[サマリー]
・労働生産性とは、「どれほど効率的に付加価値を生み出すことができているか」を測る指標である
・日本の生産性はOECD加盟国の中でも低く、海外と比較しても低水準であるといえる



近年、日本の労働生産性が非常に低いという話題を耳にします。今回は、実際に日本はどれほど労働生産性が低いのか、そもそも労働生産性はなんなのか、どうやって計算するのかということについて説明していきます。


日本の労働生産性向上へ向けて

そもそも労働生産性とは?

労働生産性とは、1人が生み出す付加価値のことを指します。つまり、


「どれほど効率的に付加価値を生み出すことができているか」



を表した指標が労働生産性なのです。「生産性」という言葉がつく指標は全て効率性を表す指標なので、覚えておくと便利です。ちなみに、「付加価値」とは、

「会社が事業によって生み出した製品やサービスの中で、会社が付け加えた部分」


のことです。ある店舗が4,000円の商品を仕入れて6,000円で販売したなら、生み出した付加価値は2,000円といった具合です。
この「付加価値」について詳しく知りたいという方は、こちらの記事で説明しているのでご確認ください。
付加価値とは?計算式と生産性との関係



次に、労働生産性の計算式を説明します。


労働生産性の計算式

労働生産性は、以下の計算式で算出することができます。

労働生産性の計算式


「労働生産性=付加価値÷人数」


です。先ほどの労働生産性の定義である「1人当たりが生み出す付加価値」と同じ意味になっていることを確認ください。ちなみに、分母は人数でなく総労働時間となることもあり、その場合の労働生産性は「人時生産性」と呼ばれます。しかし、一般的には分母は人数で計算します。


では、日本における労働生産性について考えていきます。


日本における労働生産性:海外との比較

結論からいうと、日本の労働生産性はOECD加盟国36か国中21位、つまり非常に低い水準になっているのです。

以下のグラフをご覧ください。

世界における日本の労働生産性


こちらのグラフは、公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2018」というデータを引用したものです。グラフより、日本の労働生産性が決して高くないことが分かるかと思います。数字で言うと、日本の労働生産性(1人当たり)は837万円という値です。

ここで、労働生産性と賃金の関係を考えます。労働生産性とは、1人が生み出す付加価値ですね。そして賃金は、その生み出した付加価値から様々な費用が控除された残りから捻出されます。つまり、労働生産性以上の賃金がもらえるということはありえない(赤字になってしまう)という見方ができるのです。実際に日本の平均賃金水準は837万円よりはるかに低い値となっています。

逆に言えば、もらえる賃金を増やすためには、労働生産性を上げることが大切であるということです。


少し話が脱線しました。
ここまで、日本の労働生産性の水準について説明してきました。最後に、どうやって労働生産性を上げていくべきかということを簡単に考えます。


労働生産性向上に向けた具体策

その①:付加価値の向上について

労働生産性の計算式は、付加価値÷人数 です。つまり、シンプルに考えれば付加価値を大きくすることにより労働生産性も向上します。しかし、そう簡単な話とはいかないですよね。すぐに付加価値を向上できるのであればどの会社もやっているはずです。


付加価値向上に向けた具体策として重要なのは、現場意識の改善です。経営者や管理職の方がいくら「付加価値を向上させよう」と訴えかけたとしても、現場の方にとってみれば縁遠いものであり、実行に移すことができません。


そこで、先ほど話したような労働生産性と賃金の話など現場レベルの話をすることによって、「労働生産性が上がれば賃金水準もあがるかもしれない」というモチベーションを沸かせることができ、業務改善の推進力向上が期待できます。


また、当然ながら現場の方のやる気があがっても業務改善の方向性が間違っていては付加価値は向上しませんので、多面的な分析や課題抽出が重要となります。


その②:人数の削減について

付加価値向上と同じく、人数を削減することができれば当然労働生産性も向上します。しかしながら、特に中小企業にとってみれば昨今の人手不足は深刻であり、削減するほど従業員がいないというのが実態かと思われます。

そこで、人数の削減という意味で労働生産性向上を捉えず、あくまで現状の人材をフル活用することで付加価値を大きくし、労働生産性を向上させるという意識が大切だといえます。




以上、日本の労働生産性について海外と比較しながら、どうすれば労働生産性を向上できるのかということについて簡単に説明しました。特に中小企業にとっては付加価値向上、労働生産性向上というのは死活問題ですので、会社一体となった取り組みが重要です。


[まとめ]
・労働生産性とは、「どれほど効率的に付加価値を生み出すことができているか」を測る指標である
・日本の生産性はOECD加盟国の中でも低く、海外と比較しても低水準であるといえる


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