中心に活動しております。税理士・行政書士・中小企業診断士の3つの資格を活用して、税務面・法務面・経営面の3つの視点から、依頼者の方の支援を行っております。
誠心誠意、迅速かつ丁寧な対応をモットーに活動しております。
皆様のご相談、ご依頼をお待ちしております。