[サマリー]
・キャッシュフローとはお金の流れのことであり、お金の流れと売上や費用の計上は通常一致しない
・会社が黒字でもキャッシュフローがマイナスであれば、黒字倒産の可能性が生じてくる
会社経営においてよく「キャッシュフロー」という単語を耳にすることがあるかと思います。このキャッシュフローは収益や利益といった言葉と曖昧にして使われてしまうこともありますが、実際は全く異なる意味をもっています。
今回はこのキャッシュフローの意味について、具体例を考えながら説明していきたいと思います。
キャッシュフローとは
キャッシュフローの意味
キャッシュフローの意味を考えてみましょう。キャッシュとは「お金」のことであり、フローとは「流れ」のことを指します。つまり、キャッシュフローとは「お金の流れ」という意味になります。直訳ではありますが、このお金の流れという言葉こそがキャッシュフローを理解する上で最も重要な考え方となります。
では、キャッシュフロー(つまりお金の流れ)について、非常にシンプルな例で考えていきたいと思います。
例えば、4月1日に仕入れた400円の商品が、4月10日に1,000円で売れたとします。この時、1,000円分の現金をもらったのではなく、売掛金として処理されたとしましょう。その売掛金は、4月20日に現金で回収されました。
このケースの場合、「売上と費用」という面で考えるならば、
4月1日仕入計上→4月10日売上計上
という流れです。
一方、「お金の流れ」で考えるならば、
4月1日キャッシュアウト→4月20日キャッシュイン
という流れになっています。
(キャッシュアウトとは現金の流出、キャッシュインとは現金の流入という意味です)
つまり当然ながら、売上計上のタイミングとキャッシュインのタイミングはズレが生じることになるのです。
ちなみに、スーパーなどの小売店では基本的に現金商売となるため、売上計上とキャッシュインのタイミングが揃うこともあります。しかし、仕入れは基本的に買掛金などで取引されるため、費用計上とキャッシュアウトのタイミングはズレが生じます。
しかし、経営者の方や経理担当の方はご存じかと思いますが、日本における会計では収益の認識基準として現金主義ではなく発生主義が基本的に採用されています(現金が流入したときではなく、モノやサービスの受け渡しが発生したときに売上を計上するという意味です)。なのになぜ、現金主義的なお金の流れを考える必要があるのでしょうか。
キャッシュフローの重要性
今度は、先ほどの例の期間と金額を大きくして考えてみましょう。
例えば、令和元年4月に仕入れた100万円の商品が、令和元年5月に500万円で売れたとします。しかし現金ではなく売掛金で取引されており、売掛金の回収が行われるのは令和2年の5月です。
3月に決算が行われるとして、令和元年度に計上される利益は、
売上高500万円-費用100万円=400万円 です。
一方、令和元年度のキャッシュフローは、
キャッシュイン0-キャッシュアウト100万円=▲100万円
となり、売上高でいえば黒字なのにキャッシュフローでは大きくマイナスとなってしまいます。このような場合に、「黒字だからもっと設備投資をしていこう」「黒字だから資金繰りは問題ないだろう」と思っていると、現金が少ないため足元をすくわれる可能性があるのです。もっと踏み込んで言うと、黒字倒産というケースに陥るリスクも生じてきます。
つまり、会社が黒字でもキャッシュフローがプラスではあるとは限らないのです
ここに、利益とは別にキャッシュフローを考える意味があります。現状、商売においては売掛金や買掛金といった現金が同時に動かない取引(信用取引)が主流であるため、利益だけの観点から経営を見るのには限界があります。会社の経営状態、財務状態を正しく理解する上でも、キャッシュフローを把握することが重要といえるのです。
以上、キャッシュフローについて具体例を挙げながら、意味や重要性を説明しました。ぜひ、このブログをお読みになっている方の会社や店舗経営においてもキャッシュフローの考え方を導入して頂ければと思います。
[まとめ]
・キャッシュフローとはお金の流れのことであり、お金の流れと売上や費用の計上は通常一致しない
・会社が黒字でもキャッシュフローがマイナスであれば、黒字倒産の可能性が生じてくる
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