[サマリー]
・PSM分析とは、顧客に対する商品・サービスの4種類の質問を行うことで、商品・サービスの最適な価格帯を算出する分析手法である
・エクセルを使ってデータをまとめることで、誰でも簡単にPSM分析を行うことができる
以前当ブログでは、学校や塾におけるマーケティング・ミックスの4Pとして、Price:価格戦略について基本的な考え方を説明しました(詳しくはこちらの記事をご確認ください)。
そして説明の中の「知覚価値価格設定」で出てきた「PSM分析」というものの考え方ややり方について説明したいと思います。
価格決定の手法「PSM分析」のポイント
PSM分析とは
PSM分析とは、「Price Sensitivity Measurement」、つまり価格感度測定の略です。顧客へのアンケートなどから、最適な価格を推定する手法になります。
顧客の視点に立った価格設定方法なので、「知覚価値価格設定」の手段であることが分かりますね。
具体的なPSM分析のやり方について説明します。
PSM分析のやり方
PSM分析では、「高いけど仕方がないと思う価格」「高いから手が出ないと思う価格」「安くてお得と思う価格」「安すぎて不安と思う価格」の4種類の価格をアンケート調査などで尋ねます。
最終的に、このようなグラフができれば分析完了です。
細かそうにも見えますが、グラフの作成自体は非常にカンタンです。
このような手順でグラフ化します。
①データを集める
「高いけど仕方がないと思う価格」「高いから手が出ないと思う価格」「安くてお得と思う価格」「安すぎて不安と思う価格」の4種類のデータを集めます。
例えば「高いけど仕方がないと思う価格はいくらですか?」という質問を行い(もちろんアンケートの紙面上などです。大量のデータが必要なので、直接対面での質問は向いていません)、「700円」と答えたならば、700円の回答数が1増えるという具合です。
これを4種類の質問すべてで行います。
②データを集計する
①で集めたデータをまとめましょう。グラフ化するので、エクセルなどにまとめるとこの後が非常に楽です。
こんな感じでまとめます。
横長になるので、グラフの一部のみ抜粋しました。4種類の質問・価格ごとに回答者数をまとめただけです。
③合計する
回答者数の累計グラフを作るために、人数を合計していきます。
こんな感じです。
累計の仕方は、「高いけど仕方がない」「高すぎて買えない」については左から順番に累計します。例えば「高いけど仕方がない」の500円の累計回答者数「10」の算出方法は、先ほどのグラフでいうと400円の回答者数「3」と、500円の回答者数「7」を足して「10」という具体です。
同じように「高すぎて買えない」についても順番に累計してください。
そして、「安くて嬉しい」と「安すぎて不安」については、逆から足していってください。これはグラフを作成すると分かりますが、左上がりのグラフにしたいからです。
④グラフ化する
シンプルに、③で作ったグラフを折れ線グラフにしましょう。
こんなグラフの出来上がりです。
グラフの右端で「安すぎて不安」と「安くて嬉しい」の逆転が生じたりしていますが、あくまで一例として考えてください笑 実際にアンケートをとるとこんなことが起きたりもします。
⑤分析する(価格設定の目安を知る)
ここまで来たら、もうあと一歩です。
グラフ上では4つの交点が現れていますが、ここが重要です。
・青と黄の交点、つまり「高いけど仕方がない」と「安すぎて不安」の交点は、商品・サービスの下限価格を意味します。
つまり、これより低い価格をつけると、顧客は「この商品・サービスは品質が悪そうだな」と思ってしまいます。買ってくれないのです。
・灰とオレンジの交点、つまり「安くて嬉しい」と「高すぎて買えない」の交点は、商品・サービスの上限価格を意味します。
つまり、これより高い価格をつけると、顧客は質の割に値段が高いと思ってしまいます。買ってくれないのです。
・残った2つの交点の間の領域、青と灰の交点~黄とオレンジの交点の領域が、最適な価格帯です。図で表すとこんな感じです。
……矢印が短くて見えにくいですね笑
伝わりましたでしょうか。このように、PSM分析はアンケート調査でデータを取ることさえできれば、あとはエクセルを使って簡単に最適な価格帯を分析することができます。しかも、エクセルで使う関数はsum関数くらいで、別に関数を使わなくても数式で簡単に求めることができます。グラフ化もボタン1つです。
長くなってしまいましたが、これがエクセルを活用したPSM分析のやり方です。
最後に、当ブログは学校・教育業界向けのコンサルティングブログということなので、学校法人におけるPSM分析を考えたいと思います。
私立学校でPSM分析を使うとしたら、web上で回答を集計できるアプリなどでアンケートを作成し、保護者の方に入力してもらうことで、こちら側のデータ入力・集計の手間も省くことができます。
そして、一般企業が行うモニター調査などと違い、学校を普段から使ってくださっている保護者の方なので、アンケートの回答率は非常に高いはず(この質問だけでなく、学校評価の一環としてのアンケートの中に価格に関する質問を入れれば自然です)。
したがって、学校に通う生徒の世帯数分データが集まりますので、データ数としても十分信頼できる分析を行うことができます。
以上、エクセルを使ったPSM分析による、最適価格帯算出の説明でした。
分かりにくい部分も多かったかもしれませんので、不明な点や学校実務について質問等あればお問い合わせください。
[まとめ]
・PSM分析とは、顧客に対する商品・サービスの4種類の質問を行うことで、商品・サービスの最適な価格帯を算出する分析手法である
・エクセルを使ってデータをまとめることで、誰でも簡単にPSM分析を行うことができる
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